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【現行スポーツシリーズの最後を彩る】マクラーレン620R 公道に降り立ったGT4

掲載 更新
【現行スポーツシリーズの最後を彩る】マクラーレン620R 公道に降り立ったGT4

620psの、公道公認のGT4マシン

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

【画像】620R 600LTとセナ、P1 全134枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


今から数年前、マクラーレンは人気のモータースポーツ、GT4カテゴリーへ570Sを投入した。以来、マクラーレンのレースカーは、堅調なビジネスを展開。570S GT4は4つの大陸で勝利を収め、3桁の台数を販売している。

筆者もスパ・フランコルシャンで一度レースに参加しているが、素晴らしい体験だった。しかし、GT4の規制でパワーは436psへ落とされていた。ほかのマシンへも、チャンスを与えるために。レース後、570S GT4から降りることも残念でならなかった。

でも最新のマクラーレン620Rなら、家まで乗って帰ることができる。エンジンは620psを叩き出す。大雑把に表現するなら、620Rは公道公認のGT4マシンといえる。

想像と違って、600LTをチューニングし、620Rとしたわけではない。GT4で培った経験を、可能な限り公道マシンへ落とし込もうとする明確な意図がある。恐怖の運転体験にならない程度に。

実際、最低地上高はレースカー並みに低い。スプリングレートとサスペンションのキャンバー角は、570S GT4のものに近い。

2021年の春には、スポーツシリーズへニューモデルが登場する予定。現行の540を入り口とするモデルラインナップとしては、最後のバージョンでもある。

620Rの製造台数は、わずかに225台。当初350台が見込まれていたが、新型コロナウイルスの影響で生産は遅延。新モデルの生産ラインを準備するためにも、数を制限する必要があるのだという。

0-100km/h加速は720Sに並ぶ2.9秒

英国での価格は25万ポンド(3400万円)から。まだ売り切れてはいないそうだから、興味がある人は急いだ方が良い。

GT4譲りの装備として筆頭となるのが、手動調整式のパッシブ・ショックアブソーバー。伸縮、伸長ともに32段階刻みで設定できる。スプリングとアンチロールバー、トップマウントは620Rの専用品だ。

タイヤは標準でピレリ・トロフェオRを履く。オプションで、オーダーメイドのスリック・パターンも選べる。今回の試乗車はスリックだった。

角度調整できるリアウイングは、基本的にGT4と同じもの。公道での認可のために、角が丸めてあるけれど。

一方で、フロントバンパーとスプリッター、カーボンファイバー製のボンネットは、公道用の新デザイン。241km/hでの走行時に、185kgのダウンフォースを発生させるという。

車内には、慣性リール式のレース用ハーネスを装備。シフトパドルやステアリングホイールのスポーク、センターコンソールはカーボン製となる。軽量化によって、乾燥重量は1282kgに抑えてある。

一般道で620Rに不満を抱くことはない。これより乗り心地が悪く、我慢できないロードノイズを響かせるモデルが沢山ある。

大きく穿たれたボンネットスクープが、フロントの荷室空間を削っている。それでも、長距離ドライブも問題ないだろう。しかも、かなり速い。

0-100km/h加速は、100psもパワフルな720Sに並ぶ2.9秒。200km/hへの到達時間も、わずか0.3秒の差しかない。

1秒毎に運転の楽しさを感じられる

サーキットでの走りは、公道公認とは信じられないほどに凄まじい。

620Rの履くスリックタイヤは、1時間で駄目になるようなレース用スリックより、はるかにハード・コンパウンド。かなり長持ちするタイヤだが、サーキット走行が前提のトロフェオRより、ラップタイムを3秒近く短縮できる能力がある。

高いグリップ力が、段違いのトラクションとブレーキングを実現している。マクラーレン620Rは、サーキットの走行会で破壊的な強さを見せつけるに違いない。このスリックタイヤを、どうやってサーキットまで運ぶかは別問題だが。

620Rは本当のレーシングカーではない。車高やサスペンションの設定、スプリングレートなどは、基本的に公道向けだ。

レーシングカーの570S GT4と620Rは、同等のラップタイムでサーキットを走るという。だがGT4の方が、少なくとも150psは馬力が低いとも、マクラーレンの関係者の一人が話していた。

超がつくほど速いが、バランスに優れ、運転は難しくない。充足感は減じてしまうけれど、電子制御の安全システムをオンのままでも、喜びにあふれている。筆者は1秒毎に、運転の楽しさを感じていた。

英国では、マクラーレン600LTが620Rより10万ポンド(1360万円)も安く手に入ることは、無視できない事実でもある。公道での楽しさは上だし、フェラーリ488ピスタやポルシェ911 GT3 RSと比べても、ドライバーズカーとして英国編集部の評価も高い。

過去10年で最も希少なスポーツシリーズ

マクラーレン620Rは、600LTよりはるかに速く、サーキットでより楽しめる。でも、10万ポンド(1360万円)ぶんの差はあるだろうか。

この価格は、車両代だけではない。マクラーレンが、過去10年に生み出してきたスポーツシリーズの中で、最も希少だという事実を裏付ける数字なのだと思う。

マクラーレン・セナもあるし、伝説のハイブリット・ハイパーカー、P1も存在してきた。だが620Rと比べれば、希少性は高くはない。

マクラーレン620Rは特別。この10年間を代表する、類まれなスポーツシリーズといえるだろう。

マクラーレン620R(英国仕様)のスペック

価格:25万ポンド(3400万円)
全長:4557mm
全幅:1945mm
全高:1194mm
最高速度:321km/h
0-100km/h加速:2.9秒
燃費:8.2km/L
CO2排出量:278g/km
乾燥重量:1386kg
パワートレイン:V型8気筒3799ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:620ps/7500rpm
最大トルク:63.0kg-m/5500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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