2021 SUPER FOMULA Rd.1
2021年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第1戦
プジョー e-208がイタリアのパトカーに! 健全な経済社会はピュアEVが守る
昨シーズンに続き三浦 愛選手が現地からレポート
GENROQ Web 読者の皆様こんにちは!レーシングドライバーの三浦愛です。
いよいよ2021年のレースシーズンが始まりました。ということで、今年もこの場をお借りして国内最高峰レース「全日本スーパーフォーミュラ選手権」の知られざる魅力をたっぷりお伝えさせていただきたいと思いますので、どうか皆様お付き合いいただければ幸いです。
それでは早速、2021年シーズン第1回ではGENROQ読者の皆様に馴染みの少ない「全日本スーパーフォーミュラ選手権」の基礎知識をおさらいし、注目ドライバーと開幕戦のレビューをお伝えしていきます。
「全日本スーパーフォーミュラ選手権」おさらい
「SuperGT」と並ぶ国内最高峰レースとしてトップドライバーたちが鎬を削り、今やF1、インディにも引けを取らない世界から注目を集めているレースです。
シャシーはイタリアDallara社製のSF19を採用。2019年にアップデートされたこのマシンにはドライバーの頭部を守るヘイローも採用されました。最低重量はドライバー込みで660kg、クイック&ライトをコンセプトに設計されたSF19の最高速度は300km/h超え。鈴鹿サーキットのコースレコードは1分34秒442、F1の僅か7秒落ちという驚異のスピードを持っています。
エンジンは2.0リッター直列4気筒直噴ターボ。トヨタ、ホンダの2メーカーにより供給されています。タイヤは横浜ゴムのワンメイク。2021年は、従来のソフトタイヤである比較的柔らかいコンパウンドに統一されています。最大レース時間は1時間15分、最低1ピットストップ(タイヤ交換)が義務付けられています。エンジン以外ほぼイコールコンディションで戦う「全日本スーパーフォーミュラ選手権」は、ドライバーのテクニックとチームの技術力が集結した“世界一のワンメイクレース”と言えるのではないでしょうか。
三浦 愛レポーターの今季注目ドライバーは?
全日本スーパーフォーミュラ選手権で戦うドライバーの多くは、プロとして活動するレーシングドライバーです。元F1ドライバーの小林可夢偉選手や中嶋一貴選手を筆頭に錚々たる面々が名を連ねています。
私、個人的には全員をご紹介したいほどです(笑)が、今回スポットを当てたのは、過去6度の優勝経験を持つベテランドライバー #19 carenex TEAM IMPUL 関口雄飛選手と参戦2年目を迎えた全日本スーパーフォーミュラ選手権初の女性ドライバー #12 ThreeBond DragoCORSE タチアナ・カルデロン選手です。今回は、この2名のドライバーに昨シーズン苦戦を強いられた“リベンジ組”として、オフシーズン中のトレーニング方法や今季に賭ける想いをお伺いしてきました。
#19 carenex TEAM IMPUL 関口雄飛選手
1987年生まれ33歳、年齢的には全日本スーパーフォーミュラ選手権の中で上から4番目のベテランドライバーです。繊細なテクニックで速さと見応えあるバトルを見せ続けてくれていますが、昨シーズンは予選Q1で敗退することも多く、本人曰く“見えないレース”が続いていたようです。
そんな中、気持ちの切替えやモチベーションを維持するために「自分は悪くない」と思っていたとか・・・。一見マイナスな印象にも捉えられますが、プロとして“自信を失わない”ために彼が考え抜いた末の結論だったのだろうと、同じドライバーとして感慨深いものがありました。とは言え、誰かのせいにする訳にはいかない厳しい世界でプロとして自分を磨くため、オフシーズン中はフィジカルトレーニングに加え、氷上で車を走らせたりグリップの悪いレーシングカートで腰のセンサーを磨き直したのだそう。
インタビューの最後に今季の意気込みを聞くと、「チームがマシンの改良を進めてくれ、常に上位を狙えるポテンシャルがありそう。開幕戦は一年の流れを作る大事なレース。とにかく良い結果を出したい」と、本来の自信を取り戻したような表情で答えてくれました。
#12 ThreeBond DragoCORSE タチアナ・カルデロン選手
初参戦となった昨シーズンについて彼女は「とてもポジティブな一年だった。初めての事ばかりだったが、トップクラスの選手権で経験豊富なライバルたちと戦い成長できた」と、リザルトだけでなく日本で学んだ様々な“プロセス”に大きな価値を見出してくれていました。
女性ドライバーとして前例のない挑戦で彼女が今、自分に必要だと感じるものは“フィジカル”と“メンタル”だそう。彼女は、小柄ながらもしっかりと軸のある鍛えられた身体ですが、スーパーフォーミュラは並大抵の人間が操れるマシンではないということを彼女の言葉の端々から感じることができました。
メンタルに関しては、オフシーズン中に限らず日頃からAIを使った集中力強化アプリでトレーニングをしているとのこと。
「昨シーズンは予選で上手く攻められなかったが、ひとつずつ良いステップを踏めている。今季はトップ10を目指して毎戦ポイントを獲りたい」と、キュートな笑顔の中にも芯のある眼差しで意気込みを語ってくれました。
今年も開幕戦から見どころ満載
4月3日(土)~4日(日)、新型コロナウイルス感染防止のため入場制限などの対策が行われた富士スピードウェイで「2021全日本スーパーフォーミュラ選手権」が開幕しました。今季は、土曜日に予選、日曜日に決勝(4.563km×41周)を行う2day開催が復活し、2日間で1万9100人のお客様にご来場いただきました。
開幕戦のエントリーは18台。フリー走行から調子の良さを見せていたのは #16 TEAM MUGEN 野尻智紀選手。「医療従事者の皆様ありがとうございます!」と書かれたマシンのカラーリングが印象的ですが、私の目にはこのレースウィークが彼のひとり舞台だったように映るほど圧倒的な速さと強さを見せてくれました。予選Q1では唯一の1分21秒台をマーク、Q2、Q3と着実に自己ベストを更新しながら危なげなくポールポジションを獲得。“ハマると手を付けられない速さを持つ”と定評のある野尻選手らしさが光る予選でした。
野尻選手がポール・トゥ・ウィンで開幕戦を飾る
2番手には #64 TCS NAKAJIMA RACING 大湯都史樹選手、3番手に #6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 笹原右京選手が続き、ホンダ勢優勢かと思わせる結果となりました。注目の#19 関口雄飛選手は9番手、#12 タチアナ・カルデロン選手は初のQ2進出で11番手につけました。
決勝レースは予選と打って変わって雨予報のイヤぁ~な空の下、スタートをキメたのは #64 大湯都史樹選手。昨年、デビューイヤーで優勝を果たし、今、乗りに乗っているドライバーです。が、レース中盤に差し掛かった頃、#16 野尻智紀選手が意地のブレーキングで大湯選手のインに飛び込み技あり。後輩に見せつけるかのような華麗なパッシングでトップの座を奪い返し、見事、開幕戦のウィナーに輝きました。
レース後半は雨が降ったり止んだり、路面が濡れ始め難しいコンディションの中、野尻選手は「怖かったですね」と笑顔でレース直後の優勝インタビューに答えていました。決勝レース結果は、優勝が #16 野尻智紀選手、2位に #64 大湯都史樹選手、3位には笹原選手とのチームメイトバトルを制した #5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 福住仁嶺選手、4位に #20 carenex TEAM IMPUL 平川 亮選手となりました。
ベテラン、ルーキーそれぞれが持ち味を見せる
ここで注目したいのが昨年のチャンピオン #1 TCS NAKAJIMA RACING 山本尚貴選手です。オフシーズンテストから不調を引きずり、なんと決勝スターティンググリッドは後ろから2列目16番手からのスタートでしたが、チャンピオンの意地とプライドで6位入賞と見事なレースを見せてくれました。
そして、#19 関口雄飛選手は、スタート直後にタイヤのパンクで順位を落としてしまいましたが、レース中のベストラップは4番手タイムと次戦に期待を持たせてくれる走りでした。#12 タチアナ・カルデロン選手も最後まで諦めない走りで13位フィニッシュとポイント獲得への可能性を感じさせてくれました。
今年も目が離せないシーズンとなりそうです!次回もお楽しみに。
REPORT/三浦 愛(Ai MIURA)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)
【プロフィール】
三浦 愛
12歳よりレーシングカートで数多の勝利を重ね、FIAソーラーカーレースでの優勝も経験。2001年のSL名阪 最終戦 FP3-Fクラスでの優勝を皮切りに、Rotax Maxなどでの参戦を経て2011年にはスーパーFJのシートを獲得し、フォーミュラチャレンジ・ジャパン、全日本F3選手権などでも優勝を果たしている。
【レーススケジュール】
第2戦:4月24日(土)~25日(日) 鈴鹿サーキット
第3戦:5月15日(土)~16日(日) オートポリス
第4戦:6月19日(土)~20日(日) スポーツランドSUGO
第5戦:8月28日(土)~29日(日) ツインリンクもてぎ
第6戦:10月2日(土)~3日(日) 岡山国際サーキット
第7戦:10月30日(土)~31日(日) 鈴鹿サーキット
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