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若者が8人乗りの軽自動車で起こした事故! 運転技量以前に「事故って」当たり前の状況とは

掲載 更新 34
若者が8人乗りの軽自動車で起こした事故! 運転技量以前に「事故って」当たり前の状況とは

 乗車定員に合わせて安全に走れるよう開発されている

 高齢ドライバーの運転適正について、その是非が論議されていることは広く知られるとおりだ。高齢化による身体機能の衰えが、安全に自動車を走らせる上での大きな障害になるというのがその争点だが、逆に、若年層ドライバーに対しては、運転技量の未熟さを取り沙汰する傾向があるようだ。

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 たしかに、運転経験が少ない分だけ運転技量は未熟という言い方はできるのだが、もう少し正確に表現するなら、自動車の動きに対する経験値の不足と言い替えるべきだろう。

 正直なところ、運転技量の巧拙は、免許取得年数に比例するものではない。何年運転していようが、ダメな人はダメであり、上手い人はたちどころに技量を上げているからだ。実際、日常自動車を走らせる上で、運転技量の巧拙が大きな問題となるケースはほとんどない。

 それよりも、やはり効いてくるのは経験値の積み重ねの有無だ。たとえば、定員をはるかに超す人数で乗車した軽自動車が事故を起こした、というニュース報道を耳したこともあるが、これなども運転技量の巧拙が事故に直結した、とは言い難いからだ。

 もちろん、卓越した運転技量であれば、多人数乗車の軽自動車でも、事故を起こさずに済むかもしれないが、なにより軽自動車の運動特性が、物理限界の面で相当危うい状態にあった、という事実のほうが重要である。

 記憶に残る例として、運転免許を取得してから日も浅いドライバーが、仲間と8人で軽自動車に乗り込み、コースアウトして衝突、大きな事故となったケースだ。車種が何であったかは確認できなかったが、2シーターのコペンやS660、あるいは軽トラでないことは確かで、物理的に8人が乗り込める空間スペースを有する車両ということで間違いないだろう。

 さて、クルマには走る、曲がる、止まるという基本の運動3要素があるわけだが、これと車両重量の関係について着目したい。8人が乗車できたということだから、ミニバンタイプを想定してよいと思うが、各メーカーの当該車両のデータに目をやると、700kg台中盤から900kg近い空車重量となっている。この数字を元に、乱暴だが冷却水とオイル、ガソリンを満タンの状態にして850kgの車両重量だったとしよう。

 定員は4名。データは少し前のものとなるが、厚労省発表の平成30年の統計データによると18~20歳男子の平均体重は62~63kgとなる。1人62.5kgとして4人で250kg。これに車両重量の850kgを足すと1100kgとなる。一方、8人乗車では1350kgとなり、定員乗車よりじつに19%の重量増となる。

 想定を超える重量増は安全走行を阻害する

 エンジン出力を55馬力とした場合、8人乗車の場合パワーウエイトレシオは24.5kg/馬力となり、相当緩慢な加速性能となるが、問題は、曲がると止まるの2要素だ。曲がる、つまり遠心力、止まる、つまり制動力の問題だが、ともに質量に比例、速度の2乗に比例して大きくなるため、想定車重よりはるかに重くなった車両では、曲がらない、止まらないと動きとなってしまう。

 とくに、旋回運動に対しては、重荷重によってサスペンションが縮んだ状態となり、伸び縮みによって荷重を支えるサスペンション本来の働きができなくなり、さらに慣性力が格段に大きくなることで、簡単に転倒しやすいというリスクまで負ってしまう。

 問題は、重量の増減で変化するクルマの動きを、ドライバーが経験値として対応できるか、否かにある。重量とハンドリングの関係は、たとえばセダン型乗用車でもはっきり体感することができる。前2席乗車のときと後席にふたり追加した状態では、旋回特性や制動特性に大きな違いが出てくることは、経験を積んだドライバーなら本能的に理解できる問題だ。

 許される話ではないが、経験値が豊富なドライバーなら、8名乗車で走る際は、本能的に速度を抑えた運転となるだろう。通常の乗車定員の場合と同じ速度で走ってしまうと、曲がれない、止まれないことを、身を以て知っているからだ。しかし、この経験がないと、なんとか走ることはできても、ステアリングを回した場合、ブレーキを踏んだ場合、曲がれず、止まれず、コースアウトや転倒、衝突といった事態に結び付くことなる。

 経験値のあるなしで、過乗車の例を説明したが、問題の根底は、車両重量増という物理特性にあることは言うまでもない。わずか10kg~20kgの車重変化でも、走行タイムに差が生じるレーシングカーの例を考えれば、軽自動車で大人4人分、250kgの車重変化が生じることは、いかに重大事であるか分かるだろう。自動車は、物理限界を超えて走ることはできないのである。

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  • 正しく使えば便利で経済的な軽乗用車でも、8人乗るなどあまりにも非常識な乗り方をすれば「走る棺桶」になるわな。
  • 交通ルールを守ろうが軽自動車は常に走る棺桶と考えるべし。
    ルールを逸脱すれば軽自動車は走る棺桶と化す。
    さらに逸脱すれば他人を巻き込む刃になる。もちろん軽自動車に限る。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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