1.5リッターターボ車には待望の7人乗りも用意
約7年ぶりのフルモデルチェンジで、さらにでっかく、アメリカンなデザインになって帰ってきたホンダ新型CR-V。グローバルでは年間で70万台以上が売れている人気のミドルサイズSUVだけに、新型の開発課程では「守るべきもの・打破すべきもの・極めるべき強み・原点回帰」というキーワードが掲げられ、イギリスのカントリーロードやスペインの高地、ドイツのアウトバーンやオーストリアの山岳地など、徹底した走り込みを行ってきたのだとか。気合い入ってます!
「ハイブリッド・ターボ・ディーゼル」同じようなカタログ燃費の場合のパワートレインの選び方とは
そして大きなトピックとなるのが、まずガソリン仕様だけでなくハイブリッド仕様が登場したこと。ガソリンが190馬力/240N・mの1.5リッター直噴ターボエンジン、ハイブリッドは145馬力/175N・mの2リッターアトキンソンサイクルエンジンに、2モーターのSPORT HYBRID i-MMDを組み合わせ、25.8km/L(JC08モード)というクラストップの低燃費となっています。
また、ガソリン仕様だけでなくハイブリッド仕様でもAWDが選べること、2列5人乗りに加えてガソリン仕様には3列7人乗りが設定されたことも、新型CR-Vの新たな強みと言えますね。
まずは室内からチェックしてみると、とても感心したのが乗降性の良さ。一般的なセダンと比べると160mm高く、コンパクトSUVのヴェゼルと比べても60mm高いアイポイントを確保しながら、ヨイショと飛び乗るような感覚がない前席。チョイ乗りが多くて頻繁に乗り降りするような使い方でも、これなら疲れにくいと思います。
そしてさらに良いのが後席。ドアがほぼ直角まで開き、ドア開口部も先代より100mm拡大されているので、頭や足がスムースに移動できるのです。また、ドアカットの位置やサイドシル形状の工夫で、洋服の裾が汚れにくくなっているという配慮にも感心。これならドレスアップした日でも安心だし、子どもやお年寄りも乗り降りしやすそうです。
そして室内空間は、5人乗り仕様は後席が固定式。でも足もとはゆったりとしていて、視界も開放的で気持ちのいい空間です。7人乗り仕様は2列目シートに150mmのスライド機能がつき、3列目を使わない時は5人乗り仕様と同等の広さで座れます。3列目への乗り込みは、2列目シートのストラップを引いて背もたれをたたみ、座面ごと前に倒せばアクセスしやすいスペースが出現。2列目シートの下に足を入れる空間がないので、かなり体育座り的な姿勢にはなるものの、リクライニング機能があるので身長190cmの人でも座れるようになっているとのこと。ただ、やはり長距離よりは「ちょっとそこまで」の移動向けという印象でした。
さて、改めて運転席に座ってみると、新型CR-Vは最先端のSUVなんだなぁと実感させてくれる演出がたくさん。たとえば、プレミアムSUVにはよくあるシートメモリー機能が、あらかじめ設定しておけばキーでロック解除しただけで自分のシート位置に自動調整完了。これなら乗り込む段階からスムースですよね。我が家のクルマは乗り込んでからスイッチを押すタイプなので、羨ましい限り。シートヒーターは座面だけでなく背もたれも温めてくれるタイプだし、そうしたきめ細かなおもてなしはさすがです。
ボディサイズが全長4605mm、全幅1855mmと決して小さくはない新型CR-Vだけど、高いアイポイントのおかげで遠くまで見渡せ、ボンネットの両端が確認できるため車両感覚もつかみやすく、狭い道での取り回しはそれほど難儀する印象ではないですね。最小回転半径が5.5mmあるので、さすがにUターンでは気を遣ったけれど、慣れてくればストレスを感じるほどではなさそう。
重さを感じさせないハイブリッドの上質な乗り味
最初に走らせたのはガソリン仕様のFFモデルで、低速からの伸びやかな加速フィールと軽快な身のこなしに、思わずテンションが上がります。ハンドリングが機敏すぎず穏やかすぎず、とても素直で爽快。欲しいところでいつでもパワーが操れる感覚で、山道などでも力強くメリハリある走りが楽しめます。後席ではちょっと乗り心地がカタめとはいえ、前席では適度な落ち着き感があり、高速道路でもしっかりとした安定感があって好印象でした。
次にハイブリッド仕様のAWDを走らせると、ガソリン仕様に比べて車両重量が最大350kgほど重くなるというのに、驚くほどスムースで軽やか。その軽やかさにプラスして、丁寧な挙動から伝わる上質感もあります。速度や路面状況などによって、EV/ハイブリッド/エンジンの3つのドライブモードを頻繁に切り替えてくれるので、常に適した走行状態がシームレスに提供されるところがハイブリッドならでは。高速道路でも悠々とリラックスしてクルージングできました。
山道でちょっと路面が荒れたところでは、重さゆえのドタバタ感が出てしまうシーンもあったものの、ハイブリッドのみに施された「アクティブサウンドコントロール」によって、ドライバーの意思にリニアなエンジンサウンドが響く演出があるなど、ホンダらしいスポーティな走りが楽しめます。
また今回、AWDの実力を試せるような悪路は走りませんでしたが、リアルタイムで前後にトルク配分をするシステムにおいて、後輪のトルク容量を先代比1.5倍にアップしたとのこと。最低地上高も210mm確保してあり、雪道などでの走破性はさらに高まっていることでしょう。
そんなアクティブなユーザーならラゲッジの使い勝手も気になるところですね。5人乗り仕様は、6:4分割で後席を倒せばスッキリとフラットなスペースに早変わり。荷室側にあるレバーを引くだけというのも簡単です。499リットルと容量もたっぷりで、最大荷室長は1830mm。海も山も余裕でイケそうです。
7人乗り仕様は、3列目をストラップで5:5分割で倒すと、やや段差ができてしまいますが、フロアボードの高さを変えればほぼフラットなスペースに。二段の棚としても使えるので、これはこれで便利でしょう。
初代から、都会派SUVの先駆け的存在と言われてきたCR-V。でも実際は、「見た目以上にちゃんと使える」というのがユーザーからの評価でした。こうして見てきた新型CR-Vは、多様化したSUVニーズにしっかり応えるべく、7人乗りやハイブリッド×AWDの登場で、「見た目以上に“いろいろ”ちゃんと使える」SUVに大きく進化していると感じたのでした。
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