現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > カワサキ Ninja ZX-25R歓迎論【30年の時を超えて”250cc4気筒”再び】

ここから本文です

カワサキ Ninja ZX-25R歓迎論【30年の時を超えて”250cc4気筒”再び】

掲載 更新 41
カワサキ Ninja ZX-25R歓迎論【30年の時を超えて”250cc4気筒”再び】

音(だけ)速(い)伝説

250cc4気筒マシン。かつては、「速いのは音だけじゃないか」と揶揄された。でも、今こそ胸を張ろう。「音だけ速ければ十分だ!」と。30年を経て、時代がようやく追いついたのだ。カワサキ Ninja ZX-25Rは、これからのスポーツバイクの道標だ。

250cc直4・カワサキZXR250ヒストリー【新型ZX-25Rのルーツを辿る】

文:高橋 剛 ●写真:鶴身 健/真弓悟史 ●CG構成:白圡 学

〈特集〉250cc4気筒・音速伝説

高回転主義、ハイメカ信者

まさか、こんなに人気だったのか…!?

’19東京モーターショーにカワサキ Ninja ZX-25Rが登場して以降、250cc4気筒人気が猛烈な勢いで再燃している。

再燃…? だがそもそも、かつてこのカテゴリーは”燃えて”いたのだろうか?

250ccスポーツバイクが熱かったあの時代、主役は2ストのレーサーレプリカだった。技術も注目も人気も、2ストレプリカに集まっていた。

そんな中で、4スト4気筒は明らかに脇役だった。「エンジンがヒュンヒュンと回るのはすごいけど…、だから何なの?」と、少し引いたところから、少し冷めた目で見られていた。 

主立ったレースがなかったから? 世界グランプリに2スト250ccは走っていたけれど、4スト4気筒は走っていなかったから? 理由のひとつかもしれない。でも、それだけじゃない。

オレたちは、ガチだったのだ。正確に言えば、ガチ過ぎだった。ガチで速さを追い求めていた。「だから何なの?」の後には、言葉にせずとも「さほど速くはないんだし」と続いたはずだ。

ガチなことは、決して悪くない。本気の速さを追い求めるからこそ、技術が向上する。技術者が磨かれる。ユーザーであるオレたちにとっても、何らかのかたちで恩恵がある。 

しかもあの時代は、ガチであることが当たり前だった。サーキットと公道は密につながっていて、良くも悪くも勢いがあり、熱かった。

意味も意義も考える必要などどこにもなかった。ただシンプルに、「速いことはエライこと」だった。

だから、さほど速くなかった250cc4スト4気筒は、主役にはなれなかった。2万回転に届こうとする超高回転を達成していながらも、それがガチの速さに結びついていない、と感じられていたのだ。 

―― 約20年前に2万回転という超高回転の世界を見せてくれた、カワサキ ZXR250。

―― アナログメーターが時代を感じさせるが、ハイメカ感では現代のバイクに引けを取らない。

―― 単純な湾曲線を描くエキゾーストパイプや、GPZ900R系を思わせるシリンダーの造形などが時代を偲ばせる。このエンジンはバリオスにも搭載され、’07年まで生き残った。

―― シリンダヘッドに冷却風を送る、通称“洗濯ホース”。実はラムエアダクトはこれとは別にアンダーカウルにある。フロントブレーキはWディスク+2ポットキャリパー。

だが、時代は変わった。世界はすっかり賢くなって、物事を考えるようになった。

本当にガチが必要なのか? 

ラップタイムがコンマ数秒、最高速が数km/h速いバイクが、果たして本当に「いいバイク」なのか…?

そこに再び250cc4気筒が登場し、炎を上げた。

これは”再燃”ではない。新しい炎だ。

30年の時を超えて

ようやく時代が追いついた。

ZX-25Rは、騒がしい自分の周辺をクールに眺めながら、ZXR250にそう語りかける。

ガチの速さが本当に必要なのかを考える時代。自分たちの身の丈にあった性能を求める時代。無理なく楽しめるバイクを望む時代。そして、本当の意味で「いいもの」を愛でる時代。

それが、今だ。250cc4気筒のZX-25Rが、今、すべてを叶える。

―― ’19東京モーターショーで突如発表された、カワサキ13年ぶりの250cc4気筒マシン・Ninja ZX-25R。

―― デジタルメーターにはギヤポションジインジケーターなども備えている。

―― 元々コンパクトなため3軸三角形配置は見送っているが、贅肉をそぎ落とした造形やエキゾーストパイプの取りまわしはクラスを超えている。ボア×ストローク諸元も気になるところ。

―― サイドカウルの段付きエアスクープは洗濯ホースのオマージュ? フロントブレーキは1枚ディスクながらラジアル4ポット。リニアなタッチが期待できる。

ガチの速さは、きっとこのバイクにはないだろう。規制やらコストやら、あるいは社会の目やら、現実的な制約がこのバイクにはのしかかっている。それが現代に生まれるバイクの宿命だ。 

しかも、はっきり言えば、しょせんは250ccなのだ。ラップタイムなんて、たかが知れている。ガチで速いリッタースーパースポーツ勢とは比べるべくもないだろう。

けれど、それでいい。

いや、それがいい。

消去法じゃない。積極的に、250cc4気筒がいい。

ZX-25Rには、(おそらく)気持ちよく回るエンジンと、気持ちいいエキゾーストノートがある。(確実に)最新のエクイップメントがある。

そして、ラップタイムがガチのスーパースポーツには敵わないとしても、値段は(おそらく)半分以下だ。それなのに、楽しみは倍だ。

250ccのZX-25Rは、気兼ねなくアクセルを開けられるだろう。そして、爽快なエンジン音に包まれるだろう。待っているのは、おびえる必要のないスポーツライディングだ。走らせてナンボのバイクを、思いっ切り走らせられるという喜びだ。

ZX-25Rは、間違いなく高性能だ。でも、手のひらに収まる。手が届く今の時代を生きるオレたちの、本当の意味でのスポーツバイク。

バイクは、オレたちにとって趣味だ。命を懸けるものじゃなく、人生を豊かにする遊びのひとつだ。そして、本気の遊びは、ZX-25Rのように、洒落の効いた存在であるべきなのだ。

主役を張るだけの力。そして時代の後押し。燃え盛れ、新しい炎。

関連タグ

こんな記事も読まれています

国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
ベストカーWeb
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
レスポンス
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
VAGUE
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
くるまのニュース
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
レスポンス
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
日刊自動車新聞
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
月刊自家用車WEB
日産が「新型セダン」を世界初公開! 2台の「ゴツSUV」も登場! 26年度までに投入の「新型モデル」4台を北京ショーで披露
日産が「新型セダン」を世界初公開! 2台の「ゴツSUV」も登場! 26年度までに投入の「新型モデル」4台を北京ショーで披露
くるまのニュース
メルセデスF1の作戦は“ガンガン行こうぜ”! マシンバランス改善する新パーツ開発中。次戦マイアミGPでもアップデート投入へ
メルセデスF1の作戦は“ガンガン行こうぜ”! マシンバランス改善する新パーツ開発中。次戦マイアミGPでもアップデート投入へ
motorsport.com 日本版
1台……超頑張っても2台しか曲がれないって短すぎん!? 極端に点灯時間が短い「右折の矢印信号」はどうすれば改善される?
1台……超頑張っても2台しか曲がれないって短すぎん!? 極端に点灯時間が短い「右折の矢印信号」はどうすれば改善される?
WEB CARTOP
【MotoGP】ド級のライバル、ロレンソ&ペドロサが今度はリングで対決!? ボクシング勝負が実現か
【MotoGP】ド級のライバル、ロレンソ&ペドロサが今度はリングで対決!? ボクシング勝負が実現か
motorsport.com 日本版
【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
レスポンス
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「量子コンピュータ×自動車分野での活用メソッド」
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「量子コンピュータ×自動車分野での活用メソッド」
レスポンス
GW渋滞、本四高速・松山道のピークはいつ? 5月3日に神戸淡路鳴門道で最大55km級の渋滞が発生!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
GW渋滞、本四高速・松山道のピークはいつ? 5月3日に神戸淡路鳴門道で最大55km級の渋滞が発生!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
くるくら
【MotoGP】ワイルドカード参戦のダニ・ペドロサ、2年連続の母国戦参加は「予想外」KTMのスピード向上に今回も尽力へ
【MotoGP】ワイルドカード参戦のダニ・ペドロサ、2年連続の母国戦参加は「予想外」KTMのスピード向上に今回も尽力へ
motorsport.com 日本版
ホンダ、ヴェゼルを一部改良 意匠変更やHVにアウトドアテイストの新パッケージ
ホンダ、ヴェゼルを一部改良 意匠変更やHVにアウトドアテイストの新パッケージ
日刊自動車新聞
トーヨータイヤが“低電費”と耐摩耗性能を両立した小型EVトラック用リブタイヤ「ナノエナジー M151 EV」を発売
トーヨータイヤが“低電費”と耐摩耗性能を両立した小型EVトラック用リブタイヤ「ナノエナジー M151 EV」を発売
レスポンス
32年ぶりに改称「グッドライダーミーティング」から「ベーシックライディングレッスン(BRL)」へ
32年ぶりに改称「グッドライダーミーティング」から「ベーシックライディングレッスン(BRL)」へ
バイクのニュース

みんなのコメント

41件
  • 音は乗っていてその気にさせてくれる大切な事だと思う。
  • これを機に他社の動きが気になりますね。
    ヤマハ党の私としては時期R25(仮)に期待してます 笑

    今はR6ですが、4発乗りたくて買いましたが私には過ぎたバイクなので 汗
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村