F1ラスベガスGPでレッドブルのマックス・フェルスタッペンはドライバーズタイトル4連覇に輝いた。しかしチームは、2025年シーズンのチャンスについて「自信がない」と認めた。
サマーブレイク以降、マクラーレンのランド・ノリスが攻勢を強める中、レッドブルとフェルスタッペンはRB20のトラブル原因を突き止め、ここ数戦はペースを引き出すことに成功した。
■レッドブル、今季の”最低地点”はイタリアGPだと振り返り「タイトルが遠ざかっていく瞬間だった」
雨のサンパウロGPでフェルスタッペンは高いパフォーマンスで勝利を掴み、ラスベガスGPでは2024年のドライバーズチャンピオン獲得に向けた舞台が整った。
そしてフェルスタッペンはノリスを上回る5位でラスベガスGPを終え、タイトルを獲得した。ただレッドブルとしては、2025年の見通しがあまり良くないと考えているようだ。
RB20で困難を乗り越えたことでレッドブルは来季に向けて楽観的になれたか、と質問を受けたテクニカルディレクターのピエール・ワシェは次のように答えた。
「我々が素早くやれたことには満足していると思う」
「2025年に向けた自信はない。他のマシンがとても速かったり、接近したりしていると思うからね。1年を通しての戦いになるだろう」
しかしワシェは、楽観的な姿勢を持たないことが自身の長所だと捉えている。厳しい評価を行なうことで、2025年の“RB21”の設計をより深く掘り下げ、さらなる可能性を見つけることができるからだ。
「このビジネスでは、自信満々だと死んでしまう」とワシェは言う。
「ハードに働く必要があるし、チーム全員が必死に努力しなければならない。(他の)みんな頑張っているからね」
「ごくわずかなパフォーマンスを見つけ、あらゆるところからスピードを引き出そうとしている人たちの数を見れば、これは非常に難しいタスクだ」
「私には自信がない。もし私が自信たっぷりなら、寝て、仕事に行かず、パフォーマンスも見いだせなくなってしまう」
■今年序盤の圧倒劇は予想外
またワシェは、ここ数シーズンにおけるレッドブル優位の状況は驚きだったと示唆。レッドブルが“銀の弾丸”(問題を一撃で解決するような策)を手にしていたわけではなく、ライバルチームがさらに接近してくると考えていたという。
「正直なところ、今年の戦い方は2023年に予想されていたモノだ」とワシェは言う。
「2022年はフェラーリがスタートダッシュを決め好調で、我々は最速マシンでシーズンを開幕できなかった」
「2023年は戦いになると予想していたが、そうはならなかった。そして2024年はシーズン開幕からと考えていたが、そうもならなかった! 説明ができないよ」
「我々がより良い仕事をしたというわけではない。それよりも、ある時期に他チームが悪い仕事をしたということだ。マクラーレンは今季、出遅れた。それは我々のせいではない」
「マシンは大きく変わっていない。絶対的には同じだ。しかし、我々はマシンのパフォーマンスを向上させる必要がある。他チームの方が速いからね」
■モンツァが起点に
マクラーレンがパフォーマンスのアドバンテージを最大限に活かそうとする中、レッドブルは特に難しい中盤戦を強いられた。そして、その突破口を今季“最低点”となったイタリアGPで見出したとワシェは考えている。
舞台となったモンツァで低ダウンフォース仕様のRB20からパフォーマンスを引き出せなかったことが、弱点に対する答えを導き出す上で役立ったというのだ。
「モンツァは明らかに重要なポイントだったし、我々にとっても目覚めのポイントだったと思う。マシンの問題点が浮き彫りになったが、それはこれまで見えていなかったモノ……あるいは見えてはいたが、疑ったり推測したりしていたモノだった」
「印象的だったのは、チームがこの問題を解決するため、あるいは助けるため、そして問題を減らすためにどう対応したかということだ」
「オースティンでは既に我々はパーツを投入した。マックスもマシンがまとまってきたと言っていた」
ワシェはレッドブルの課題について、より幅広い種類のサーキットで速く走ることができるマシンをドライバーに提供することだと考えている。
2025年の目標を尋ねられたワシェは次のように答えた。
「複数のタイプのサーキットで、きちんとしたマシンを持つことだ。このタイプの(ラスベガスのような)サーキットでは、我々は上手くいっていないと思う。だから低速(コーナー)と直線のスピードを向上させることが目標のひとつだ」
具体的な空力デザイン面でレッドブルに再考が必要なのは、リヤウイングに対するチームのアプローチだ。今年のイタリアGPとラスベガスGPでは、超低ダウンフォース仕様に舵を切ったことで、弱点が露呈してしまった。
「考えるべきことだと思う」とワシェは説明した。
「おそらく、予算や時間など複数の理由でやらなかったんだと思う。リヤウイングを作る時、他のことはやらない」
「それが間違いだったのは明らかだ。それを評価してみる必要がある。今よりも良いリヤウイングを見つける必要がある。それも簡単な作業ではないが、今年も昨年もそうであったように、我々が研究するべきことであるのは明らかだと思う」
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