英国の割り当て台数は90分で完売
たった90分だった。英国へ正規導入されるGR86の、2年間のキャパをトヨタが売り切った時間だ。それ以降、今のところ英国のディーラーに並ぶ予定はない。
【画像】絶滅危惧種になった2ドアクーペ GR86 トヨタ・レクサス・マツダ・日産のモデルを比較 全136枚
理由は、EUがクルマの安全性や環境負荷の改善を取り決めた、GSR規制のB基準が施行されると、GR86を販売できなくなるため。基準に合致するよう、改良を加える必要が出てくる。
追加導入もあるかもしれないが、限られた数の奪い合いになるだろう。見事に契約へ取り付け、1000ポンド(約16万円)の手付金を払い終えた430名と噂される英国人は、自身の結果を讃えて良いだろう。
今後、中古車市場に出てくるGR86には、プレミアが付いて不思議ではない。限定生産のフェラーリとは違うトヨタのクーペだが、想像に難くない。
エンジンの最高出力は、最新のフォルクスワーゲン・ゴルフGTIより低い。しかし、クルマ好きの心を想像し、それに応えるクルマを創造し、堅実な価格設定を与えることができれば、需要はスーパーカーとは比べ物にならなないほど高くなる。
英国の場合、マニュアル・ギアのGR86のお値段は、2万9995ポンド(約479万円)から。最新モデルの価格としては、間違いなくお手頃といえる。多くのドライバーが欲しいと考えても、まったく不思議ではない。
2+2クーペのシルエットに2.4Lボクサー
それでは、手付金を支払った限られた人が楽しめるGR86とは、どんなクルマなのか。突き詰めれば、2012年に発売され少なくないドライバーを魅了した、トヨタGT86(86)の進化版といえる。
先代が英国市場で売れた数は、9年間に7500台。赤字ではなかったにしろ、利益率は低かったはず。しかし、われわれのためにトヨタが行動したという事実が、大きな見返りを生んだと思う。
GT86は、その後のスープラとGRヤリスへの布石になった。このGR86への足がかりにもなった。モデル開発に関わったガズーレーシングのGRというイニシャルは、大きく認知度を高め、一目置かれる存在にもなっている。
さて、新しいGR86を眺めてみよう。サイドシルエットは、フロントエンジン・リアドライブの2+2クーペらしい。先代で称賛を集めた水平対向の1998cc自然吸気エンジンは、大幅に改良が加えられ、低いボンネットの内側に納まっている。
車両構造上、幅の広いエンジンのストロークを伸ばすことは難しく、シリンダーの内径、ボアが拡大されている。オーバースクエアとなり、排気量は2387ccになった。
それに伴い、コンロッドやクランクシャフト・ピンは強化品へ変更。インテークマニホールドやインテークバルブ、バルブスプリング、スロットルボディも新設計だという。
結果として、最高出力は英国仕様で199psから234psへ増強。最大トルクは20.8kg-mから25.3kg-mへと、明確に引き上げられている。従来どおり、ターボチャージャーは備わらない自然吸気だ。
ブレーキとパワステは先代から続投
豊かなパワーを得るには高い回転数まで引っ張る必要があるが、そのかわり車重も軽い。先代から37kg増えたとはいえ、1276kgしかない。トヨタによると、同じスペックで揃えることができれば、実質は10kg減量したそうだ。
2代目への進化で、おそらく一番大きい違いがこのエンジンだといえる。トランスミッションは、マニュアルもオートマティックもギア比が変更され、タイヤもハイグリップなものになったが、それ以外の変化の幅は比較的小さい。
ディスクブレーキと電動油圧パワーステアリングは、先代からのキャリーオーバー。トルセン式のLSDは、冷却用フィンが追加されたが、内容自体は同じだ。
車内空間は相変わらずタイト。先代譲りの優れた視界と、サポート性の良い見慣れたシートが与えられている。着座位置は5mm下げられた。ドライビングポジションは完璧で、こっそりストリートレースを興じたくなってしまう。
インテリアは、ダッシュボードがソフト加工され、全体の仕立ても向上しているものの、まだコスト重視のプラスティックが支配的。質感でいえば、マツダMX-5(ロードスター)の方が上だ。
それでも、強く不満を抱くことはないはず。ダッシュボード中央にはタッチモニターが据えられ、アンドロイド・オートとアップル・カープレイに対応。後付け感があるとはいえ、アルカンターラも一部に施されている。
剛性が大幅に高められたシャシー
シャシーの基本設計は10年前となるが、ねじり剛性は大幅に高められている。ボンネットにも補強材が追加されている。締結するボルト類も強化され、フロント側の横方向の剛性は60%も向上した。
フロント・サスペンションとサブフレームの間には、ブレースを装着。フロントタイヤへ掛かる負荷を巧みに分散し、ステアリングの一貫性を高める効果があるという。
リア側では、サスペンション・マウント部分を強化。後部座席の背もたれ部分を上下に補強する、フルリングとトヨタが呼ぶブレース構造も取り入れることで、こちらも剛性を50%高めている。
エンジンの最大トルクが増えたため、リアのアンチロールバーは強化されたサブフレームへ直接固定。ロール剛性も増した。
タイヤは、先代からシリアス方向に振られた。ミシュラン・プライマシーではなく、グリップ力の高いパイロットスポーツ4が組まれる。ただし、幅は215と細いまま。過度にグリップ優先の設定ではない証拠だ。
予習はこのくらいにして、今回の試乗場所はスペイン南部。モンテブランコ・サーキットと、周辺の一般道というメニューが用意されていた。
どちらも路面状態が良く、英国や日本のように、ツギハギやワダチの多い環境ではどんな乗り心地なのか把握が難しかった。それでも、根底にある特性は充分に理解することができた。
2代目でも、ラップタイムを削るような尖った性格にはなっていない。本来の良さが失われることはなかった。
この続きは後編にて。
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東洋の黄色い猿クルマに乗るんじゃない