この記事をまとめると
■一般道をコースの一部に使用するラリー競技では時に思いもよらないハプニングが起こる
レーシングドライバーでも操れない! 運転が難しすぎる市販車3選
■2011年にはドライバーであるペター・ソルベルグが免停となりコ・ドライバーを務めた
■また、2011年と2021年にはリエゾンで一般車両との事故が起きている
まさかのスピード違反で免停になり本戦でコ・ドライバー担当
モータースポーツには時としてリザルトには残らないユニークなハプニングが発生するものだ。あるものは笑えたり、あるものは驚いたりと、どんなカテゴリーにおいても“事件簿”としてさまざまなハプニングが起こっているが、なかでも、クローズドされたワインディングのほか、一般道をリエゾンとして使用するラリー競技はハプニングの宝庫と言えるだろう。
ラリー競技の最高峰シリーズ、WRCにおいてもリエゾンでのスピード違反で検挙され、高額な罰金を払うシーンはよくあるハプニングだが、筆者が印象に残っているハプニングといえば、やはり2011年の開幕戦、スウェディッシュ・ラリーで発生した“ペター・ソルベルグの免停事件”だ。
当時のWRCは、エンジン排気量が2000ccから1600ccに変更されたほか、全長の縮小でベース車両もCセグメントからBセグメントに切り替わった直後。ペターは自社チーム「ペター・ソルベルグ・ワールドラリーチーム」を組織し、シトロエンDS3でエントリーし、前走者のスノー・ダストに視界を塞がれながらも、最終日の最終SSまで4番手につけていた。
しかし、最終SSではペターがサイドシートへと移り、コ・ドライバーのクリス・パターソンがアタックを実施。その原因がペターの免停だったのである。
「サービスを出るのが遅くなってしまって、少し急いでいたんだけど、そこでスピードチェックに引っかかってしまった」と語るように、ペターはラリーウイークの金曜日にスピード違反で検挙。制限速度80km/hの道路を112km/hで走行してしまい、免許停止処分を受けることになったのである。
免許証の失効まで48時間の猶予が与えられていたことから、ペターは日曜日の14時まで走行していたが、それ以降はコ・ドライバーのパターソンがドライビングを担当。4.6kmの最終SSはトップから51秒遅れで最下位タイムとなったが、それでも無事にフィニッシュしたことでペターは5位入賞した。
ちなみに、このパターソンのドライビングはほかのコ・ドライバーたちにも衝撃を与えていたようで、当時、ヤリ-マティ・ラトバラとコンビを組んでいたミッカ・アンティラは、「リエゾンで運転できるように何回かWRカーをドライビングしたことはあるけれど、ステージでのタイムアタックはきびしい。クリス(パターソン)はよくやったと思うよ」と語っていたことが印象的だった。
一般道では速度違反だけでなく一般車両にも注意
一方、リエゾンでは競技車両のほかに、一般車両も走行していることから事故も多く、時としてリザルトを左右することもある。筆者にとってもっとも印象的なリエゾンでの事故といえば、2011年の最終戦、ラリーGBで発生した“セバスチャン・ローブの正面衝突”にほかならない。
当時のローブはシトロエンのエースとしてDS3WRCで躍進。計8勝を挙げ、最終戦を待たずに8回目のチャンピオンに輝いていた。
最終戦となったGBでも、ローブはヤリ-マティ・ラトバラと激しいトップ争いを展開。トップのラトバラに遅れること7.5秒差の2番手で最終日を迎えていたのだが、ローブはリエゾンで逆走していた一般車両と正面衝突。幸いローブおよびコ・ドライバーのダニエル・エレナ、さらに対向車の搭乗者ともに無傷だったようだが、ローブのDS3WRCは大破してしまい、そのままリタイヤすることとなったのである。
そのほか、近年では2021年のクロアチア・ラリーでトヨタのエースとしてヤリスWRCをドライビングしていたセバスチャン・オジエが最終部にリエゾンで一般車両と接触している。
幸いマシンのダメージは軽度で、オジエは同ラリーで勝利を飾ったが、オジエは事故現場を離れたことで6カ月間の猶予付き出場停止処分と7000ユーロ(約98万円)の罰金を課されたことは記憶に新しい。
このようにラリー競技では様々なハプニングが発生するだけに、2023年11月17~19日に愛知県・岐阜県で開催されるラリー・ジャパンを観戦する際は交通違反および交通事故に注意したい。
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