地獄の入口には立たないように
text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)
当たりのクルマを手に入れれば楽しい半面、ハズレのクルマだった時は・・と警告するのは、英国で長年ミニの専門店を営む、リチャード・ウィリアムズ。
どんな中古車でも当てはまるが、優れた状態ならミニを謳歌できるものの、悪いクルマを手に入れてしまったのなら、地獄の入口になるかもしれない。最も厳しいオーナーへの仕打ちとなるのが、サビ。
ボディパネルはもちろん、バルクヘッドやサイドシルの交換は費用のかかる作業。ボディを治そうと剥がしたら内側のシェルもサビていて、さらにその下側も、と芋づる的に問題を引き出すことにもつながる。
英国の中古車オークションに、こんなクルマが出品されていた。1985年式のミニ1000で、14万3000kmの走行距離のクルマが、2530ポンド(34万円)だった。
若い頃の思い出を味わい直したい、という気持ちで手に入れた前オーナー。オリジナルコンディションだったものの、ボディの状態は酷かったという。
サイドシルの修理に800ポンド(10万円)、ボディパネルに1629ポンド(22万円)、メカニズムや電装系の修理で1500ポンド(20万円)を投じたという。「ミニのファンではなく、メカニックの見習いになったようでした」 落札時にオーナーが漏らしていた。
ちょっと尻込みしてしまう内容だが、選ぶなら将来も安心な車両を選ぶべきということ。「屋根付きのガレージに停められていたミニをオススメします。クルマを理解し、整備も惜しまないオーナーであることが多いですから」 リチャードが話す。
ミニの起源は1959年にまでさかのぼるが、今回は1996年から2000年に製造された、最終モデルのローバー・ミニ(Mk7)に焦点を当ててみたい。
Mk7なら価格も手頃で安全性も高い
1990年までの間に、ミニとして由緒正しい1000ccエンジンはラインナップから落ち、1275ccユニットに置き換わっていた。1992年にはフュエル・インジェクションを獲得している。
1996年には、ディストリビュータ不要の点火システムとして、電子制御のコイルがプラグ毎に採用された。それがMk7だ。
ボディサイドに付けられていたラジエターは、通常のクルマのように前方へ移動。オルタネーターは強化品となり、トランスミッションのファイナルレシオが高められている。
見た目でも、ホイールアーチの膨らみが大きくなり、ヘッドライトはレベリング機能を搭載。サイド・インパクトビームもドア内側に導入された。
シートや内張り、ダッシュボードも新しくなり、フロアカーペットは厚くなっている。リモートコントロールの集中ロックも採用。シートベルト・プリテンショナーに運転席エアバックも得ている。
ラインナップとしては、標準の1.3iと、クーパー1.3iが存在する。他にもスポーティな限定仕様車としてポール・スミスやクラシック・セブン、ナイツブリッジなどがリリースされた。
これらのモデル展開は、ファッションに意識が高い単身社会人へ人気だという、ミニの市場調査を受けて投入されたもの。その後のBMWも、ミニのリニューアルに同様の調査を行っている。
2020年の今では、ガレージ保管されたMk7のローバー・ミニは、一層素敵に見える。古典的なクラシック・クーパーとしてスライド・ウインドウやケーブル式のドアオープナーは備えていなくても、価格はお手頃だし、乗り心地は若干だが良い。
走行距離わずか800kmという2001年式のクーパー・スポーツ500ですら、英国では2万8000ポンド(378万円)で見つかっている。良いクルマを選びたい。状態と価格は比例する。
不具合を起こしやすいポイント
エンジン
排気ガスが白く曇る場合、バルブステムシールが原因。クランクシャフトからの異音や、タイミングチェーンの不具合によるアイドリング時のノイズなどに注意。オイルフィラーキャップ周りのオイルが白く濁っていないかも目視する。
クーラントとエンジンオイルの量と、交換時期を確かめる。長時間のアイドリングでは、冷却ファンが始動するのが正常。アクセルペダルを更かして、エンジンの回転音にも耳を澄ませる。
トランスミッション
ドライブシャフトのジョイントやブーツが傷んでいないか、ステアリングを大きく左右に切って覗いたり、ゆっくり運転してチェックする。シンクロメッシュやクラッチの状態も確かめたい。
ブレーキ、ステアリング、サスペンション
乗り心地は弾む感じがあるが、減衰力は充分に効くべき。ステアリングは軽量でクイック。調子が良いクルマは即座に向きを変える。
ブレーキング時はまっすぐ減速し、ペダルにしっかりとした感触が伝わるかを確かめる。新しく車検を取得しているなら、多くは整備済みであるべき。サスペンションの異音がないかも確認する。
ボディ
サイドシルやフロア、リア・サブフレームなどのサビを確認する。フロントフェンダーやドア、ドアとフェンダーの間のパネル、バッテリーや荷室の床面も同様。磁石を用いるとボディのパテ盛り個所の見当がつく。耐腐食層の裏側も目視したい。
専門家の意見を聞いてみる
リチャード・ウィリアムズ リチャード・ウィリアムズ・クラシック・ミニ社代表
「わたしは仕事の時間の90%を状態の良いミニを探すことに使い、10%の時間で売っています。手入れがしっかりされた、ガレージ保管のミニしか興味はありません。ドライバーの望むクルマですし、状態が良ければ少し高くてもお金を払ってくれますから」
「つい2週間前までは、コンディションの良いミニが17台もあったのですが、多くが売れて今は3台のみ。英国では3000ポンド(40万円)くらいからMk7のミニが見つかりますが、安いクルマは修理に同等の費用がかかりえます」
「大金をかけてボディを修理したクルマだったとしても、購入はオススメしません。状態の良いクルマはちゃんと流通しています。5台は見比べて、価値のある1台を選びたいですね」
知っておくべきこと
クラシックモデルに見えるローバー・ミニでも、Mk7は比較的現代のクルマ。車検も必要だ。英国では、製造後40年を経過したクルマは免除となる場合もあるが、ビンテージ・ミニの多くは車検を通してあることが多い。
いくら払うべき?
3500ポンド(47万円)~4999ポンド(67万円)
英国では1996年式のクーパー1.3iが見つかる。11万7000kmの走行距離で整備記録の整ったクルマが、4850ポンド(65万円)で出ていた。
5000ポンド(68万円)~6999ポンド(94万円)
サビの心配が少ない、日本からの並行輸入のクルマがいくつか含まれる。英国で大切に乗られてきた、個人売買クルマも。
7000ポンド(95万円)~9999ポンド(134万円)
2000年式でガレージ保管の状態良好なクルマが含まれる。9万4500kmの、かなり上質なクーパーを7995ポンド(107万円)で見つけた。
1万ポンド(135万円)~1万6000ポンド(216万円)
個人売買のほぼノーマル状態の1997年式クーパーが、5万6300kmの走行距離で英国では1万750ポンド(145万円)。2万8900kmの2001年式ラスト・エディションなら、1万4995ポンド(202万円)で出ていた。
英国で掘り出し物を発見
ローバー・ミニ・クーパー1.3i 登録:2000年 走行:8万500km 価格:8975ポンド(121万円)
ほぼ完璧な状態だという1台。電動サンルーフで、多くの期間を車庫保管されてきた。退職したオーナーが大切に乗っていたようだ。
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みんなのコメント
その人たちはBMWをどう思っているのだろう?