運転に惹き込まれる好印象なシャシー
マツダ初のPHEVとなるCX-60。車重は2tを超える大柄なSUVながら、シャシーは好印象。試乗車は20インチという大きなアルミホイールを履いていたものの、舗装状態が褒められない英国の一般道をそつなく処理していた。
【画像】327psは同社最強 PHEVのマツダCX-60 競合するSUVと写真で比較 全109枚
四輪駆動システムが後輪へ積極的にトルクを分配することはないようだが、トラクションは高くアンダーステアも抑えられている。乗り心地は、うねりを伴うカーブの連続する区間でも、落ち着いていて快適性は失われにくかった。
マツダは、アダプティブダンパーを設定していない。この路面への追従性やしなやかさを考えれば、確かに不要そうだ。
コーナリングスピードが高くなると、明確にボディロールする。ステアリングホイールには、もう少し繊細なフィードバックが伝わってきてもいい。それでも、この車格のSUVとしてレスポンスは鮮明。運転に惹き込まれるものがある。
試乗車の動的能力を制限しているように感じたのが、安定性や燃費重視のブリヂストン・アレンザというタイヤ。CX-60のシャシーなら、もっとグリップ力の高いチョイスでも良いだろう。
現代的で上質なインテリア 後席はやや狭め
インテリアは、現代的で日本的なデザインに仕立てられており、マツダらしく素晴らしい。最上級のタクミ・グレードの場合は、ウッドパネルやダッシュボードのクロス張り化粧パネルなど、用いられる素材も上質だ。
ドアのパネルには、本物の金属を用いた細長い装飾トリムもあしらわれている。筆者は、1950年代の華やかなキャデラックを思い出してしまった。
ダッシュボード中央には、12.3インチのタッチモニターが据えられる。エアコン用に独立した操作パネルがあるのもうれしい。
ただし、アップル・カープレイとアンドロイド・オートは画面へ触れた操作が可能なのに対し、英国仕様のマツダ独自のナビゲーションは対応していないようだった。利便性を大きく下げるものではないけれど。
フロントシート側の空間は広々していて、丁度いいドライビングポジションを探しやすい。リアシート側は背もたれが起き気味で、比較すると狭め。高身長のドライバーが座った後ろ側の席は、大人には少々窮屈かもしれない。
荷室容量は大きく、570Lある。CX-60の兄弟モデルとして、同じモジュラー・アーキテクチャを採用し3列シートを備えた、CX-80も控えている。リアシートの広さなど、実用性を重視するなら少し待ってこちらを検討するのも悪くない。
充分な訴求力があるPHEV エンジン版も気になる
駆動用モーターと内燃エンジンという、2つのパワートレインを搭載するというPHEVには、メリットだけでなくデメリットもある。新しいCX-60でも、その2面性があることには変わらない。
PHEVを選ぶ理由は、燃費性能の高さや環境負荷の小ささにある。CX-60のCO2排出量は33g/kmと小さく、充分な訴求力は持っている。確かに、売れ筋のパワートレインにはなるのだろう。
マツダCX-60で好ましいポイントは少なくない。しかし、その多くはPHEVとは直接関係のない部分。そこで気になってくるのが、直列6気筒のディーゼルとガソリンエンジン版の仕上がりになる。
一方で、このクラスのSUVでは走りも魅力的なBEVが増加傾向。マツダはこの機会に、もっと大胆に電動化技術へ踏み出しても良かったのではないか、と感じたことも事実ではある。
マツダCX-60 PHEV AWD タクミ(英国仕様)のスペック
英国価格:4万8050 ポンド(792万円)
全長:4745mm
全幅:1890mm
全高:1680mm
最高速度:199km/h(リミッター)
0-100km/h加速:5.8秒
燃費:66.6km/L
CO2排出量:33g/km
車両重量:2146kg
パワートレイン:直列4気筒2488cc自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:17.8kWh
最高出力:327ps/6000rpm(システム総合)
最大トルク:50.7kg-m/4000rpm(システム総合)
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック
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みんなのコメント
>四輪駆動システムが後輪へ積極的にトルクを分配することはないようだが、
エンジン縦置なのに、常用リア寄りの駆動ではないという意味なのか、意味がよく分からない。分かる人、解説して下さい。