現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【試乗】BMW M850i xDriveクーペは淀みなく爽快に吹け上がるエンジンが好印象

ここから本文です

【試乗】BMW M850i xDriveクーペは淀みなく爽快に吹け上がるエンジンが好印象

掲載 更新
【試乗】BMW M850i xDriveクーペは淀みなく爽快に吹け上がるエンジンが好印象

BMWのモデルラインナップに強烈な存在感と官能的なデザインを採用した2ドアクーペ「8シリーズ」が加わった。躍動感溢れるスタイリングの中にパワフルな4.4L V8ツインターボエンジンを搭載し新世代クーペの続報をお届けする。(Motor Magazine 2019年1月号より)

「美しさ」と「速さ」を両立したラグジュアリーなBMW8シリーズクーペ

“日産 GT-R 50”、これがGT-Rの最終形なのだろうか!?

「8シリーズは要するに6シリーズの後継モデルですよね」と尋ねると、開発陣はそれを真っ向から否定した。初代8シリーズに始まりZ8、そして近年ではi8と、車名に“8”が含まれるモデルはどれも特別な存在であり、ゆえに新しい8シリーズも当然そういうモデルとして世に送り出されるのだと、彼らは胸を張る。

たしかにその大胆なスタイリングは、BMWとして新しい境地に挑む姿勢が明確に表れている。キドニーグリルは左右がつながり、ヘッドライトは4灯式をかろうじて守りつつも天地に薄く、これまでにない表情を描いている。ルーフはダブルバブル形状。そこからリアエンドに連なるラインは流れるようで、とても伸びやかだ。

実はクリス・バングル氏(元BMWのチーフデザイナー)時代でも継承されていたショルダーを前後に貫くラインなど、伝統的に使われてきたモチーフをいとも簡単に捨ててしまったことには戸惑いも生じるが、BMWとしてはそれでも新しい表現がしたかったのだろう。ともあれ、8シリーズはダイナミックな姿であることは間違いない。

実はこう見えて現行6シリーズクーペより全長の短いボディは、キャビン前後の支持構造、フロントバルクヘッド、ボンネット、ルーフ、ドアなどの外板パネルをアルミ製としている。また、インストルメントパネル内に通されたリーンフォースはマグネシウム合金製に。さらに、CFRP製センタートンネルも採用された。

当然、これらは軽量化、高剛性化のため。ただし、7シリーズのカーボンコアとは違い、ピラーまわりなどはCFRP化されていない。一方で、オプションとしてCFRP製ルーフも用意されている。ノーマルのアルミ製との重さの違いは1kg程度だというが、重心より遠い位置にあるパーツだけに、ハンドリング性能の向上に大きく貢献する。

やはりアルミや軽量スチールで構成されるサスペンションは、BMW M社が手がけたもので、とくにキャンバー剛性の確保に留意したという。インテグラルアクティブステアリング、電子制御式ダンパー、電子制御式ディファレンシャルなどが標準装備されるほか、アクティブロールスタビリゼーションと呼ばれる可変アンチロールバーも設定される。

日本仕様のBMW8シリーズに3L直6のディーゼルの可能性も

エンジンは現時点で2種類を設定。M850i xDriveクーペには、4.4L V型8気筒ツインターボが、そして840d xDriveクーペには、3L直列6気筒ディーゼルツインターボが、それぞれ搭載される。

今回の試乗車は前者。新設計のクランクケース、低フリクションのピストン/ピストンリングを新たに採用した腰下に、噴射圧350barの多孔式燃料インジェクター、新しい点火システムなどを組み合わせて、最高出力を68ps増の530psに、最大トルクは100Nm増の750Nmに高めている。この出力は8速AT、そして電子制御式4WDのxDriveを介して4輪に伝えられる。

なお後者については、欧州でのディーゼルがシェアを下げている一方で、日本のプレミアムセグメントでの需要が堅調であることを意識してか、「これも日本市場にフィットすると思う」と、プロジェクトマネージメント担当は言っていた。直列6気筒ディーゼルエンジンを積む大型クーペ。本当に導入されるようだと、相当面白くなりそうだが……。

室内に乗り込むと、大型のセンターコンソールが中央に構える、ややクラシカルな雰囲気のインテリアに出迎えられる。しかし、メーターパネルはフルデジタル化され、大型のヘッドアップディスプレイと合わせて走行に関連する情報、さらにADASやナビゲーション等々の豊富なインフォメーションをわりやすくレイアウトする。進化したジェスチャーコントロールも備わり、操作はそれ自体が未来的。ただし、クリスタルのシフトノブのように、これまた今までのBMWの文脈にはないデザイン要素は賛否が分かれそうだ。

BMW8シリーズはすこぶる上質な乗り心地を持っていた

走り出して、まず好印象を受けたのがエンジンだ。低回転域からアクセルペダル操作に対して実に活発に反応して、弾けるようなトルクでクルマを小気味よく前に進めていく。そしてそのまま高回転域まで淀みなく、爽快なサウンドとともに一気に吹け上がるのだからたまらない。力を入れて開発したムービングパーツの軽量化の恩恵をしっかり味わえる。 

ライドコンフォートのレベルも高い。サスペンションは硬過ぎずよく動き、路面の不整もすんなりやり過ごす。直進性も際立ち、強い横風の中でも、高いスタビリティを実感できた。

今回はエストリルサーキットを走行することもできた。限界近くになると、その大きさ、重さが気になることとなった。まず定常的にアンダーステアは強めで、ノーズはなかなかインを向いてくれないし、最大2.5度の切れ角を持ち、通常は72km/h、スポーツ/スポーツ+の各モードでは88km/hで位相を切り替える後輪操舵は、高い速度域では前輪と同位相となり、クルマをさらに安定方向に導く。xDriveは駆動力を後輪に寄せているはずだが、それでもラインはどんどん膨らんでしまう。もう少しコントロールの余地を残してほしいが、そうした走りはM8に任せて、ということかもしれない。

このM850i xDriveクーペは、すでに日本でも発表されている。さらにBMWは、この先、8シリーズのラインナップを拡充すると公言している。早くも、8シリーズコンバーチブルが発表されているが、2019年にはグランクーペとM8が加わる。このファミリー全体で、6シリーズとは異なる特別な存在として、どんな世界を創り上げていくのか注目だ。(文:島下泰久)

BMW M850i xDrive 主要諸元(データは2018年11月8日発表の日本仕様)

●全長×全幅×全高=4855×1900×1345mm
●ホイールベース=2820mm
●車両重量=1990kg
●エンジン=V8DOHCツインターボ
●排気量=4395cc
●最高出力=390ps/5500rpm
●最大トルク=750Nm/1800-4600rpm
●トランスミッション=8速AT
●駆動方式=4WD
●車両価格=1714万円

[ アルバムはオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

グレー&シアンで「MTシリーズ」の世界観を表現、ヤマハ『MT-03』『MT-25』2025年モデル発売 
グレー&シアンで「MTシリーズ」の世界観を表現、ヤマハ『MT-03』『MT-25』2025年モデル発売 
レスポンス
KINTO、走行安定性をアップグレードする「士別フィン」を発売
KINTO、走行安定性をアップグレードする「士別フィン」を発売
月刊自家用車WEB
KINTOから、LEXUS ISをアップグレードする「Performance Upgrade “Solid” for IS」が発売
KINTOから、LEXUS ISをアップグレードする「Performance Upgrade “Solid” for IS」が発売
月刊自家用車WEB
40年の歴史を持つ伝説的なハイパフォーマンスセダンは7世代目に! 新型「BMW M5」がデビュー
40年の歴史を持つ伝説的なハイパフォーマンスセダンは7世代目に! 新型「BMW M5」がデビュー
LE VOLANT CARSMEET WEB
SP忠男から Z650RS(’24-)用フルエキ「POWERBOX FULL 2in1ステンポリッシュ」が発売!
SP忠男から Z650RS(’24-)用フルエキ「POWERBOX FULL 2in1ステンポリッシュ」が発売!
バイクブロス
「e-BIKE」ってなに? ペダル付き電動バイクとの違い
「e-BIKE」ってなに? ペダル付き電動バイクとの違い
バイクのニュース
三菱「新型デリカ」発表近い!? 超ビッグ&タフな「SUVミニバン」発表で「出たら即買う」の声! 度肝抜く「D:X」登場で期待ヒートアップ!?
三菱「新型デリカ」発表近い!? 超ビッグ&タフな「SUVミニバン」発表で「出たら即買う」の声! 度肝抜く「D:X」登場で期待ヒートアップ!?
くるまのニュース
モータージャーナリスト修行中のZ世代クルマ好き女子がトムスの本物フォーミュラカーFIA-F4を初体験してきた件
モータージャーナリスト修行中のZ世代クルマ好き女子がトムスの本物フォーミュラカーFIA-F4を初体験してきた件
カー・アンド・ドライバー
アウトドアを楽しもう…アンダーソン・パークとコラボ、「ワールド・ミュージック・デイ」でレクサス GX を起用した映像公開
アウトドアを楽しもう…アンダーソン・パークとコラボ、「ワールド・ミュージック・デイ」でレクサス GX を起用した映像公開
レスポンス
カッコよさ重視のデザインに!! 燃費29km超えの[カローラツーリング]はハンドリングが抜群!
カッコよさ重視のデザインに!! 燃費29km超えの[カローラツーリング]はハンドリングが抜群!
ベストカーWeb
【BYD シール】「売れるかは未知数」縮小する日本のセダン市場で、中国のEVはどう戦うのか
【BYD シール】「売れるかは未知数」縮小する日本のセダン市場で、中国のEVはどう戦うのか
レスポンス
アウディの高性能SUV『RS Q8』、600馬力ツインターボ搭載…発表
アウディの高性能SUV『RS Q8』、600馬力ツインターボ搭載…発表
レスポンス
「えっ!」捕まるのはイヤだけど…乗ってみたい!? 爆速「“2ドア”パトカー」3選
「えっ!」捕まるのはイヤだけど…乗ってみたい!? 爆速「“2ドア”パトカー」3選
くるまのニュース
専門店もあるのにPBブランドまで展開! いまホームセンターが「カー用品」を充実させる理由を大手に聞いてみた
専門店もあるのにPBブランドまで展開! いまホームセンターが「カー用品」を充実させる理由を大手に聞いてみた
WEB CARTOP
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「モビリティ業界の新規事業のつくり方~ヤマハ発動機の成功と失敗に学ぶ~」
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「モビリティ業界の新規事業のつくり方~ヤマハ発動機の成功と失敗に学ぶ~」
レスポンス
ハミルトンへの嫌がらせ告発する怪メールに警察「犯罪行為無し」と結論。チーム側には今後に向けアドバイス与える
ハミルトンへの嫌がらせ告発する怪メールに警察「犯罪行為無し」と結論。チーム側には今後に向けアドバイス与える
motorsport.com 日本版
Wedsの注目ブランド MAVERICK(マーベリック)から新作2ピースモデル「1613M」誕生
Wedsの注目ブランド MAVERICK(マーベリック)から新作2ピースモデル「1613M」誕生
ベストカーWeb
日産“新型”「和製スーパーカー」発表! まさかの「“スカイライン”なR34仕様」! もうファイナルな鮮烈ブルーの「GT-R」アメリカに登場
日産“新型”「和製スーパーカー」発表! まさかの「“スカイライン”なR34仕様」! もうファイナルな鮮烈ブルーの「GT-R」アメリカに登場
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1050.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

648.01558.0万円

中古車を検索
8シリーズの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1050.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

648.01558.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村