日産自動車が展開する高級車ブランドのインフィニティ(INFINITI)は2024年3月20日(現地時間)、フラッグシップ3列シートSUV「QX80」の第2世代(前身のQX56から数えると第3世代)となるZ63型を初公開した。トリムグレードは上位よりAUTOGRAPH、SENSORY、LUXE、PUREという4タイプを設定。2025年モデルとして今夏より北米市場での販売開始を予定している。
新型QX80の特徴を解説していこう。
日産自動車が高級車ブランドのインフィニティの近未来を示唆する2台のEVコンセプトカーを発表
まずエクステリアは、進化版のボディ・オン・フレームをベースに、“Artistry in Motion”を標榜して、新世代インフィニティならではの大胆で印象的、かつ彫刻的なデザインを、SUVのスタイルに余すところなく表現する。各部のデザインにもこだわり、フロント部にはインフィニティを象徴した新デザインシグネチャーのダブルアーチグリルとイルミネーテッド3Dエンブレム、シャープな造形のフルLEDヘッドランプなどを導入して、先進的かつ風格のあるマスクを創出。一方でサイドビューは、121インチ(3070mm)のロングホイールベースに伸びやかなルーフライン、垂直基調の前後端、厚みのあるパネル面などによって、スリークで優美なフォルムを実現する。また、インテリジェントキーを持ってクルマに近づくとドアハンドルが自動的に出現するポップアップ式ドアハンドルや、フロントのエンブレムとヘッドランプの点灯に加えて車両のサイドステップから路面を照らす「INFINITI ライトパス グラウンドイルミネーション」を採用して、日本のおもてなしを演出。足もとには、AUTOGRAPH/SENSORY/LUXEが8J×22アルミホイール(AUTOGRAPHは専用デザイン)+P275/50R22オールシーズンタイヤを、PUREが8J×20アルミホイール+P275/60R20オールシーズンタイヤを組み込んだ。そしてリアセクションは、安定感のある台形フォルムに多数の縦型ランプを横一線に流れるように配したLEDコンビネーションランプ、新デザインのバンパーおよびアンダーガーニッシュなどを配して、印象的かつ存在感あふれる後ろ姿を具現化する。ボディサイズは全長211.2×全幅83.3×全高76.6~77.9インチ(同5365×2116×1946~1979mm)に設定した。
内包するインテリアは、なめらかでソフトな高品質素材をふんだんに使ったラグジュアリーな室内空間に、優れた先進機能をシームレスに統合したことがトピック。インストルメントパネルには14.3インチのメーターディスプレイとタッチスクリーンのインフォメーションディスプレイを配し、最新のINFINITI in TouchシステムにはGoogle built-inを組み込んで、Google MapやGoogle Play、Google Assistantなどの利用を可能とする。また、インフォメーションディスプレイの下部に設けた9インチのタッチスクリーンでは空調機能や運転モードなどが選択可能。さらに、セグメント初のテクノロジーである「バイオメトリック クーリング」が天井に組み込んだ赤外線センサーによって乗員の体温を検知し、温度と風量を調節して2列目以降の乗員に快適な空気を提供する。室内トリムはLUXEとPUREにアルミニウムトリムを、SENSORYにダークブラウンオープンポアウッドパネルを、AUTOGRAPHにアルミニウムインレイのオープンポアアッシュウッドトリムを採用した。一方でオーディオシステムには、フルサイズのラグジュアリーSUVセグメントでは初となる「クリプシュ(Klipsch)プレミアムオーディオシステム」を搭載。LUXEとPUREには12チャンネル/14スピーカーを、AUTOGRAPHとSENSORYには24スピーカー/14チャンネルのDJX 3Dサラウンドを配備する。そして、ダッシュボードとドアには64色から選べるアンビエントライトを埋め込み、室内のエンターテインメント性を高めた。
シートレイアウトは2/2/3名乗車の7名乗り3列式で構成し、運転席と助手席には10ウェイパワー調整機構を、2列目には独立タイプのキャプテンシートを、3列目には60:40分割可倒式シートを配備。2列目は40:20:40分割可倒式のベンチシートもオプションで選択できる(乗車定員8名)。シート表皮はPUREにTailorFitファブリックを、LUXEにレザー(前席および2列目)を、SENSORYにセミアリニンレザー(前席および2列目)を、AUTOGRAPHにセミアリニンレザー(全席)およびドットステッチング&キルティングを採用した。
パワーユニットに関しては、新開発のVR35DDTT型3492cc・V型6気筒DOHC24V直噴ガソリンツインターボエンジンを搭載。圧縮比は10.6に設定し、最高出力は450hp/5600rpm、最大トルクは516lb-ft/3600rpmを発生する。トランスミッションにはギアレシオを従来より40%拡大した電子制御式9速AT(パドルシフト付)を組み合わせ、駆動機構にはRWDとINFINITI All-Mode 4WDを設定した。ドライブモードとしては、Standard/Eco/Sport/Snow/Tow/Personalという6モードを採用している。
一方、懸架機構は前後ダブルウィッシュボーン式で構成し、PUREにはコイルスプリングサスペンペンションを、AUTOGRAPH/SENSORY/LUXEには電子式エアサスペンションとダイナミックデジタルサスペンションを組み込む。エアサスペションは走行シーンに合わせて車高調整が可能。通常走行時は車高を下げることで優れた空力性能を確保し、乗員の乗降時はさらに車高を下げて乗り降りや荷物の載せ降ろしを容易にする。そして、オフロード走行時は通常よりも車高を2.4インチ上げることで高い走破性を実現した。また、ダイナミックデジタルサスペンションは車両の動きに合わせて電子制御でダンパーの減衰力を自動調整する。 さらに、従来に比べて横剛性を58%高めたフレームにより、快適な乗り心地と優れたハンドリングを確保。ねじり剛性を300%向上させた電動パワーステアリングラックを組み込んで、高度な運転支援技術の搭載を可能としたことも訴求点である。
世界初の技術となる「フロントワイドビュー」を装備した点も見逃せない。車体前方側面の様子を2個の14.3インチディスプレイに表示して、走行安全性をアップ。また、フード部分が透過して前方を確認できる「インビジブルフードビュー」や、フロントカメラの映像を写真やビデオとして記録し、SNS等にシェアできるジャーニーダイアリー機能など、革新的なカメラ技術を新規に導入する。さらに、ProPILOT Assist1.1をSENSORY/LUXE/PUREに標準で、最新のProPILOT Assist2.1をAUTOGRAPHに標準、SENSORY/LUXEにオプションで採用している。
なお、新型QX80の車両価格はAUTOGRAPHが11万595ドル(約1675円)、SENSORYが10万645ドル(約1524円)、LUXEが8万9550ドル(約1362円)、PUREが8万2450ドル(約1248円)に設定。日本市場への導入は、現在のところ予定されていない。
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