この記事をまとめると
■シャシー/下まわりのカスタムについて解説
いまバブルの遺産「豪華バス」が熱い! デコトラ乗りが「マイカー」として熱視線を送る「サロンバス」とは
■デコトラのなかにはシャシーを赤く塗装している個体が多い
■荷台を載せるための縦根太の高さを稼ぐことを「根太増し」と呼ぶ
シャシーを赤くするデコトラが多い理由とは?
デコトラは派手に飾ったトラックのことを指す言葉だと認識している人は、数多く存在するだろう。もちろん、それは誤りではなく正解。派手なトラックが現場から毛嫌いされてしまうような平成後期以降になってからは、デコトラの世界にも大きな変化が生じた。そう、派手さではなく細部の架装や美しさを求める方向へとシフトしたのである。
昭和の時代には空気抵抗や利便性などを無視した、ド派手なデコトラたちが街道筋を駆けまわっていた。景気のよさも手伝っていたのだが、現代ではそういうわけにはいかない。運賃は低下し燃料代が高騰しているなかで、重量が嵩むステンレス製の飾りでガンガン飾る昭和のようなデコトラは、鳴りをひそめるようになったのである。
物流業界でもコンプライアンスが叫ばれるようになり、派手なトラックでは現場に入れなくなった。そしてベースとなるトラックそのものがオシャレな流線型となり、ヘッドライトがフロントバンパーに装着されるようになったことで、従来のように飾りにくくなった。
そんな時代になったことも大きく影響しているのだが、デコトラ愛好家たちも負けてはいない。一般の人たちが気づかないような架装を展開することが仕事車の間でブームとなり、すっかり定着したのである。
トラックは運転席を有するキャビンと骨となるフレームにエンジンやミッション、タイヤなどが装着されたシャシー、そしてボディと呼ばれる荷台の3つで構成されている。今回は、トラックの基礎となるシャシーについて触れてみよう。
トラックのシャシーは、普通乗用車と同じく黒色で塗られるのが一般的である。だが、旧くから水産便のトラックたちはシャシーが海水でサビないようにという理由から、朱色や赤色で塗装することが定着してきた。それがデコトラ愛好家たちの心を刺激し、水産物を運ばないトラックでさえもシャシーを赤色に塗り、さらにはその上から赤ラメを吹き付けるというスタイルが人気を博している。乗用車とは異なり露出部分が多いトラックにおいては、シャシーの塗装が見た目を大きく変えるのである。
そんなシャシーには、ボディと呼ばれる荷台を載せるための縦根太(ネダ)という縦方向のレールが装備されている。その縦根太の高さを稼ぐように改造し、荷台を高い位置に装備するという手法は「根太増し」と呼ばれるのだが、これは見た目が良くなることから4トンや2トントラックを飾るデコトラ愛好家に好まれている。しかし、仕事面においてもメリットやデメリットは存在する。今回は、その部分についてお話してみたい。
「根太増し」は人気のスタイル!
荷台の高さを上げるということは、重心が自ずと高くなるということは安易に想像がつくだろう。そのためバランスが悪くなり、コーナリング性能や安定性は低くなってしまうのだ。それなのに、なぜ荷台を高くしたがるのか。そこには、いくつかのメリットと呼ぶべき理由が存在しているのだ。
まずひとつめは、荷物をあまり積んでいないように見せること。過積載を推奨しているわけではないため大きな声ではいえないが、車高が高くなることで見た目を軽く感じるよう仕立てているのだ。過積載対策であるともいえるだろう。
そしてふたつめは、アオリを高くすることができること。トラックボディのなかには平ボディとウイング車と呼ばれるものが存在するのだが、そのいずれのボディにもアオリというパーツが存在する。これはいわゆるボディ側面の壁に該当するもので、荷物を積み下ろす際にはボディの台枠(下部の枠組み)部分に固定された蝶番で開閉するようになっているのだ。
つまり、ボディそのものの地上高がなければアオリを高くできないのである。デコトラ愛好家たちの間では、4トントラックに1mのアオリ(メーターアオリ)を装備することが人気となっているのだが、そのためには地上高を1m以上にする必要がある。ちなみに純正ボディのアオリは400mm程度が一般的であるため、根太増しする必要性があるのはおわかりいただけるだろう。
では、なぜアオリを高くする必要があるのか。それも先の理由と共通するのだが、アオリを高くすることで荷室容量を増やすことができ、かつ荷台の内部を見せないことで積んでいないように思わせることができるのだ。もちろん見た目のよさも飛躍的に向上するため、デコトラ愛好家たちに好まれているのである。
アオリを持たない箱車の場合は、単に見た目のよさを重視しているケースが多い。しかし、なかには4トントラックでありながら大型用のホームやバースに付けることができるため、根太増しをしているという車両も存在する。それは少数派であるのだが、あくまでも仕事上の利便性を考えて根太増しされているのだ。それと同時に見た目のよさを得られるのであれば、実践しない理由はないだろう。
そんな根太増しについて、即座に「改造しているな」と気づく一般の人たちは少ないだろう。しかし、デコトラ愛好家のなかでは人気の高い、ファンにも浸透しているスタイルなのである。なかなかに奥が深い、デコトラという日本特有の文化。昭和の時代とは大きく様変わりした令和デコトラのスタイルを、これからも紹介していきたい。
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みんなのコメント
『根太上げ』
って言うんだわ。
たくさん積みたいとか、強度上げが必要で横根太の数を増やすときに「根太増し」って表現するのが普通。
モノ知らないなら、わざわざ知ったかぶりして偉そうに記事にしなくていいよ、不快だから。