過去最強、588psのACコブラ
text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
【画像】ACコブラ 痛快 クラシカルな英国製スポーツモデル 全127枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ACコブラという、オープン2シーターをご記憶の読者も多いだろう。1960年代に生産されていた、英米合作といえるパワフルなスポーツカーだ。
その伝説ともいえるコブラ Mk IVが、過去最強の588psを叩き出すスーパーチャージャー付き6.2L V8エンジンを搭載し、復活を遂げたAC社から発表された。ちなみに2021年は、誕生120周年目を迎えるAC社のアニバーサリー・イヤーだ。
自然吸気版の378コブラは、3年前にデビュー済み。今回のスーパーブロワーは、新シリーズのフラッグシップ・モデル。時流に合わせて、純EV版も発表されている。
現代によみがえったコブラは、シャシーとボディが南アフリカにあるAC社の工場で製造され、英国へやってくる。到着後にドライブトレインが組み込まれ、ボディや内装が仕上げられ、型式認証を得て公道へ降り立つ。
見た目は1960年代のコブラと同じように見えるが、2021年版として最新の改良も施されている。例えば、スーパーブロワーも含めて、コブラのボディはアルミニウムではなくグラスファイバー製になった。
古くからのコブラ・ファンなら、納得しにくい変更かもしれない。それでもボディの仕上げは完璧で、塗装はツヤツヤ。量産車も顔負けといえるほど、パネルのフィッティングもタイトだ。
アルミと比べて、グラスファイバー製のボディは20kgも重い。だが、価格は数万ポンド(数百万円)ほど下げられるという。
シボレー製6.2L V8にスーパーチャージャー
エンジンにも異論があるかもしれない。エアスクープ付きのボンネットの下に宿るのは、フォード製のV8ではない。現代のACが選んだのは、シボレー・カマロにも搭載されるLSAと呼ばれるV型8気筒。
6.2LのV8エンジンはスーパーチャージャーで過給され、最高出力588ps、最大トルク76.5kg-mを叩き出す。トレメック社製の6速MTとリミテッドスリップ・デフを介して、すべてのエネルギーは後輪へ伝わる。
見事な仕立てのボディ同様、エンジンルーム内も丁寧に作り込まれている。隙間なく押し込まれているが、製造品質は一級。配管のレイアウトも美しい。
目を奪われるのが、奥の方で輝くハンドメイドのエグゾースト・マニフォールド。彫刻的な造形美すら感じる出来栄えだった。
シャシーはラダーフレームで、基本的に1980年代に発売されたMk IVとほぼ同じ設計。従来のコブラ・ファンにも、お馴染みのものだろう。直径4インチ、101mmの鋼管で組まれており、レイアウトは一般的だが粉体塗装でサビを防いでいる。
サスペンションも、Mk IVコブラのアップデート版。フロントが独立懸架のマルチリンク式で、リアがリジットアクスルとなる。ビルシュタイン社製のコイルスプリングとダンパー、アンチロールバーが前後に組まれる。
ACによれば、車高やスプリングとダンパーのレートの調整が可能だという。今回の試乗車は、一般道を高速で走ることを前提に設定されていた。
脈打つ爆音に思わず笑顔になる
見た目を引き締める、クラシカルな15インチのピンドライブ・アルミホイールの裏側には、レース仕様のブレーキキャリパーとベンチレーテッド・ディスクが収まっている。ホイールの直径ギリギリに。
インテリアの仕上げにも抜かりはない。ベーシックなデザインながら、職人が丁寧に縫製したレザー・バケットシートにアルミ製の3スポーク・ステアリングホイール、スミス社製のメーターが揃い、雰囲気は特別感たっぷり。
メーターはクロームのリングで飾られ、黒い盤面に白い文字が刻まれる。エアコンも標準装備だ。
最近のフォルクスワーゲン用ステアリングコラムが、少し雰囲気を壊しているが、全体のまとまりは良い。これまで以上に操縦しやすい。
雨天用に、プラスティック製サイドウインドウ付きのファブリックルーフが用意される。取り付けはちょっと厄介だけれど。トノーカバーのほか、オプションでハードトップも選べるという。
試乗日は幸運にも晴天。太陽の光を浴びながら、コブラをドライブできる。
アクセルペダルを踏んだ瞬間、大排気量のV8エンジンが爆音を放つ。思わず笑顔になれないのなら、一度カウンセリングへ行った方が良いかもしれない。
アイドリング中は、鼓動するように回転数がわずかに上下する。スーパーチャージャーが載った6.2LのLSAユニットは、まるで心臓のようだ。回転に合わせて、ボディにもドライバーにも、脈打つ振動が伝わってくる。
この続きは後編にて。
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欲しくなっちゃいます。