7月12日(日)に最終戦を迎えたWorldRX世界ラリークロス選手権の新eシリーズ『WorldRX Esports』第4戦は、前戦エントリーを本業再開で見送っていたVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの元王者“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲンが有終の美を飾る勝利。そして4位に入った現WorldRX世界チャンピオンのティミー・ハンセンが、現実世界に加えて初代eシリーズチャンピオンの称号を手にしている。
南アフリカ・ケープタウンの仮想トラックで開催されたeシリーズ最終戦は、ここまでのラウンドで優勝戦線を盛り上げてきた実力者たちの共演となり、第2戦勝者のBMWファクトリー契約ドライバー、トム・ブロンクビストは前戦に続いて予選ヒート後の中間リザルトでTQ(top qualifier)となり、勢いそのままに開幕勝者のSVGやWorldRXレギュラーのケビン・ハンセンらを従えて、セミファイナル1も制してみせる。
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対して、このラリークロスを本業とする現WorldRX王者も本領を発揮し、前戦勝者のジョナサン・パイエらを降してセミファイナル2を勝ち上がり、ファイナルはブロンクビスト、ティミー、SVG、そしてパイエら5台のプジョー208WRXによるシリーズ総仕上げとなる直接対決の舞台が整った。
そのスタートでまず飛び出したのはニュージーランド出身のSVGで、参戦休止の鬱憤を晴らすかのように“eシリーズ・マイスター”がホールショットを奪っていく。一方、有利なインサイドのポジションを得ていたポールシッターのブロンクビストは、漆黒のプジョー208WRXの蹴り出しがわずかに遅れ、王者ティミーの横腹を突くように最後尾で1コーナーへとなだれ込む。
この瞬間にポジションの不利を悟ったブロンクビストは、パイエとともに1周目から最終アウトサイドのジョーカーラップ消化を選択。2周目早々にパイエも仕留め、クリーンエアでの逆転を狙って懸命のプッシュを開始する。
一方、トラック中盤のテクニカルセクションでポジションを奪還し、2番手に浮上していたティミーは、首位SVGを追走するもなかなかギャップが縮まっていかない。そればかりか、3周目には3番手に迫る地元サウス・アフリカ出身のデビッド・ペレルにもサイド・バイ・サイドに持ち込まれるなど、苦しい戦いを強いられる。
しかし、このファイナルで4位に入ればeシリーズチャンピオンが確定するティミーは、この若手有望株のアタックを見極め4周目には軽い抵抗のみで前に出すと、その背後にはブロンクビストが迫ってくる。
ここで追い抜きを逸ったブロンクビスト、そして“ブレーキテスト”のようなスローインを見せたティミーは、シケインで追突しそのまま最終コーナーの壁に張り付くように接触。WorldRX王者をアウト側のウォールに押しやったブロンクビストは、このアクシデントでレースタイム5秒加算のペナルティが課せられる。
5周目の最終コーナーでもパイエを弾き飛ばして3番手に浮上したブロンクビストは、首位SVGには届かなかったものの、ファイナルラップでジョーカーを消化したペレルも捕らえて2位でチェッカー(タイム加算で最終リザルトは3位)。そしておなじくジョーカーに回ったパイエをかわしたティミーが4位でフィニッシュラインをくぐり、見事に初代eシリーズチャンピオンの肩書きを加える結果となった。
「今は本当に誇らしい気分だ。この長いオフシーズン、こうしてドライビング感覚を養い、繊細かつ鋭敏な状態を保つのに、eスポーツは最良の方法だったと思う。素晴らしいレースもあり、エキサイティングな瞬間も経て、こうしてタイトルを手中にできて最高だよ」と、喜びを語った現実と仮想世界の双方を制した王者ティミー。
「とくにシェーン(ヴァン・ギズバーゲン)は、このシリーズでスピードスターぶりを見せつけた新星だが、これは本当に驚異的なことだと思う。僕自身もこのあと少しだけタイトルのお祝いと余韻に浸り、すぐに現実世界の準備を進めたい。スウェーデンのWorldRX開幕戦に向け、忙しくなるだろうね!」
そして毎ラウンド別クラスとして開催されてきたプロのシミュレータードライバー10名による勝負は、現『DiRT Rally 2.0』世界王者でもあるキリアン・ダロルモが3連勝を飾り、こちらもタイトル獲得を決めている。
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