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今や当たり前だけど「アルミフレーム、FI、倒立フォーク」国産車で初採用のモデルは?【日本車はじめて物語】

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今や当たり前だけど「アルミフレーム、FI、倒立フォーク」国産車で初採用のモデルは?【日本車はじめて物語】

電子制御燃料噴射=カワサキZ1000H、負圧式キャブレター=ホンダCB450

■フューエルインジェクション=電子制御燃料噴射:カワサキ Z1000H(1980)

【画像10点】「CB、Z、ガンマ、ZXR」国産初採用のメカニズムを持つ記念碑的モデルを写真で解説

従来からの燃料供給装置だったキャブレターに代わり、フューエルインジェクション(FI)を初採用したのは、カワサキの輸出向けモデルZ1000HとアメリカンモデルのZ1クラシックだった。
当初採用したのはドイツのボッシュ製Lジェトロニックだったが、4輪用メインで使われた同機構の2輪への転用では、機能面のほかコスト、サイズや重量面で課題が多く残された(兄弟モデルのZ1000MkIIに対して約10kg重くなったという)。

そこで自社開発したのがカワサキ独自のDFI=デジタル・フューエル・インジェクションで、国内販売車で初採用したのはZ750GP(1982)。しかし、当時の技術ではキャブレターの自然でパワフルな特性に肩を並べることが難しく、またコスト高もネックとなった。その後、他社も含めてFIが高性能車に普及し始めるのは、1990年代後半になってからだ。

■負圧式キャブレター:ホンダ ドリームCB450(1965)

燃料と空気をミックスして、エンジンに送り込む混合気を作るのがキャブレター。従来は、開閉バルブを直接スロットル操作でのワイヤー引きで行う強制開閉式が主流だった。だが、エンジンのピストン下降時に発生する負圧を利用し、エンジン回転発生時の負圧に合わせてキャブ頭部に設けられたピストンをスライド開閉させるようにしたのが負圧式キャブレターだ。

4輪スポーツカー用のSUキャブの仲間でもあり、アクセル操作をラフに行ってもスムーズな回転が得られるほか、マイルドで扱いやすい特性に貢献するのが特徴。4輪ではホンダS500が最初で、2輪での世界初は1965年のホンダCB450に装備のケーヒンCV型だった。その後1970年のヤマハXS-1にはミクニ製の負圧型BSキャブを装備。2ストロークのGT750にも、1974年からBSキャブが使われた。

アルミフレーム=スズキ RG250Γ、フロント倒立フォーク=カワサキ ZXR400ほか

■アルミフレーム:スズキ RG250Γ(1983)

1980年代を迎える以前、一品モノのワークスレーサーのフレームやスイングアームなどにアルミが使われることはあったものの、量産車で初めてアルミフレームを採用したのは、レーサーレプリカの火付け役として人気が沸騰したスズキのRG250Γだった。

アルミの構造物が量産しにくいのは、熱伝導が良いために溶接時の熱ひずみが大きく、溶接性が悪いことが当時ネックだった。そんなアルミフレーム量産の決め手は溶接箇所を少なくし、極力部品の一体化を進めて造ることだったという。
その後1980年代後半に入ると、国産各社の高性能モデルにもアルミフレームが採用されるようになった。

■モノショック:丸正自動車製造 ベビーライラックJF(1953)

リヤ1本サス(モノショック)機構は、意外にもセミスクーターのベビーライラック(87cc単気筒)が、スイングアーム内直立スプリング式で初採用した。製造したのは、今や廃業した丸正自動車製造。同社は戦後間もなくの1948年にオートバイ製造に乗り出し1966年に廃業するが、1950年代に革新的なメカニズムを搭載したモデルを数々リリースした。

またプリロード可変式の同車は、1955年の浅間レース125ccクラスで90cc程度の排気量ながら2位になり走破性の高さを見せた。
一方、油圧ダンパー式のモノショックでは、ヤマハの1972年ワークスモトクロッサー・YZ637(250cc)、市販車では1974年の競技用モトクロッサーのYZ250、公道車では1977年発売のトレールDT250Mが初採用車になる。

■フロント倒立フォーク:カワサキ ZXR400(1989)ほか

倒立式のフロントフォークはBMWのR25(247cc単気筒)など、1950年代までに多く見られたが、本格的な油圧方式は1982年の米国サスペンションメーカーのサイモン製が初。以後スウェーデンのサスペンションメーカー、オーリンズが製品化し1986年のワークスモトクロッサーのヤマハYZM500、ホンダRC250Mに装備された。その後オランダで創業のサスペンションメーカー、ホワイトパワー(現WP)がオンロード用を開発し、国産の公道量産車では1989年3月発売のカワサキ製レーサーレプリカ・ZXR400、同年4月発売のスズキのトレールモデル・TS200Rが純正で装備した。

report●小関和夫、阪本一史 photo●ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ、八重洲出版 まとめ●阪本一史

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みんなのコメント

10件
  • san********
    現代の炊飯器以下と言われるコンピューターのZ750GPをdfiのまましつこく乗ってますが私の車体は調子良いですよ
    腐ってもfi、キャブとは違い真冬でも長期放置でも気持ち良い位に一発始動です
  • dog********
    こち亀で「ガンマひとコケ十万円 四回半コケたら1台買える」と
    警察署に掲げてあったのを思い出した。

    50万円台でガンマとかTZRが買えた時代が
    懐かしいな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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