軽自動車にガルウイングを採用しちゃった、令和時代では信じがたいクルマがAZ-1。車格こそ軽自動車で小さいがぱっと見はまるでスーパーカーだ。しかしマイナー車であるが故に維持は大変……。それでも誰とも被らない魅力があるのだ!
※本稿は2023年12月のものです
文/伊達軍曹、画像/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2024年1月10日号
エスクードの2シーター!? AZ-1にピアッツァもイイね!! クルマ好きでも忘れがちな超マイナー車7選
■何だって簡単じゃないほうが逆に面白い!
補修や整備に必要な部品類の入手も難しくなるマイナー車。だがマイナー車好きはソコも楽しんでしまう
ある物事に極端に熱中して、手のつけられないほどになる――という意味を持つ「病膏肓に入る」という言葉がある。自動車趣味が病膏肓に入った各位には、「重症者班」への入班を薦めるしかない。
マイナー車趣味の重症者にふさわしいモデルはどれも中古車としての流通量がきわめて少ないため、物件を見つけること自体がさほどイージーではない。また補修や整備に必要な部品類の入手も、今や決してイージーではなかったりもする。
だが重症者というのは、そういった「簡単ではない」という部分にこそ逆に燃えるというか、大げさにいえば愛とプライドを感じたりするものである。
誰でも買えて、誰でも維持できる(というかボンネットを開ける機会さえほぼない)車種はほかの誰かに任せ、俺たちはディープなマイナー車で、どんどん深みを目指して行こうじゃないか!
■スズキ X-90
スズキ X-90 中古車流用台数:6台 中古車相場:70万~280万円
●このクルマのマイナーブルース
♪ふたりのために
蒼い海を見に行こう
2人しか乗れない
SUVを飛ばして
2ドア・2シーターのノッチバッククーペ型クロスオーバーSUVという、ちょっと何を言っているかわからないコンセプトで1995年に登場。エンジンは100psの1.6L直4で、駆動方式はパートタイム4WD。
当然売れなかったが、当時から今に至るまでカルト的な人気はあり続けている。中古車は希少だがいちおう流通中で、「まさかのX-90購入!」も理論上は可能。
・中古車流用台数:6台
・中古車相場:70万~280万円
■マツダ AZ-1
マツダ AZ-1 中古車流通台数:20台 中古車相場:200万~300万円
●このクルマのマイナーブルース
♪F!(エフ!)R!(アール!)P!(ピー!)
ガル?(ウイング!) ガル!(ウイング!)
OKカモンベイベー
ロック・トゥ・ロック!(2.2回転!)
言わずと知れたスーパーカー(消しゴム)のような軽スポーツ。とはいえ中身は本格派で、アルトワークスと共通のエンジンが収まるボディは軽量なFRPを多用し、ステアリングのロックトゥロックはわずか2.2回転だ。
・中古車流通台数:20台
・中古車相場:200万~300万円
■いすゞ ピアッツァ
いすゞ ピアッツァ 中古車流通台数:4台 中古車相場:220万~250万円
●このクルマのマイナーブルース
♪Asso di Fiori! つまり
「クラブのA」とは俺のこと
ドアミラー 外しておくれよ
デザインカー時代は「Asso di fiori=クラブのA」という車名だった、ジウジアーロの名作。法規の関係で1983年まではフェンダーミラーだったことが、今となっては信じられない。中古車は希少だが、いちうおう流通中。
・中古車流通台数:4台
・中古車相場:220万~250万円
■いすゞ ビークロス
いすゞ ビークロス 中古車流通台数:10台 中古車相場:160万~240万円
●このクルマのマイナーブルース
♪「早すぎた存在」
確かにそうかもしれないな
でも今 時代が俺に追いついたぜ
まずはコンセプトカーとして東京モーターショーに出品され、好評を受けて市販化に至ったサイモン・コックスによるデザインのスペシャルティカー。シャシーは当時のいすゞ ビッグホーンのショート版のものを流用している。
今見ると超おしゃれなデザインなのだが、これが発売された1997年当時は「早すぎた」という感じだったか、一部の数寄者以外にはあまり売れなかった。とはいえデザイン的な名作であることは間違いなく、今もごく一部で人気を集めている。
・中古車流通台数:10台
・中古車相場:160万~240万円
■いすゞ PAネロ
いすゞ PAネロ 中古車流通台数:2台 中古車相場:140万~300万円
●このクルマのマイナーブルース
♪覚えてますか? わたしPAネロです
ピアッツァじゃないし
ピアッツァ ネロでもありません
いすゞが生産し、ヤナセが1990年に発売した3代目ジェミニベースのクーペ。初代と2代目ピアッツァの狭間で、今やほぼ忘れられた存在になっているが、マイナー車愛好家的には「そこが逆にイイ!」と感じられる。2023年11月下旬現在、1.6Lターボ搭載の「イルムシャー160R」が総額約300万円で販売中だ。
・中古車流通台数:2台
・中古車相場:140万~300万円
■ラーダ ニーヴァ
ラーダ ニーヴァ 中古車流通台数:5台 中古車相場:210万~350万円
●このクルマのマイナーブルース
♪あの国の あいつのことは嫌いでも
僕のことは嫌いにならないで
Imagine there’s no countries
ロシアの「ラーダ」ブランドが1970年代から製造しているモノコック構造のSUV。この旧態依然とした「旧共産圏っぽさ」が逆にシブいとして、日本でも昔から(ごく一部で)人気がある。
現在、ロシアによるウクライナ侵略の関係で輸入禁止となっているが、「カザフスタン製のニーヴァやその部品」を輸入するルートは生きている模様。
・中古車流通台数:5台
・中古車相場:210万~350万円
■スマート ロードスター
スマート ロードスター 中古車流通台数:20台 中古車相場:100万~220万円
●このクルマのマイナーブルース
♪人は俺を「時代の徒花」と呼んだが
俺は俺を知っている I’m real 本物なのさ
初代スマートフォーツーをベースとする2シーターオープン。ボディは小さく、6速セミATの「ソフタッチ」は少々おマヌケだが、最高出力82psの0.7L直3ターボと超低重心シャシーが織りなす走りは本格的。
登りはさておき、峠の下りであれば「秋名のハチロク」をぶっちぎれる可能性もあるはず。中古車の予算目安は総額130万円前後。
・中古車流通台数:20台
・中古車相場:100万~220万円
■マイナー系車種の維持はけっこう大変なのか?
古い年式の場合、その維持が大変か大変じゃないかといえば、当然ながら「大変です」というのが結論になる。年式的に経年劣化を起こす部分は多く、それについての交換部品も、今となっては容易には手に入らなかったりもする。
しかし「一部で超絶コアな人気を誇るマイナー車」であれば、蛇の道は蛇的な感じで頼りになる専門店もけっこう存在しており、オーナー同士の情報交換なども盛んに行われている。そのため、「維持は大変だが、気合を入れれば実は結構なんとかなる」というのが、この場合の正しい結論だ。
■「こういうのが好き」という強い気持ちがあれば大丈夫!
マイナー車はその希少性ゆえに今後相場が上がり、資産価値が上がる可能性もあるが、我らマイナー車同好会は資産価値のためにそれを薦めるわけではない。「ただそういうのが好きだから!」。その気持ちこそが大事なのである。
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みんなのコメント
あぁ、「X-90」は初代エスクードの3ドア車をベースに造られたということを
言いたかったんですね。
いやコレ以上に「ド」マイナーな車種もありましたよ。
国内生産としては最後となった、先代の3代目エスクード。
そのほとんどは5ドア車でありましたが唯一、3ドア車というのもあったんです。
そのグレードとは「1.6XC」
元々輸出用に用意されたグレードを国内販売向けに仕立てたモデルで、エンジンは
1600㏄の直4一本、トランスミッションも5速MTのみ、しかもセンターコンソールに
あったダイヤル式のトランスファー切り替えスイッチすら無い、エスクードのお手軽…
というか何というか、不思議なグレードでありました。
知る人ぞ知る「ジムニー・J2」のような立ち位置ですね。
一体国内で何台売れたのでしょう。
かなり前まで、中古車サイトでひょっこり売られていたりしてましたが…。