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英BBRチューンのマツダMX-5 1.5に試乗 「さりげなさ」という美学

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英BBRチューンのマツダMX-5 1.5に試乗 「さりげなさ」という美学

もくじ

どんなクルマ?
ー あくまで「わかりづらい」BBRチューン

どんな感じ?
ー ターボに頼っただけのチューンにあらず
ー MX-5のよいところを伸ばす方針

「買い」か?
ー BBRチューンのMX-5 ライバルは?

スペック
ー BBR GTiマツダMX-5 1.5のスペック

どんなクルマ?

あくまで「わかりづらい」BBRチューン

一部のクルマ好きにとって、BBR GTiは馴染み深い名前だろう。

パフォーマンス第一の初代BMWミニ(R53)オーナーや、シエラ・コスワースなどの有名なフォードのロケットカーのファンはおそらく、文字通りイギリス・ブラックレーに本拠地を構え、メルセデスのF1本部の影に隠れて位置する、その場所を英国人ならば知っているひとも少なくないはずだ。

そこには、自由な精神の自然吸気エンジンで絶賛される、これ以上なく純粋なマツダMX-5のターボチューンでもっともよく知られる一団がいる。

BBRは一年にMX-5(日本名:ロードスター)のターボ化キットをおよそ100セット販売し、最近はバーレーンや台湾などの遠方へも配送されるが、半分近くがアメリカへと行き着く。

BBRは原点回帰した売れ行き好調のMX-5のチューンにも取り組み、今回試乗した1.5ℓのモデルは今までのところ最新で、疑いなくもっとも巧妙なチューニングの跡が見てとれた。

数値からは、なにやらパッとしないノーマルの130psのエンジンにはかなり手が入れられたことがうかがえるが、デカールを除けばそれが牧歌的なノーマルのMX-5 1.5ℓモデルと勘違いするひともいるだろう。

たとえアイドリング中にそばにいても、それがBBRのチューンドモデルだとは気づかないだろう点も気に入った。

たんなるMX-5と思って峠道で追いかけると、痛い目にあうことだって考えられる。というのも、ボンネットの下には201ps、27kg-mを発生させるターボチャージャーが搭載されているからである。

重量増は、工場出荷時の1050kgにわずか6kgのみ。パワーウエイトレシオはアウディTTS ロードスターとほぼ同じだといえば、わかりやすいだろうか。

どんな感じ?

ターボに頼っただけのチューンにあらず

BBRの美学は、ドライビングエクスペリエンスに反映されている。そして、単にターボに頼っただけのチューンではないことがわかる。また、チューナーによくありがちな「チューンしました」といった押し付けがましさもない。

少しばかり機械的な4気筒エンジンの唸り声の中に、ターボのおとなしい音がする。スロットルレスポンスはほんのわずかに鈍くなっているだろうか。

クラッチはノーマルのままで、電子制御の類も変更されていない。キャビンにも手が入れられたことを示すものは何もない。

BBRはもともと、快活な自然吸気のスカイアクティブ1.5向けのキットを作るつもりだった。しかし、このエンジンはマツダによってうまく開発されており、本気で手を入れたところでそれほど変わらないことが判明してしまった。

過給をしたり、ターボを搭載せず、ECUリマッピングだけで馬力をあげようにもほぼ変わらない。そのため、ターボ化にあたりECUを根本的にプログラムし直すだけでなく、エンジンの高い圧縮比や軽い吹け上がりを実現するカムシャフトのチューニングの複雑さと戦うことになったのだった。

MX-5のよいところを伸ばす方針

キャラクターについて言えば、新発見なのがスロットルを閉じたときだけでなく開けた時のアジャスタビリティ。暴力的なまでの下りの速さよりも、タコメーターの上限まで回す心地よさの方が印象的だった。

搭載されるツインスクロールターボは比較的大きく高回転型だが、低いブースト圧から機能するので、実際には、トルクは3500rpmで若干上がって最大を迎える。

ピークパワーはノーマルと同じく7000rpmで発生し、このクルマの高いパフォーマンスのために、限界まで回すのがより楽しくなる。しかしこの時、同時にこのクルマの弱点も見えてしまうかもしれない。

細かいことだが、全開付近のスピードだと、サスペンションの限界が見え始め、スピードについていけなくなるのは少し気になる。

お世辞にも完璧とは言えない路面、特に濡れた路面では、垂直方向のコントロールに苦労し、シャシーが地面を掴まなくなる。

試乗車はスプリングが固められているため、この世代のMX-5にありがちな大げさなボディロールは軽減されていたが、標準のエイボンのタイヤのグリップには寄与しなかった。

もし2.0ℓのMX-5には標準で装備されるビルシュタインのダンパーがあればもっと良かったのかもしれないし、このクルマのオーバーステアのしやすさを考えると、同じく2.0ℓには標準装備のLSDもあると良いだろう。

ついでに言えば、BBRは2.0ℓのエンジン向けのステージ1ターボキットも提供しており、こちらは251ps、0-97km/hで5秒フラットを叩き出す。

「買い」か?

BBRチューンのMX-5 ライバルは?

一体このモデルにライバルはいるだろうか?

ノーマル車の1万8795ポンドにキットの4995ポンドを上乗せした2万3790ポンド(354万円)という価格は、嬉しいことにより遅いアバルト124スパイダーよりも安いが、中古の981ボクスターの価格帯とちょうど一致する。

中古のポルシェと比べるのはフェアではないだろうが、実際その価格帯なのだから仕方ない。

スバルBRZはもっとバランスが自然で、グリップ力は低く同じような速さだが、オープンカーに乗った後に試乗すると考えれば、検討リストには入らないだろう。

簡単に言ってしまえば、あなたなら、この価格帯で新車で手に入る、より速くより楽しい、もっと可愛いクルマを探すわけだ。

BBRは3年の保証を付けているとはいえ、クルマのメーカー保証を生かしておきたいひとが大半であろうし、そのようなひとにはこのクルマは響かないだろう。

しかし、すでにMX-5を所有していて、もっと冒険してみたいひとにとって、BBR GTIのステージ1のパッケージのように、驚くほど作動音は聞こえないのに、はっきりと効果のあるターボの換装はかなり心惹かれる提案に違いない。

まちがいなく良くなり、とても素晴らしいクルマになる。

BBR GTiマツダMX-5 1.5のスペック

■価格 4995ポンド(75万円)
■全長×全幅×全高 –
■最高速度 233km/h
■0-97km/h加速 6.0秒
■燃費 –
■CO2排出量 –
■乾燥重量 1056kg
■パワートレイン 直列4気筒1496ccターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 213ps/7000rpm
■最大トルク 27.2kg-m/4150rpm
■ギアボックス 6速マニュアル

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