ZFは2019年9月12日、フォルシアと共同開発した近未来のクルマのための革新的なコックピットのコンセプト・モデル「セーフ・ヒューマン・インタラクション・コックピット(SHIコックピット)」を発表した。
レベル3の自動運転を想定したコックピット
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SHIコックピットは、先進支援システムと自動運転機能が、ドライバーとシンプルかつ効果的にコミュニケーションを取ることができ、ドライブでの高度な安全性と快適性を実現することを目指している。
レベル3でのSHIコックピットは、自動運転とドライバーによる操作の切り替えが行なわれ、直感的かつスムーズに運転の切り替えが行なうことができる。そしてシートは、あらゆる体格のドライバーの幅広い乗車姿勢に対応できるよう、自動調整システムが採用されている。
さらにインテリジェントな電子アシスタンスによりクルマからドライバーに、より直感的に分かりやすく情報が伝達されるようにデザインされている。これらの機能は簡単に調整することができるようになっているのも特長だ。
自動運転機能は安全性および利便性の向上をもたらすことはいうまでもないが、多くのユーザーはそれらの機能がどのように作動するのかをよく理解しているわけではない。SHIコックピットはこの課題を解消するために開発されているのだ。
ZFのアドバンスト・エンジニアリング部門のセーフ・モビリティ・システムの責任者、ウーヴェ・クラスは、「SHIコックピットは、人間と機械との間で行なわれる運転操作の受け渡しを非常にシンプルにします。またドライバーは、どのドライビングモードで走行しているのかを、常に把握できます。こうしたことで運転を支援する重要な機能が、より容易に受け入れられるようになるでしょう」と語っている。
運転状況をドライバーに伝達
SHIコックピットは、交通状況が自動運転可能になった時、それをドライバーに知らせ、ドライバーがステアリングホイールから手を放した瞬間にクルマのシステムが運転を行なう。ステアリングホイールは、ドライバーの手の届く範囲で前方と上方に移動させることが可能だ。これは、ステアリングホイールシステムのハンズ・オン・デティクション(HOD)機能が検知することで可能になっている。
ステアbyワイヤーの採用により、自動運転中にはステアリングホイールの動きは固定される。また、調整範囲が広いシートは、後方に、さらに下方に移動し、シートバックが後方に倒れ、よりリラックスした姿勢で着席できるシートポジションに変化する。
またそのようにシートポジションが変化しても、SHIコックピットのシートには、エアバッグ、アクティブシートベルトとアクティブシートベルト・クリップが統合された状態で装備され、安全性は確保されている。
SHIコックピットは触覚(例えばシートベルトの振動)、視覚(例えばコックピット内を囲むように備えられた色の変わるライト)や聴覚(例えば音や声)によりドライバーに運転状況の変化、つまりマニュアル運転を準備するための情報を事前に伝達する。もしドライバーが反応しない場合、クルマは最も安全な場所に停止するようにプログラムされている。
より快適なシート
SHIコックピットは運転を始める前から、快適性と安全性を実感できる。ドライバーの乗り込みを容易にするため、運転席は後方へと移動し、背もたれが倒れる。またステアリングホイールも上方に持ち上げられ、大柄なドライバーでもスムーズに乗り込むために十分なスペースが確保される。
ドライバーが運転席に座ると、3Dカメラがアイポイントの高さを測定し、マニュアル運転の際に最適なポジションとなるよう、シートとステアリングホイールの位置を自動調整する。降車時はシートが自動的に適切な位置まで下がるようになっている。
フォルシアの次世代コックピット部門でシステム&メカニカルインテグレーション担当ディレクターのエリック・バネル氏は、「ZFとフォルシアのソリューションを融合することで、乗車時および降車時においても最善の快適性を提供できます」と語る。
より理解しやすい表示
SHIコックピットは、全ての運転支援とドライバーへのフィードバック機能を集約し表示することができる。中央に設置されたヘッドアップディスプレイ・インストルメントクラスター(HUDIC)モニターに、自車がバードビューで表示されるようになっている。
アクティブ・ビークル・オーラ(AVA)は、アダプティブクルーズコントロール、ブラインドスポット・ワーニングやレーンキープアシストを含むすべての運転支援システムから得られた情報を総合し、見やすくドライバーに表示する。モニター画面には、自車を囲むように1本から3本までの楕円の線で、車両の周辺環境が表示される。
コントロールシステムの介入レベルはステアリングホイールで設定することができ、3本線で表示されている場合は、早い段階でゆるやかにシステムが介入。1本線での表示の場合、システム介入のタイミングは遅くなるが、強制的に作動することを意味する。
死角に車両がいるのにドライバーが車線変更の操作を行なおうとした場合など、危険な状況では線の色と形状が変化し、同時に支援機能が操作に介入する。
ドライバーが運転している、あるいは自動運転状状態に関わらず、SHIコックピットは複雑な各種システムを統合し、乗員に分かりやすい情報伝達を行なうのだ。運転支援機能や自動運転システムの作動状況を客観的に理解することができるようにデザインされている。
今回発表されたSHIコックピットは、フォルシアおよびfka社(Forschungsgesellschaft Kraftfahrwesen mbH Aachen)と共同で開発。ZFがプロジェクト全体の管理と新しい機能の開発と統合を担当した。そのほか、予防安全(アクティブセーフティ)、衝突安全(パッシブセーフティ)、ステアbyワイヤーによる車両の動作制御を含むHODステアリングホイールから、先進の制御系に至るすべてのシステム開発もZFが中心となっている。
また、fka社との協力で、ノイズおよび音響設計、人間を使って得られた様々なテスト結果など、知覚心理学分野や、その他の現実的な環境下でのテストが繰り返し行なわれた。シート設計に経験を持つフォルシアとは、乗員拘束システムのシートへの組み込みやコックピット部品の設計で協力している。
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