アストンマーチンF1の超進化、その秘密は『勝つために何でもやる』意思？ 開幕戦で3位アロンソ「ひとつのチームしか持ってないみたいだ」

　2023年のF1開幕戦バーレーンGPが行なわれ、アストンマーチンのフェルナンド・アロンソが3位表彰台を獲得したことで、同チームが今年大進歩を遂げたことが、結果で証明された。

　テストの時点でアストンマーチンが大きく改善していることは他チームも指摘していた。しかし昨年コンストラクターズランキング7位のアストンマーチンが、開幕戦で早くも表彰台を獲得するというのは、非常に印象的な事態と言えるだろう。

　通常、F1チームがトップ争いに近づくためには、何年も時間がかかると言われてきた。アストンマーチンが非常に積極的な投資や人員増強を行なっていることは間違いない。しかしこの急速な進歩には驚きの視線が向けられている。

　そしてチームを移籍したばかりで3位を獲得したアロンソは、アストンマーチンが劇的な進歩を遂げた一方で、ライバルチームが苦戦している要因はある要素を欠いているからだと示唆する。

　アロンソは、オーナーのローレンス・ストロールが持つ情熱と、チーム内の成功だけを考える姿勢がこの進歩の鍵だと考えている様子だ。

「ローレンス・ストロールのビジョンと野心、それにチームのリーダーシップとマネジメントが皆にも必要なんだと思うよ。チャンスは誰にでもあるものだからね」

　アロンソはそう語る。

「だけど、勝つために何でもしてやろうという気持ちを持っているのは、たったひとつのチームだけのようだ。そのチームの一員でいられることを誇りに思う」

　レッドブルが昨年のチャンピオンチームらしく抜けた強さを発揮しているのは間違いない。ただアストンマーチンAMR23の速さ、そしてフェラーリやメルセデスが苦しんでいることも合わせると、アロンソには今後まだまだ成功を納めるチャンスがあるように思える。

　彼としても、マシンのポテンシャルを考えると、今年は勝利するチャンスがあると考えているようだ。

「ああ、イエスだ。開幕戦で3位になっているし、今シーズンはまだ22戦もチャンスがあるんだ」

　今シーズン勝てると思うかと尋ねられたアロンソはそう答えている。

「（アルピーヌ時代の）昨年ですら、雨の予選になったカナダGPで、僕はグリッドの先頭に並んでいた。分かっていると思うけど、22戦あって様々なコンディションになれば、何でも起こりうるものだ。そして、そのチャンスを手にするために、ベストを尽くしていくつもりだ」

「何かの“助け”は必要かもしれないけどね。昨年、僕らはトップチームから表彰台を奪うためにもその何かが必要だった。だけど今年はそんな何かがあったり、先頭で問題が起きたりリタイアがあったりすれば、表彰台以上の結果になるかもしれない。だから、期待しておこう」

　開幕戦を終えた時点では、アストンマーチンはレースペースに優れながらもフェラーリなどに対して予選アタックで遅れを取っていた。

　アロンソはこうした状況にあっても、新コンセプトのマシンにはまだまだ開発の領域が残っていると考えており、今はスタート地点に過ぎないと語った。

「改善する必要のある部分はいくつかある。でもそれを公言するつもりはないよ」

「ただ一番重要なのは、このアストンマーチンのマシンは本当にニューマシンでありニュープロジェクトだ、ということだ。始まったばかりなんだ」

「最終的なマシンではなく、冬の間に変更したこのコンセプトのスタート地点に過ぎない。トップチームは昨年からの哲学を維持しているんだ」

「レッドブルやフェラーリは大体同じ形状をキープしていた。微調整をして、彼らの優れたベースラインを完成させていた」

「僕らはもっと難しいものだった。マシンの95％は変える必要があったんだから。だからこそ、このマシンからはもっと学ぶべきモノがある。僕らの方でやるべき事がたくさんあるんだ。チームを完全に信頼しているし、彼らもやるべきことを理解している。だからすぐに改善していくことを期待しているんだ」