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角田裕毅とリアム・ローソンの入れ替えは、正しい決断なのか?|motorsport.comライター陣の視点

掲載 更新 5
角田裕毅とリアム・ローソンの入れ替えは、正しい決断なのか?|motorsport.comライター陣の視点

レッドブルのドライバー交代はほぼ確定的だ。Motorsport.comがF1中国GP直後に報じたように、レッドブルは中国GPの前からドライバーラインアップの変更を検討しており、苦戦を強いられているリアム・ローソンの後任として角田裕毅が最有力候補に挙がっている。その後、ここ数日のミーティングを経て話し合いは進展し、今週末までにはドライバー変更が正式発表される見込みだ。

しかし、シーズン開幕からわずか2戦でこのような決断を下すことは正しいのだろうか? 各国のMotorsport.comライターが意見を述べる。

■海外F1記者の視点|不振ローソンは交代させるしかない? 後任は角田裕毅か……レッドブルが難しい決断を迫られる理由

■角田裕毅にとっては絶好のチャンス

- 田中健一, Motorsport.com Japan

レッドブルが、ローソンを僅か2戦で見限り、角田をその後任として据えるということが、まことしやかに囁かれている。それがレッドブル・レーシングというチームにとって正しいことか、私には分からない。

しかしもし本当にそうなるのであれば、角田にとっては絶好のチャンスだ。彼はついに、トップチームのマシンに乗ることになるのだから。確かに乗りづらいマシンなのかもしれないが、フェルスタッペンはそれで結果を出している。

今の角田は、レーシングブルズのマシンで目を見張るような活躍を見せている。そのままレーシングブルズで走れば、中団グループ最上位の成績を残し続けることができるかもしれない。それでも、レッドブルのマシンに乗れるのなら、乗るべきである。そして、現在最強と言われるフェルスタッペンに匹敵する速さを見せてほしい。いや、見せるべきである。

我々日本のF1ファンが見たいのは、日本人ドライバーが優勝する、まさにその瞬間だ。それは日本のF1ファンにとって、積年の夢でもあったはずだ。これまで数々の日本人ドライバーがF1に参戦してきたが、トップチームのマシンに乗ったことはない。そのチャンスが遂にやってきたのだから、角田にはそれを存分に活かして欲しい。

そして、F1の表彰台の真ん中に日の丸を掲げ、F1の表彰式で君が代を聴かせてほしい。

そんな日が来たら、日本のファンは皆、歓喜の涙を流すだろう。少なくとも私は涙する。

噂が本当ならば、楽しみだ。角田、あとは頼んだ。

■問題はドライバーではなく、レッドブルのマシンにあり!

■問題はドライバーではなく、レッドブルのマシンにあり!

- Ronald Vording, Motorsport.com Netherlands

ピエール・ガスリー、アレクサンダー・アルボン、セルジオ・ペレス……マックス・フェルスタッペンの隣のシートに座り続けられなかったチームメイトのリストは増え続けている。

レッドブルがわずか2戦でローソンをそのリストに加えるのは酷な気もするが、上海のパドックでは明確なシグナルが発せられていた。そのひとつが、ローソンが慣れ親しんだコースでのレースを待つ必要はないというクリスチャン・ホーナー代表の発言だ。

しかし、レッドブルにとって本当に問題なのはマシンだ。RB21はドライブするのが難しいマシンだと言われている。特にフェルスタッペンのようなドライビングスタイルを持たないドライバーには。

そんなマシンに乗り、フェルスタッペンの圧倒的なペースに匹敵するのは至難の業であり、レッドブルのセカンドシートがF1で最もタフなシートであることがわかるだろう。

角田の昇格が妥当だと考えられるのには2つの理由がある。1つ目は、この日本人ドライバーが昇格を勝ち取るためにこれ以上のことはできないということ。2つ目はホンダがその費用を負担すると伝えられていることだ。それがこの動きを財政的により興味深いものにしている。

2025年にレッドブルとホンダがパートナーシップを終える上でより良い方法だと言えるが、それは数ヵ月後にまた新たな名前がリストに加わるという、最も可能性の高い結果には何の影響も及ぼさないだろう……。

■1つのミスを別のミスで修正するようなもの

■1つのミスを別のミスで修正するようなもの

- Oleg Karpov, Motorsport.com International Editor

クリスチャン・ホーナー代表は日曜日の夕方、上海でのレース後にメディアの取材に応じ、データについて語った。その時点でリアム・ローソンの運命はほぼ決まっており、レースが始まる前から角田裕毅との交代が真剣に検討されていたという。ローソンは日曜日の午後に奇跡的なパフォーマンスを見せれば、もっと時間を稼ぐことができたはずだ。しかし、ローソンは依然としてペースをつかむのに苦労している。

今、2人を入れ替えることは、1つのミスを別のミスで修正するようなものだと思う。結局のところ、冬の間に角田ではなくローソンを昇格させるというレッドブルの決断の理屈はよくわからなかった。だがホーナー代表は「リアムのプレッシャーに耐える天性の能力が大きな助けになる」と期待し、とにかくリスクを取った。今となっては、経験も役に立つと実感しているだろう。

テストもなく、ほとんど準備もなく、さらにプレッシャーのかかるホームレースで角田をマシンに乗せるのは理想的ではない。マックス・フェルスタッペンのこれまでのチームメイト同様、苦戦は避けられないだろう。しかし、同時にレッドブルには他の選択肢がない。

データが示すように、ローソンは単に遅すぎる。ローソンがRB21を乗りこなすのに相当の時間がかかるとエンジニアが判断したとすれば、これ以上待つ意味はない。彼らがドライバー交代を今やるのは、ローソンがすぐには改善できないだろうと判断したということだ。

角田の起用もリスクはある。しかし、早期の改善を望むのであれば、それが唯一の選択肢かもしれない。レッドブルがコンストラクターズチャンピオンをあきらめたくないのであれば、早急に手を打つべきだろう。

ローソンにとって厳しい判断なのは間違いない。しかし彼は、自分がどんな契約にサインしたか、知っていたはずだ。

■レッドブルはフェルスタッペンにタイトルを届けなければならない

■レッドブルはフェルスタッペンにタイトルを届けなければならない

- Christian Nimmervoll, Motorsport.com Germany

ローソンにとっては非常に厳しい。少なくとも鈴鹿で、彼が知っていて過去に成功を収めたコースで、立ち直るチャンスを与えないのは本当に残酷だ。彼はもっとうまくやり、レッドブルの上層部を納得させることができたはずだ。

しかし、F1は複雑なビジネスであり、私が今聞いているところでは、ホンダがレッドブルへのプレッシャーを強め、角田に実質的な支援を提供しているということだ。

もちろん、角田は今年の開幕戦だけでなく、ここ数シーズンの大半で素晴らしい仕事をしてきた。角田が今レッドブルに移籍するのはリスクが高すぎるというラルフ・シューマッハーの意見に私は同意する。というのも、彼はRB21でテストをしていないが、すぐにパフォーマンスを求められるからだ。

しかし、レッドブル上層部はドライバー(マックス・フェルスタッペンはおそらく除外される)を好きなように扱い、チーム間で移籍させることができるため、角田がレーシングブルズに残りたかったとしても、彼に発言権はないだろう。

レッドブルが2025年シーズンに、コンストラクターズタイトルは得られなかったとしても、フェルスタッペンに5度目のタイトルをもたらしたいのであれば、何かをしなければならない。

レッドブルがセバスチャン・ベッテルで果たせなかった5度目のタイトルをフェルスタッペンと獲得することは、ヘルムート・マルコの夢だ。私は先日、彼の口からそれを聞いた。

レッドブルにはフェルスタッペンをサポートするセカンドドライバーが必要だが、そのドライバーがローソンでないことは、もうチームの上層部には明らかだろう。角田は大きなプレッシャーにさらされているだろうが、今は結果を出すしかないのだ。

■カジノで賭けをするのと同じレベルの決断

■カジノで賭けをするのと同じレベルの決断

- Roberto Chinchero, Motorsport.com Italy

レッドブルはふたつのシナリオの岐路に立たされている。新たなフェルスタッペンを見つけるか、あるいはマシン設計の方向性を大きく変え、「ドライバビリティ」というパラメーターをエンジニアの目標のひとつに戻すかだ。

この2つの解決策のどちらかが実現するまでは、レッドブルは1台、あるいはせいぜい1台半で効率的にレースを戦わなければならない。チームは少なくともRB21をまともに操れるドライバーを探し続けている。

ローソンはバーレーンのプレシーズンテストで1日半、オーストラリアGPと中国GPで合計3回のフリー走行を走った。どちらも、それまでローソンが走ったことのないサーキットでのレースだった。

だがレッドブルにありがちなことだが、問題を理解しようとする時間も忍耐もない。極端な解決策は、よりシンプルで手っ取り早いものだ。ローソンが抜けて角田が入る。確実性という点で、カジノで賭けをするのと同じレベルの決断だ。うまくいくかもしれないし、うまくいかないかもしれない。

ユウキに幸運を。彼にはそれが必要だ。

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みんなのコメント

5件
  • suk********
    〉数々の日本人ドライバーがF1に参戦してきたが、トップチームのマシンに乗ったことはない。

    BARの佐藤琢磨は忘れられてしまったのか。
    コントストラクターズ2位のマシンだったはず。
    まぁシューマッハ擁するフェラーリが速すぎて優勝のチャンスは少なかったけど。
  • kaijyuda
    > 数々の日本人ドライバーがF1に参戦してきたが、トップチームのマシンに乗ったことはない。

    中島悟のロータスホンダもトップチームと言っていいのでは?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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