現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 2024年は特例なし。ル・マン24時間でのタイヤウォーマー禁止、ハイパーカードライバーはリスクを軽視

ここから本文です

2024年は特例なし。ル・マン24時間でのタイヤウォーマー禁止、ハイパーカードライバーはリスクを軽視

掲載
2024年は特例なし。ル・マン24時間でのタイヤウォーマー禁止、ハイパーカードライバーはリスクを軽視

 WEC世界耐久選手権のトップカテゴリーでハイパーカーをドライブする、ポルシェとキャデラック、さらにプジョーのドライバーたちは、今季2024年のル・マン24時間レースでタイヤウォーマーが禁止されたことがアウトラップをチャレンジングにするものの、安全上の大きなリスクにはならないと考えている。

 WECでは昨シーズンよりタイヤウォーマーの使用が禁止されているが、2023年のル・マンでは“前哨戦”のスパ・フランコルシャン6時間レースでタイヤが冷えてる状態で複数のマシンがコースオフを喫したことを受けてこのルールに批判が集まったため“一回限り”の例外措置が取られた。

スペシャルカラー、日本勢も続々登場。2024年ル・マン24時間レースの公開車検が始まる

 しかし、今年はこの特例を認めないことが早々に決定された。WECのスポーティングレギュレーション6.5.5には「タイヤの温度(周囲温度と比較して)を変更する直接的または間接的な試みを伴うプロセスを禁止する」と記されている。

 キャデラック・レーシングでアール・バンバー、アレックス・パロウとともに2号車キャデラックVシリーズ.Rをドライブするアレックス・リンは、この変更がもたらす結果は「誰にとっても同じ」だと考えているが、ルール変更にうまく対応できるメーカーもあると指摘する。

「究極的には、コールドタイヤでの走りが非常に優れているクルマが存在する」とリン。

「それは間違いなく多くの人にとってメリットになると思う」

 このイギリス人ドライバーは、トヨタ、フェラーリ、プジョーのようなル・マン・ハイパーカー(LMH)メーカーが、それぞれのクルマの全輪駆動レイアウトのおかげで有利になる可能性があると考えている。

「どちらかというと(トラクション側よりも)ブレーキ能力のほうが優れている」とリンは語った。

「彼らは事実上、四輪の制動能力を持つことができる。ある意味、MGUを使えばフロントモーターでいろいろなトリックを行うことができるんだ」

 彼は続けてLMDhメーカーの中でポルシェを優位に立てる可能性のあるメーカーのひとつに挙げ、ドイツのブランドがコールドタイヤに「非常に強い」ことを指摘した。

 これに対してポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの5号車ポルシェ963を駆るミカエル・クリステンセンは、リンのコメントを一蹴し「彼が何を根拠にそんなことを言うのかわからない」と述べた。

「もちろん、僕たちはどんな状況にも対応できるできるように取り組んでいるが、ウォームアップを検討する以前に、まずは完璧なパフォーマンスを出したいと考えている」

「物事がうまくいくこともある。(冷えたタイヤで強く見えたとしたら)そういうことのひとつだと思う」

■要注意ポイントはストレート前のテルトル・ルージュ

 クリステンセンは、タイヤの発熱不足がドライバーのミスのリスクを高める可能性があるとしながらも、それが大きな危険を伴うとは考えていない。

「ミュルサンヌ・ストレートの最初のシケインを抜ければ、大丈夫だと思う」と彼はSportscar365に語った。

「ピットを出てからその地点まではストレートでもタイヤにかなり熱が入るし、グリップの感触をつかみ始めるから、ある程度のことは予想できると思う」

「でも、とくに僕たちのマシンは冷えたタイヤがあまり好きではないと思う。そこではミスをするリスクがある。他の人がミスをして、それに巻き込まれるリスクだってあるんだ」

「(ル・マンでは)何度もスティントをこなさなければならない。まったく新しいタイヤでフラットスポットを作ってしまうリスクもある。これは大きな問題になるかもしれない」

「(タイヤが冷えた状態のドライブは)ミスを犯す可能性が大きくなるだけだ。危険だとか、そういうことではないと思う。ただ難しくなるだけ。大丈夫だと思うよ。レース中に問題に直面する人もいるかもしれないけどね」

 クリステンセンと同じデンマーク出身のミケル・イェンセンも、ポルシェのファクトリードライバーと同様に、アウトラップのオープニングセクターがドライバーにとって最大の難関になると考えているが、ソフトコンパウンド・タイヤが使用可能になることでドライバーは楽になると付け加えた。

 ジャン-エリック・ベルニュ、ニコ・ミューラーとともにプジョー・トタルエナジーズが走らせる93号車プジョー9X8のコクピットをシェアするイェンセンは、「ピットレーンを出て、S字からストレートに入るとき(テルトル・ルージュ)が一番難しいと思う」と語った。

「ストレートに出れば、スピードとともにタイヤの温度も上がってくる。どの程度難しいかを言うのはとても難しい。コールドタイヤを履いているのは僕だけじゃない。それが現実だ」

「ル・マンがタフなレースであることは間違いない。そのなかで夜間にソフトタイヤが使えるのは助かる」

「実際には昼間のミディアムのほうが難しいだろう。ソフトタイヤのほうが温まりやすいからね。もちろん、気温やトラックの温度に左右されるのは明らかだ。でもそれは誰にとっても同じ。ハードな道だよ」

こんな記事も読まれています

「間違いなくポジティブ」ル・マンで完走を果たしたランボルギーニ、WEC後半戦はペース改善が目標
「間違いなくポジティブ」ル・マンで完走を果たしたランボルギーニ、WEC後半戦はペース改善が目標
AUTOSPORT web
ル・マン決勝前日に完成。シャシー交換で蘇ったJOTAポルシェが8位入賞「完走できると思ってなかった」
ル・マン決勝前日に完成。シャシー交換で蘇ったJOTAポルシェが8位入賞「完走できると思ってなかった」
AUTOSPORT web
ル・マンで代役務めたホークスワース、「レクサスを勉強中」のアコーディスASPの将来を楽観視
ル・マンで代役務めたホークスワース、「レクサスを勉強中」のアコーディスASPの将来を楽観視
AUTOSPORT web
アジアン・ル・マン・シリーズにハイパーカークラス導入か。ACOの考えと各メーカーの反応
アジアン・ル・マン・シリーズにハイパーカークラス導入か。ACOの考えと各メーカーの反応
AUTOSPORT web
BMW、前戦ノーポイントからル・マンで2位表彰台。ペース劣るも「最後は笑顔になれた」とファーフス
BMW、前戦ノーポイントからル・マンで2位表彰台。ペース劣るも「最後は笑顔になれた」とファーフス
AUTOSPORT web
高速走行中に目が合った可夢偉とフォコ/SC出動記録を更新/動員は昨年比微増etc.【ル・マン24時間決勝後Topics 2】
高速走行中に目が合った可夢偉とフォコ/SC出動記録を更新/動員は昨年比微増etc.【ル・マン24時間決勝後Topics 2】
AUTOSPORT web
【ポイントランキング】2024年WEC第4戦ル・マン終了時点
【ポイントランキング】2024年WEC第4戦ル・マン終了時点
AUTOSPORT web
「壮絶でしたよ」。ル・マン2位表彰台のトヨタ小林可夢偉が心情を吐露。「もっと速くなれる」と来年の自信も
「壮絶でしたよ」。ル・マン2位表彰台のトヨタ小林可夢偉が心情を吐露。「もっと速くなれる」と来年の自信も
AUTOSPORT web
大雨で終盤に赤旗中断。波乱のワトキンス・グレン6時間をポルシェ7号車が制し今季2勝目/IMSA第6戦
大雨で終盤に赤旗中断。波乱のワトキンス・グレン6時間をポルシェ7号車が制し今季2勝目/IMSA第6戦
AUTOSPORT web
ホモロゲーション延長でマクラーレンに「余裕」。LMDhプログラムは2027年参戦開始を目指す?
ホモロゲーション延長でマクラーレンに「余裕」。LMDhプログラムは2027年参戦開始を目指す?
AUTOSPORT web
「結果を残したい」宮田莉朋、走行経験あるバルセロナは今季最大のチャンス/FIA F2第6戦プレビュー
「結果を残したい」宮田莉朋、走行経験あるバルセロナは今季最大のチャンス/FIA F2第6戦プレビュー
AUTOSPORT web
「ル・マン24時間」のロレックスブースに果敢に潜入! 1万円の「ポルシェTシャツ」を躊躇する私には遠い別世界でした【みどり独乙通信】
「ル・マン24時間」のロレックスブースに果敢に潜入! 1万円の「ポルシェTシャツ」を躊躇する私には遠い別世界でした【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
最終コーナーでクラッシュ続出。ドライバーたちの不満と“危機意識”「もうちょっと耳を傾けて欲しい」/SF第3戦SUGO
最終コーナーでクラッシュ続出。ドライバーたちの不満と“危機意識”「もうちょっと耳を傾けて欲しい」/SF第3戦SUGO
AUTOSPORT web
マクラーレン、LMDhマシンでのル・マン参戦計画が現実的に。規則延長で“余裕”生まれる「あとはタイミング次第」
マクラーレン、LMDhマシンでのル・マン参戦計画が現実的に。規則延長で“余裕”生まれる「あとはタイミング次第」
motorsport.com 日本版
RB20の縁石問題を解決するためフェルスタッペンがイモラでテスト。旧型マシンを“参考資料”に弱点を探る
RB20の縁石問題を解決するためフェルスタッペンがイモラでテスト。旧型マシンを“参考資料”に弱点を探る
AUTOSPORT web
ル・マン24時間の多彩なレーシングカーの走行に大興奮! 公道レースは取材者も注意しなければ危険です【みどり独乙通信】
ル・マン24時間の多彩なレーシングカーの走行に大興奮! 公道レースは取材者も注意しなければ危険です【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
10年ぶりの勝利を目指すチームWRT、スパ24時間で使用するBMWのマシンカラーリングを公開
10年ぶりの勝利を目指すチームWRT、スパ24時間で使用するBMWのマシンカラーリングを公開
AUTOSPORT web
驚速パロウが大荒れのレースを制す。ポール・トゥ・ウインで今季2勝目/インディカー第8戦ラグナ・セカ
驚速パロウが大荒れのレースを制す。ポール・トゥ・ウインで今季2勝目/インディカー第8戦ラグナ・セカ
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村