2024FIMアジアロードレース選手権(ARRC)シリーズ第3戦日本ラウンドは、6月8日(土)に公式予選とレース1を行った。舞台は初めて栃木県・モビリティリゾートもてぎで開催され、ASB1000クラスでは西村硝(TKKR BMW Racing Team)が初優勝を飾った。
予選までは國井勇輝(SDG Team HARC-PRO. Honda Ph.)がイニシアチブを握っていた。特にアベレージでは、他を圧倒し、レースは独走が予想されていた。一方、西村も好調だった。第2戦中国で昨年のARRC ASB1000チャンピオンのマーカス・レイターベルガー(TKKR BMW Racing Team)の代役として参戦。これが1000ccの初レースとなったが、ぶっつけで雨の多いレースウイークとなった。
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ウエットレースとなったレース1は7位、レース2は台風のために中止となっていた。その後、鈴鹿8耐に参戦することが決まり、ヤマハYZF-R1だったが、このレースウイーク直前に1000ccで走り込んだことがプラスに働いたという。
かくしてレース1がスタートすると西村はセカンドグリッドから好スタートを切りホールショットを奪うと、5コーナーでハフィス・シャーリン(JDT RACING TEAM)にかわされるが、S字コーナー進入でその座を奪い返しトップを快走する。一方、國井はスタートで出遅れ4番手につけていたが、2周目の5コーナーへのブレーキングでナカリン・アティラプワパ(Honda Asia-Dream Racing with Astemo)のインに入るがラインが交錯し接触。ナカリンが転倒し、國井はマシンにダメージを受けてしまい白煙を吹きながら130Rでストップ。さらに引火してしまったため、赤旗中断となる。
レースは仕切り直しとなるが、13周から9周に周回数は短縮され、クイックリスタートで行われた。國井はマシン修復が間に合わずレース出走を断念している。
「決して焦っていたわけではないのですが、ブレーキングミスですね。行きすぎてしまいナカリンを転倒させてしまいましたし、チームやスポンサーの皆様に申し訳ないレースをしてしまいました。幸いすぐにレース2があるので、すぐにリベンジしたい気持ちが強いですね」と國井。
國井のいない2度目のスタートは、またも西村がホールショットを奪い始まった。またも5コーナーでシャーリンがトップに立つが、西村もそのテールをピタリとマークし3周目のS字コーナー進入でトップに立つと、そのままレースをリードする。
レース終盤になると西村を先頭にシャーリンとナカリンが続いていた。西村は、2番手以下を引き離していたと思っており、少しペースを落としていた。そしてファイナルラップを迎えると、シャーリンとナカリンが背後に迫ってくる。5コーナーのブレーキングでシャーリンにかわされて、初めて近い距離にいたことに気付いたという。西村は、すかさずS字コーナーの進入で抜き返すと、そのままトップでゴール。うれしいARRC初優勝を飾った。
「國井選手が出られなくなったので勝てる可能性が高くなったと思いました。サインボードの場所がよく分からなくて、後ろはいないと思っていたら、最終ラップにシャーリン選手に抜かれて初めて気付きました。すぐに抜いて何とか抑え切れてよかったです。今回は走り始めから攻めることができたので、調子はよかったのですが、まさか勝てるとはと。心の隅に少しだけありましたけれど(笑)。今年はレギュラー参戦していないので、今回のようなチャンスでを活かしていかないといけないですから」と1000cc2レース目で西村。
AP250クラスは、4人の日本人ライダーが参戦。唯一レギュラー参戦している井吉亜衣稀(Motul Sniper Manual Tech)に、伊達悠太(VICTOR RACING Team)、横江竜司(Team TEC2 & MOTOTEC-R4 & YSS)、荻原羚大(SANWA RACING TEAM)が激しい2位争いを繰り広げた。井吉と伊達は多重クラッシュに巻き込まれ悔しいリタイア。荻原が6位、横江が7位でチェッカーフラッグを受けた。
SS600クラスでは、長尾健吾(TEAM KENKEN)がレースの大半をリード。追い上げて来たアピワット・ウォンタナノン(YAMAHA TEKHNE Racing Team ASEAN)との一騎打ちとなるが、最終ラップの攻防で惜しくも敗れ2位でゴール。松岡玲(YAMAHA Racing Indonesia)が10位でチェッカーフラッグを受けている。
TVSクラスは、尾野弘樹、スポット参戦の三谷然、マレーシアのモハド・ラムダン・ロッシが三つ巴のトップ争いを繰り広げ、尾野が貫禄の勝利を飾っている。
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