メーカー系の「ライトキャンプ」市場がさらに広がりそう
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】車中泊も余裕?【ライトキャンプで使えるクルマ6選】 全178枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
リアル・ショーが新型コロナウイルス感染拡大の影響で急遽中止となり、当初から予定されていたバーチャルショー1本化となった、東京オートサロン2021。
昨年末のクリスマス、ダイハツが公開した事前情報では「タフト・クロスフィールドVer.」がリフトアップ、フロントガード、そしてルーフキャリアでキメた。また、軽トラシェアでナンバー1のハイゼットは、軽キャンパー仕様「ジャンボ・キャンパーVer.」として大型ルーフキャリアを搭載した。
これらは、かなり思い切ったカスタムであり、アフター系で量産してもけっこうコストがかかりそうだ。
年が明けて、ホンダのカスタマイズ特設サイトでは「フィットe:HEVクロスオーバー・カスタム」が登場。ルーフにはヤキマ(YAKIMA)製のルーフキャリア採用など、こちらの各種パーツはディーラーオプションでも購入できそうな雰囲気がある。
今後、各自動車メーカーの出展内容が明らかになるが、トレンドとして見えてきたのはクルマ主体の「ライトキャンプ」だ。
ここ数年、キャンプブームでスノーピーク、コールマン、モンベル、ロゴス、小川キャンパルといったテントやキャンプダイニング・グッズの販売が伸びている。そこに、クルマ主体というイメージが強化されそうだ。
ディーラー起点でメーカーもやる気に
これまでキャンプ絡みの主体となるクルマは、キャンパー・メーカーが独自改良した、いわゆるバンコン(バン・コンバーチブル)や、キャブコン(キャブ・コンバーチブル)だった。
自動車メーカーとしては、車両に対するメーカー保証や車検対応の観点から、キャンパーへのコンバージョンに対して慎重な姿勢を崩してこなかった。
だが、キャンプブームの一環として、または災害時に対する予防という観点から「車中泊」への関心が高まり、さらにコロナ禍でリモートオフィスや自宅の庭や駐車場でのホーム・キャンプなど、ライトなキャンプ感覚(ライトキャンプ)というトレンドが見えてきた。
そうしたなかで、デザイン・コンセプトとしての提案に加えて、ユーザーが新車ディーラーを通じて購入可能なライトキャンプ仕様も徐々に増えてきた。
例えば、トヨタ系では、神奈川県のKTグループ(神奈川トヨタなど)やウエインズ・グループ(横浜トヨペットなど)などがキャンパーの展示販売を始めている。
メーカーとしても今後、クルマの電動化が進み、ハイブリッドやプラグイン・ハイブリッドでの外部給電機能の標準装備やメーカーオプションの強化、またディーラーオプションでの内外装でライトキャンプ系パーツの拡充を進めることになりそうだ。
今すぐ買えるライトキャンプ・ベース車
では、メーカーが現在、正規に全国販売している現行車の中で、ライトキャンプのベース車として注目のモデルを紹介する。
まずは、バンコン王道のハイエースだ。
ロングバン/標準ボディ/標準ルーフでフル装備のスーパーGLを選ぶもよし。または、予算を抑えてDXベースにSNSやユーチューブなどで巷の情報を集めながら100円ショップ・グッズ活用し手軽カスタマイズするもよし。
一部の立体駐車場での車高に対する若干の不安は残るが、空間の拡充ではワイドボディ/ミドルルーフも見逃せない。
また、メーカーオプションでは、モデリスタの「mRT(マルチ・ロール・トランスポーター)」は追加オプションも豊富だ。個人的には2017年のハイエース50周年記念に登場した、レトロ調なコンプリートカー「リラクベース」の復刻を期待したい。
ハイエースより小ぶりなベース車としては、タウンエースがある。2020年のモデルチェンジでエンジンのパワーアップや操縦安定性の向上もあり、キャンパー向けディーラーオプションの拡充が望まれる。
日産もこれに対抗してきた。NV350キャラバンでは2020年9月に「マルチベッド」に加えて、11月にはプレミアムGXの特別仕様車ブラックギアも登場。それにあわせて、スペシャルサイトの「車中ライフを楽しむ人の~車中HACK」を公開している。
王道のさらなる活用
軽の王道はもちろん、ホンダNバンだ。
商用車、さらにライフスタイル系での「プラス・スタイル」を提案したことの意義は大きい。
多彩なオプションパーツは周知のとおり。実用面で注目したいのが外部電源入力キット。5mのケーブル付きでオートキャンプ場の設備と接続し、エンジン停止状態でAC100V/最大1500Wが使える。
そしてミニバンの王道はもちろん、三菱デリカD:5だ。
ディーゼル四駆ミニバンという、唯一無二の存在で、本格キャンプからライトキャンプまで守備範囲は広い。三菱としては、そんなデリカ神話からアウトランダーPHEV、そして2020年12月発売のエクリプス・クロスPHEVへの波及効果を狙いたいところだ。アウトランダーの次期モデルで搭載の新PHEVシステム搭載のD:5移植は、早くても2023年頃か?
また、もう1台の注目は、トヨタ・ハイラックスだ。サーファー仲間を中心に日本でレジャーユースが一気に増えてきたピックアップトラックである。今後の参考となるのが、米トヨタがアフター系自動車ショーのSEMAショーで出展した「TRDスポーツトレーラー」だ。
ルーフテントを含めた車載キャンプグッズをけん引する形。日本では道路事情から活用に制約があるが、ハイラックス好きの新たなる提案として日本でも参考になりそうだ。
バーチャル東京オートサロンは、2021年1月15日9時スタートである。
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