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パストラーナや“JJ”も出走、史上最長のデイトナ500をステンハウスJr.が初制覇/NASCAR開幕戦

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パストラーナや“JJ”も出走、史上最長のデイトナ500をステンハウスJr.が初制覇/NASCAR開幕戦

 アメリカ大陸が誇る最高峰ストックカー、2023年のNASCARカップシリーズ開幕戦『デイトナ500』が2月19日に開催され、2度のオーバータイム発生で史上最長の212周レース(3周/7.5マイル更新)となる荒れたエンディングに。そんななか、最後のコーション宣告直前に「予想外のプッシュのおかげ」で王者ジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)に先行した、伏兵リッキー・ステンハウスJr.(JTGドアティ・レーシング/シボレー・カマロ)が、大舞台での自身キャリア3勝目を飾っている。

 本選出場枠を賭けた恒例の“Duel”を前に、デイトナの週末はトラックハウス・レーシング所属のロス・チャスティンとダニエル・スアレスの契約更新発表で始まると、最初のシングルカー・クオリファイからファン注目の大物ゲストが躍動する。

『デイトナ500』参戦のパストラーナが67号車トヨタ・カムリを披露。ラリー活動は休止へ/NASCAR

 2020年以来のカップ戦登場となる“JJ”ことジミー・ジョンソン(レガシー・モーター・クラブ/シボレー・カマロ)は、限定参戦の“オープン・カー”で最速の23番手を記録し、同じくトヨタ陣営から出走のトラビス・パストラーナ(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)も、総合25番手で続く展開に。これによりエクスフィニティ・シリーズを本格的に追った経験を持つパストラーナは、ジョンソンとともに初めて『デイトナ500』本戦への出場権を確保する盤石のドライビングを披露した。

「最初のラウンチとしては良かったね」と安堵の表情を見せたパストラーナ。「少し早めに2速へシフトしたけど充分な加速を得られず、5速までシフトを上げられなくて連続アタックを強いられた。そこからあとは全開さ。バッバ(ウォレスJr.)のタイムを見たが、クルマは間違いなくもう少し速かったはずだね」

 このセッションではアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が日曜本戦に向け3回目のポールポジションを射止め、僚友カイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)がフロントロウに並び、早くもヘンドリック勢が最前列を占拠。これでチームは過去9年間のデイトナで8回目のポール獲得となり、最前列独占も3年連続とするなど無類の相性を見せつける。

 そして各60周で争われた2回の“Duel”では、チャンピオンのロガーノとアリック・アルミローラ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)がそれぞれ勝利を納め、一方でコナー・デイリー(ザ・マネー・チーム・レーシング/シボレー・カマロ)も「この週末中はクルマのカラーリング以外、ほとんどすべてを変えたよ(笑)」とレース前からのマシントラブルに祟られたものの、辛くも本戦出場枠を手にする結果となった。

 日曜のファイナルを前に、金曜最初のプラクティスではそのJJがお馴染みの位置であるタイムボード最上位に顔を出すなど、シリーズ7冠、デイトナ2勝の男がレースウイークの雰囲気を盛り上げると、決勝序盤は静かな立ち上がりに。最終プラクティスで首位を記録し、好調さを見せたブラッド・ケセロウスキー(RFKレーシング/フォード・マスタング)がステージ1を制覇していく。

 しかし混乱の兆しを見せずにいた“530マイル”レースは118周目に動きを見せ、ターン4でケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)に押され、姿勢を乱したタイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)がサイドウェイ状態に。ここへ後続から43号車GUNS N' ROSESシボレーのエリック・ジョーンズ(レガシー・モーター・クラブ/シボレー・カマロ)や、2020年チャンピオンのチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)ら9台が絡む事故へと発展する。

「何人かが正面で絡み合っているように見えた」と状況を説明したエリオット。

「後ろにいた僕らは、それを回避するべく散らばっていった。5番(ラーソン)と43番(ジョーンズ)がエプロンに行ったように見えたが、速度を落とした頃には彼らがトラックを横切って戻ってきた。こんな残念なかたちで1日を終わらせるのはイヤだけど、これが現実だ……」

 これが引き金となったか、チャスティンがステージ2勝利を飾って迎えたファイナルステージでは、ターン2で7台が絡む“ビッグワン”が発生。この日、リードラップも記録していたライアン・プリース(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)らが戦列を去り、ハーヴィックや前戦エキシビジョン勝者のマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)らもマシンにダメージを負ってしまう。

 さらに残り13周時点でレースが再開されると、ハリソン・バートン(ウッド・ブラザーズ・レーシング/フォード・マスタング)に押しやられ“あわや”の場面もあったカイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)が、シボレー移籍のチャンピオンシップ初戦で早くもラップリーダーに立つ。しかしその直後、後続からヒットされたダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)がフロントストレッチでスピンを喫し、勝負は残り3周のレイト・リスタートとなる。

 この時点で首位ブッシュの背後で火花を散らしていたオースティン・ディロン(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)が、ウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)との勝負の末に制御不能の状態に。上段にいたデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)を弾き、後続のチャスティンらを含む13台が巻き添えの大クラッシュを引き起こす。

 これでステンハウスJr.が先頭に躍り出て、2回目となるオーバータイムリスタートの後、ホワイトフラッグの212周目にブッシュからの“後押し”を受けたロガーノが、残り1周でリードを奪取。そのまま“Next-Gen”時代のディフェンディングチャンピオンが、記念すべき65回目のデイトナを制する……かと思われた。

■199戦ぶり、チームにとっては266戦ぶりの勝利に

 しかしファイナルラップのターン2で、アルミローラのマスタングにヒットされたパストラーナのカムリは、トップ10圏内を争った奮闘もむなしくスピンモードへ。そのままラーソンの右リヤに激突し、錐揉み状態の5号車カマロZL1は全開のままウォールの餌食に。

 その背後では、トップスピードで混沌に陥れられたブッシュやケセロウスキーに、ハムリンやウォレスJr.らが煙を上げ、ライアン・ブレイニーとオースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)らも火花が飛び散らせながら優勝争いから脱落。

 これでコーションの指示が出されたものの、その発動直前にラインを横切ったのは、3番手に浮上したクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)の「タイムリーなプッシュ」を受けたステンハウスJr.で、自身2017年以来、実に199戦ぶりとなる勝利を手にし、所属するJTGドアティにとっても2014年のワトキンスグレン以来、266戦ぶりのビクトリーレーンとなった。

「なんてこった、信じられないよ! ここは2017年に僕が最後に勝った場所(デイトナ・サマーレース)でもあるんだ」と2011年のトレバー・ベイン以来、シングルカーチームでこの『グレート・アメリカン・レース』を制覇したステンハウスJr.。「昨年は勝利に近づく数回のショットがあったが、最終的には足りなかった。大変なシーズンだったが、今季ついにこの『デイトナ500』でやり遂げたんだ!」

 土曜に同じく開催された2023年のNASCARエクスフィニティ・シリーズ開幕戦『Beef. It's What's for Dinner. 300』でもオーバータイムの混乱によるビデオ判定が実施され、ジャスティン・オールゲイアー(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)や、ジョン・ハンター・ネメチェク(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)らを退けたオースティン・ヒル(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)が2年連続開幕勝利を達成。

 そして今季よりNASCARクラフツマン・トラック・シリーズと名称を新たにし、実に11年ぶりにデイトナで争われた開幕戦は、金曜雨絡みの短縮決着でこちらも開幕連覇となったゼイン・スミス(フロントロウ・モータースポーツ/フォードF-150)が勝利を挙げ、今季シングルカー体制に刷新した服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズ(HRE)は、16号車タイラー・アンクラム(トヨタ・タンドラTRD-Pro)が7位フィニッシュの滑り出しを見せている。

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