コバライネン、全日本ラリー復帰後初優勝。新井大輝との“王者対決”を制する／最終戦ハイランドマスターズ

　10月18日から20日にかけて、JRC全日本ラリー選手権第8戦『第51回M.C.S.Cラリーハイランドマスターズ2024』が岐阜県高山市で開催され、昨季のシリーズチャンピオンであるヘイキ・コバライネン／北川紗衣組（AICELLO速心DLヤリスRally2）が総合優勝を飾った。

　今年3月に胸部上行大動脈瘤の手術を受けることとなり、今シーズンの大部分を欠場することになった2023年の覇者が、復帰後3戦目となった最終戦で今季初優勝を果たした。

　競技初日のレグ1はSS1から計6本、最終日のレグ2もSS7からSS12まで同じく6本のターマック（舗装路）ステージが設定された今大会は、降雨のためレグ1は完全なウエット路面での戦いに。また、雨が上がったレグ2も路面に濡れた部分が残る滑りやすいコンディションとなった。

　そんな2024年最後の戦いは、ともにJRC“2冠”を誇るコバライネンと新井大輝（Ahead Skoda Fabia R5）による一騎打ちが展開された。先手を取ったのは前戦ラリー北海道で今季のシリーズチャンピオン獲得を決めた新井で、オープニングステージで後続を7.7秒引き離すスタートダッシュを決めると、連続ベストで総合2番手に12.6秒のリードを築く。

　一方、SS1とSS2で2番手タイムを記録したコバライネンはSS3で今大会最初のステージ優勝を飾り、午後のSS5でふたたび最速タイムをマーク。ここまで3つのステージを制して総合首位に立つ新井とのタイム差を11.6秒に縮めた。

　一日の最後となったSS6、ここでドラマが起きる。なんと新井がスピンを喫し約15秒のタイムロス。これにより同ステージを制したコバライネンが総合首位に浮上するともに新井を3.9秒リードすることとなった。

　明けた日曜は、2023年王者がこの日のオープニングとなったSS7でベストタイムを刻み、総合のギャップを1秒拡げる。しかし、続くSS8とSS9は新井が逆襲。連続ベストで総合トップの座を奪い返す。残るステージはあと3つだ。

　わずか3.1秒差で続く優勝争いは最終日午後のループに突入する。迎えたSS10はコバライネンがトップタイム、新井が2番手につけ両者のギャップは1.3秒に。このあと新井のシュコダにマシントラブルが発生したことでSS11終了時点でみたび順位が入れ替わる。

　最後はSS10から3連続ステージベストを刻んだコバライネンが独走するかたちとなり、全日本復帰後の初優勝を飾った。手負いのマシンをフィニッシュに導いた新井は33.2秒差の2位。さらに33.5秒おくれて福永修（OSAMU焼肉ふじ☆CTE555ファビア）が3位となった。総合4位は奴田原文雄（ADVAN KTMS GRヤリスラリー2）、同5位には新井敏弘（SUBARU WRX S4）が入っている。

　JN-2～6の各クラスウイナーと2024年シリーズチャンピオンは以下のとおりだ。

■全日本ラリー選手権第8戦『第51回M.C.S.Cラリーハイランドマスターズ2024』結果
Pos.Driver＆Co-DriverMachineTime総合優勝ヘイキ・コバライネン＆北川紗衣AICELLO速心DLヤリスRally257'24.6総合2位新井大輝＆松尾俊亮Ahead Skoda Fabia R557'57.8総合3位福永修＆齊田美早子OSAMU焼肉ふじ☆CTE555ファビア58'31.3JN-2優勝石川昌平＆大倉瞳ARTAオートバックスGRヤリス1h01'31.8JN-3優勝上原淳＆漆戸あゆみ埼玉スバル・DL・KYB・シャフトBRZ1h02'43.9JN-4優勝内藤学武＆大高徹也YH TEIN アーリット スイフト1h02'29.5JN-5優勝大倉聡＆豊田耕司AISIN GR YARIS CVT1h04'54.6JN-6優勝天野智之＆井上裕紀子TRT・DLアクアGR SPORT1h08'22.8

■2024全日本ラリー選手権 シリーズチャンピオン一覧
ClassDriverCo-DriverMachineJN-1新井大輝松尾俊亮Ahead Skoda Fabia R5JN-2三枝聖弥船木一祥名古屋スバル ラック DL WRXJN-3山本悠太立久井和子SammyK-oneルブロスYHGR86JN-4内藤学武大高徹也YH TEIN アーリット スイフトJN-5松倉拓郎山田真記子DL☆Gセキネン鹿ソニックラブカヤリスJN-6天野智之井上裕紀子TRT・DLアクアGR SPORT