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【0-300km/h加速9秒以内】ロータス・エヴァイヤ 最新プロトタイプへ初試乗 後編

掲載 更新 14
【0-300km/h加速9秒以内】ロータス・エヴァイヤ 最新プロトタイプへ初試乗 後編

典型的なロータスらしい回頭性

text:Mike Duff(マイク・ダフ)

【画像】ロータス・エヴァイヤ 純EVのハイパーカーはほかにも 全90枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


幸運にも、ヘセル・サーキットは晴天。気温も路温も6度前後で、とても涼しい。むしろ低すぎて、トラクションとスタビリティの電子制御がまだ実装されていない試作車のハイパーカーを運転するのに、ベストなコンディションではない。

ロータスのエンジニア、ギャバン・カーショウが、ペースを速める前に充分にピレリPゼロ・トロフェオRタイヤを温める必要があると念を押した。ABSが付いているのはありがたいが、まだ調整は終了していない。

「心配しないで。ロータスのように感じられると思います」。ガルウイングドアを閉めながら、カーショウが笑顔を見せる。

内燃エンジンとシフトノブが存在せず、サーキットで走らせる純EVの体験には違和感がある。しかし、エヴァイヤにはロータス特有といえる動的特性が与えられているようだ。カーショウの説明は正しい。

ステアリングの操舵感にはすぐに慣れる。軽いものの、とてもきめ細かな感触が伝わってくる。過度に鋭さを感じさせるものでもない。入力に対し、正確に比例するように反応する。典型的なロータスらしく、クルマの中心を軸としながら回頭していく。

車重は約1700kgもある。オリジナルのロータス・エリーゼの倍だ。それでも印象的なほど敏捷で、コーナリング時に強い負荷がかかるとわずかにボディロールを生じる。タイトなシャシーは、しっかり路面と息を合わせる。

0-300km/h加速は9秒以内

動的性能は甚大。でもタイヤが冷たいままでは、内蔵が耐えられなくなるようなGには届かない。

タイヤの温度が上がるにつれて、低速域でフルスロットルを与えてもトラクションを失わなくなる。それでも、フルスペックのテスラ・モデル3パフォーマンスより、筆者には鋭く感じられなかった。

印象的だったのは瞬発力ではなく、高速域でも衰えることのない加速力。プロトタイプは225km/hでリミッターが掛かるが、へセルのストレートは使い切っていない。もしリミッターを外したら、どこまで加速するのだろう。

ロータスによれば、0-300km/h加速を9秒以内にこなすとしている。ブガッティ・シロンより4.6秒も速い。しかも内燃エンジンが不在で、ドラマ性は薄い。にわかには信じられない。

プロトタイプのエヴァイヤは、四輪駆動のようには感じられなかった。フロントタイヤも23%の割合で力を生み出しているはずだが、それを体感することは難しかった。高速でコーナーの縁石に乗り上げた時、わずかな手応えを感じた程度だ。

肌寒いコンディションだから、低速コーナーでのハンドリングバランスは、当初はリア寄り。トロフェオRが温まるにつれて、感心するほどニュートラルに変化していく。アクセルペダルを深く踏み込んだ状態でも。

さらに攻め立てれば、オーバーステアに転じていく。凄まじいグリップ力が抜けると、コーナー内側のリアタイヤからスピンを始める。量産版のトルクベクタリングが実装されれば、より統制の取れた挙動になるだろう。

減速時に実感するエヴァイヤの車重

エヴァイヤが完成した暁には、油圧で可動するリアウイングとディフューザー、フラップなどで構成される、アクティブ・エアロが装備される。ボディ下部には、ベンチュリー効果を生み出すトンネルが仕込まれる。

ダウンフォースの数値は明らかになっていない。しかし、かなりの力で地面に押さえつけられることは間違いないだろう。

プロトタイプの場合、比較的高いダウンフォースが生まれるように設定されていた。高速コーナーで効果は明らかだったが、ステアリングの操舵感が重くなることはなかった。

ブレーキは、ブレンボ社製のカーボンセラミック・ディスクを備えるレース仕様。制動力は凄まじいが、ABSの調整が済んでおらず、ブレーキングポイントは手前に設定する必要があった。減速時には、軽くないエヴァイヤの車重を実感させられた。

プロトタイプへの試乗は15分。エヴァイヤの能力のすべてを確かめることは不可能だ。

ロータスによれば、量産版のエヴァイヤは402kmの航続距離を得るという。もちろん激しく運転するほど、バッテリーの消費も早い。そのかわり、最大で350kWの急速充電器にまで対応する。

最短なら、激しくサーキットを走り込んで消費する時間より速く、バッテリーを満充電にできる。とはいえ、ガソリンの給油ほど短くはならない。サーキットの走行会では、短くない時間を充電に費やすことになるだろう。

ちゃんとロータスらしいハイパーカー

量産版より明らかに手前段階のプロトタイプだったが、エヴァイヤの現時点での仕上がりは印象深いものだった。ロータスは最大で130台のエヴァイヤを製造する計画を立てている。売り切れにはならないかもしれないと、上層部は考えてもいるようだ。

同時に、潜在的な購買層がエヴァイヤの特別さを理解すれば、感心は高まるだろうとも考えている。凄まじい走りを実際に体験すれば、心が動くかもしれない。

筆者が一番印象的だったことは、ロータスが生み出した初のハイパーカーが純EVだったということではない。ちゃんと、ロータスらしいクルマだったということ。

量産版ロータス・エヴァイヤの完成を、楽しみに待っていよう。

ロータス・エヴァイヤ・プロトタイプのスペック

価格:216万ポンド(3億2400万円/予想)
全長:−
全幅:−
全高:−
最高速度:321km/h以上
0-100km/h加速:4.1秒
航続距離:402km
CO2排出量:−
車両重量:1680kg
パワートレイン:クワッド電気モーター
バッテリー:70kWhリチウムイオン
最高出力:2000ps
最大トルク:173.0kg-m
ギアボックス:シングルスピード・オートマティック

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みんなのコメント

14件
  • 0~100㎞が4.1秒も掛かってるのに、0~300㎞が9秒以内って無理だろ
    だから、テスラモデル3Hより遅く感じるのだろ
    ロータスの持ち味は軽量なのに、大量に電池を積むとロータスらしく無い車に成るな
    ま~売り切れる事を願ってるよ。
  • シャシー屋のロータスにとってEVはさもありなんとも思うが、1.7tの2000psと言われると閉口してしまう。
    ただ、このご時世ビジネスとしては前時代のイメージに拘ってばかりはいられないと言うことか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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