スーパーSUV続々 マクラーレンは?
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】もしもマクラーレンSUVが登場したなら バチバチに競合【4選】 全116枚
ランボルギーニ、アストン マーティン、そしてついにフェラーリも……?
まさか、こうしたスーパーカーブランドがSUV/クロスオーバー市場に続々参入するとは。2010年代半ば以降に本格化したトレンドに、驚きや疑問を持っている人も多いはずだ。
さらに「次は誰だ?」となると、候補としてマクラーレンの名前が挙がるのは自然だ。
実際のところ、可能性はどうか?
マクラーレン・オートモーティブとしては「将来計画については、コメントできない」というのが当然だ。
同社が2018年に発表した、中期経営計画トラック25では2025年までに合計18モデルの市場導入を示しているが、その中にスーパーSUVが含まれている可能性は極めて少ないというのが、自動車産業界の大方の見方だ。
では、なぜそういう見方になるのか?
逆に言えば、そうした見方になること自体が、マクラーレンというブランドと、マクラーレンのクルマ造りを象徴しているのだと思う。
実際、今年(2020年)8月後半、愛媛県松山市を起点として開催された、極少人数ジャーナリストによる「720S」公道試乗会の際、日本および英国本国のマクラーレン・オートモーティブ関係者と直接、またはオンライン会議での意見交換をする中でも、「マクラーレンがスーパーSUVを作らない理由」が肌感覚でわかった気がした……。
SUV 商品の記号性が異なるから
そもそも、マクラーレンの量産車ビジネスは、1990年にマクラーレン・カーズとして立ち上がった。
ドライバーズシートがクルマの中心線上にある、ゴードン・マレー氏の奇抜な発想の「マクラーレンF1」。ダイムラーに買収されたAMGと連携したロン・デニスの新戦略で生まれた「SLRマクラーレン」などがある。
こうしたカーズ時代のマクラーレン量産車を、いまになって振り返ってみると、フェラーリ、ランボルギーニ、ボルシェなど高級ブランドたちと同じテーブルで戦おうとする意識が見え隠れする。
しかし結果的に、量産車業界におけるマクラーレンの存在感は弱かった印象がある。
一方で、2010年にマクラーレン・オートモーティブが誕生した際にも、カーズ時代を知る業界関係者からは「本当に長続きするのか?」と懐疑的な見方があったのは事実だ。
だが、オートモーティブ時代の過去10年間を振り返ると、企業として目指す商品の記号性を明確にしたことで、カーズ時代とはまったく別の世界感とユーザー層を築き上げたのだと思う。
そうした記号性にスーパーSUVが合致しない。
もし、中期経営計画トラック25にスーパーSUVが組み込まれていたら、それがカーズ時代への逆戻りのイメージを助長してしまい、新生マクラーレンを大切にしているユーザーの心に水を差すことになりかねない。
製造面でもSUV投入は難しいはず
もう1点、マクラーレンがスーパーSUVに参入しない理由として、製造面での課題があると思う。
現在、マクラーレン・オートモーティブの生産拠点は、ロンドン南西部のサリー州ウォーキングにあるマクラーレン・テクノロジー・センター。2019年の生産実績を見ると、生産規模は年産4000台規模に留まる。
大手自動車メーカーのようなライン作業ではなく、台車に乗ったカーボンモノコックボディを中核に各種部品やV8ツインターボユニットが手作業で組み込まれている体制だ。
スポーツシリーズ、スーパーシリーズ、アルティメットシリーズシリーズに次いで、GTの量産を始めた現状で、同工場内でスーパーSUVを生産することは、物理的に難しいことは明らかだ。
ならば、ランボルギーニがサンタアガタ本社工場敷地内に、「ウルス」専用工場を新設したようなビジネスプランをマクラーレンが考えるのだろうか?
ウルスの製造工程で見るような、無人化ロボットを多用する手法は、レーシングシャシーコンストラクターというヘリテージが商品の記号性となっている現行マクラーレンには合致しないと思う。
また、現実的な課題として、新型コロナウイルス拡大の影響による3月から6月の一時的な製造停止を受け、事業の立て直し案を推進する中、新規工場の実現は難しいはずだ。
実は英国ブランドには多彩なSUVが
商品の記号性や生産体制など、メーカー側の都合だけではなく、そもそもユーザー側の主流な意見として「マクラーレンのスーパーSUVが欲しい」という声がない。
マクラーレンのユーザーとすれば、複数台の所有が当たり前。広いガレージ内、720Sの隣にウルスが並んでいる光景は、けっして珍しくないはずだ。
さらに視点を変えてみると、これからは新世代のブリティッシュブランドとしてのスーパーSUVの有り様と、マクラーレンの生き様が融合できうる時期かと思う。
つまり、ゴージャスなスーパーSUVは、ロールス・ロイス「カリナン」とベントレー「ベンティガ」。
上質スポーティなスーパーSUVならば、アストン マーティン「DBX」。本格的なオフロードSUVはランドローバー各モデル。EV系ならば、ジャガー「Iペイス」
改めて並べてみると、ブリティッシュブランドには多彩なSUV/クロスオーバーが目白押しだ。
こうした市場実態の中に、マクラーレンがスーパーSUVを導入することに、メーカーとして、またユーザーとして、意味があることなのかは、大いに疑問だ。
「マクラーレンは当面、スーパーカーブランドの中でも、尖りに尖った存在であり続けて欲しい」
夏空のもと、720Sと720スパイダーで四国と本州を結ぶ「しなまみ街道」を走りながら、そう願った。
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みんなのコメント
作らないで欲しい。
あんな実用性の微妙な車。
わざわざSUVボディなんか開発してられんよ