フォルクスワーゲンやセアトをはじめ、アウディやベントレー、ランボルギーニ、ブガッティやポルシェと、フォルクスワーゲン・グループのあらゆるブランドがひしめくホールの奥に、初出展のコンストラクターによる、EVスポーツカーのコンセプトがあらわれた。
それだけならスーパーカーだらけのジュネーブショーで決して珍しくないが、どうしてそれがザワつく話かといえば、そのメーカーが「PIËCH(ピエヒ)」を名のっているからだ!
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ピエヒ家が自動車業界で知られるのは20世紀初頭、ポルシェの祖にしてフォルクスワーゲン・タイプ1の発明者、フェルディナント・ポルシェ博士の娘であるルイーズと結婚した財務担当者アントン・ピエヒ氏からだ。
彼の息子で祖父とおなじファーストネームをもつフェルディナント・ピエヒ氏はポルシェ「917」やアウディ「クワトロ」をエンジニアとして設計したあと、フォルクワーゲン・グループ会長として、今日の巨大コングロマリットを作り上げた。しかし、最後はお家騒動に巻き込まれ会長の座を追われた。
今回登場したピエヒはフェルディナント・ピエヒ氏の息子が興したメーカー。曽祖父と同じ名をもつアントン・ピエヒ氏が率いる新興のEVメーカーである。
スイス・チューリッヒに拠点を置く小さなブランドであるものの、会場では大きな注目を集めていた。今回、展示されたコンセプトカー「マーク・ゼロ」は、高性能をうたう。ライトまわりのデザインが、ポルシェを思わせるマーク・ゼロは、いわゆるFRプロポーションのGTカーだ。
説明によれば、革新的なバッテリーを搭載し、WLTPモードでの自律走行レンジは500kmに達するうえ、満充電量の80%を4分40秒の速さで急速充電出来るという。
ピエヒは、少量生産の高性能EVを市販する以外に、バッテリー&モーターを含むプラットフォームを、ほかの自動車メーカーへ供給する意図を明らかにしている。ただし供給先がどこのメーカーか、現場で回答は得られなかった。ちなみにバッテリーの供給は、香港に拠点を置くメーカーから受けるという。
名門ピエヒ家がどういうビジネスを展開するか、現時点ではイマイチ想像出来なかったものの、少なくともEVに特化するのは間違いなさそうだ。
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