6月8日、“世界三大レース”のひとつでWEC世界耐久選手権のシーズンハイライトでもあるル・マン24時間レースの予選がフランス、サルト・サーキットで行われ、TOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)が暫定ポールポジションを獲得した。
現地9日(木)に実施される“ハイパーポール”に進む各クラス6台のマシンを選出するこの予選セッションは、8日(水)19時から実施された。気温20度/路面温度33度、陽が傾きつつある空に厚めの雲が広がるなか、グリーンライトの点灯と同時に多くのマシンがピットレーンを後にしていく。
最高峰カテゴリーのハイパーカークラスでは、序盤にオリビエ・プラ駆る708号車グリッケンハウス007 LMH(グリッケンハウス・レーシング)が3分28秒052でトップに立ち、チームメイトのライアン・ブリスコーが乗り込んだ709号車グリッケンハウスが3分28秒766で続く。すると直後に7号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing)の小林可夢偉が3分27秒247でターゲットタイムをブレイクした。
グリッケンハウスの2台がわずかにタイムを縮めるなか、可夢偉もさらにタイムを縮めるべくアタックを続けセクター1、2で全体ベストを記録する。しかし最終セクターでトラフィックに捕まりタイム更新には至らず。翌周ピットに戻りチームメイトのロペスに交代した。
LMP2クラスは、序盤の攻防でロビン・フラインス駆る31号車オレカ07・ギブソン(WRT)が3分29秒898をマークして暫定首位につけた。これに3分30秒台前半のタイムを記録した38号車オレカ07(JOTA)と41号車オレカ07(リアルチーム・バイ・WRT)が続いている。
予選開始から25分後、ニコラ・ラピエールがステアリングを握る36号車アルピーヌA480・ギブソン(アルピーヌ・エルフ・チーム)が3分29秒656で総合4番手に浮上する。ここまで8号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing)はアタックを行っていない。
セッションの折り返しを迎える直前、93号車ポルシェ911 RSR-19(プロトン・レーシング)がユノディエールの第1シケイン手前でスピンしガードレールに激突。これにより赤旗が提示されセッションストップとなった。なお、プロトンのマシンをドライブしていた、ハリウッド俳優のマイケル・ファスベンダーは無事である。
12分41秒の中断を挟み、セッションは残り30分から再開。赤旗前に一度コースに出ていた8号車も再度コースインしタイムアタックに入っていく。しかし、ホームストレートからテルトルルージュにかけてのセクター1区間では雨粒が落ち始めた。
■木村武史組57号車フェラーリがハイパーポール進出
その後、雨脚が強まり降雨エリアも広がったことで各車はアタックを諦めピットへと戻っていき、コース上に残るクルマはわずかとなった。ブレンドン・ハートレーのアタックで3分40秒842を記録し、総合29番手/クラス5番手となったトヨタ8号車も同様に引き揚げていく。
残り10分を切ったタイミングでセバスチャン・ブエミが乗り込んだ8号車トヨタがピットアウト。LMP2クラス4番手につけている23号車オレカ07(ユナイテッド・オートスポーツUSA)と暫定首位の31号車オレカ07も再度コースに出たが、いずれもタイム更新はならず。この結果、ハイパーカークラスでは可夢偉組7号車トヨタが暫定ポールを獲得し、グリッケンハウスの2台とアルピーヌが続くトップ4に。
LMP2クラスもセッション前半に上位につけた31号車、38号車、41号車、23号車がトップ4ポジションを維持し、23号車の姉妹車である22号車オレカ07(ユナイテッド・オートスポーツUSA)と、これに続いた9号車オレカ07(プレマ・オーレン・チーム)の計6台がハイパーポール進出の権利を手にしている。
LMGTEプロクラスは、ローレンス・ファントール駆る92号車ポルシェ911 RSR-19が3分50秒999というタイムで予選トップ通過を果たしポルシェGTチームは、63号車シボレー・コルベットC8.R(コルベット・レーシング)を挟んで91号車ポルシェ911 RSR-19がクラス3番手となった。フェラーリ勢はAFコルセとライリー・モータースポーツの計3台すべてが下位に沈んだが、同クラスはハイパーカークラスと同様に、全車がハイパーポールに進出する。
LMGTEアマでは98号車アストンマーティン・バンテージAMR(ノースウエストAMR)が、このクラスで唯一3分53秒台を切る3分52秒559でクラス首位に立ち、木村武史がメンバーに加わる57号車フェラーリ488 GTEエボ(ケッセル・レーシング)が2番手、AFコルセの54号車とアイアン・デイムスの85号車フェラーリ勢が続いた。
その後ろではプロクラスの74号車フェラーリ488 GTEエボ(ライリー・モータースポーツ)を間に挟み、クラス5番手を獲得した77号車ポルシェ911 RSR-19(デンプシー・プロトン・レーシング)と61号車フェラーリ488 GTEエボ(AFコルセ)がトップ6入りし、ポールポジションへの挑戦権を得ている。
一方、星野敏と藤井誠暢が乗り込む777号車アストンマーティン・バンテージAMR(Dステーション・レーシング)は、藤井がアタックを担当するもクラス17番手でグリッド確定となった。
日没を迎えたル・マンではこの後、現地22時(日本時間9日5時)から2時間のナイトセッションとなるFP2が行われる。また、9日(木)は午後からFP3とハイパーポール、さらにFP4が実施される予定だ。
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