日産は将来に向けた戦略として「インテリジェント・モビリティ」というスローガンを掲げている。その戦略はインテリジェント ドライビング(自動運転化の技術)、インテリジェント パワー(電気駆動技術)、インテリジェント インテグレーション(コネクテッド技術)という3本柱から成る。
インテリジェント ドライビングは交通事故や渋滞をゼロにするために自動運転や高度運転支援システムを開発して、市販モデルに積極的に採用し、2020年には自動運転が可能な技術を市場投入するといている。
今回取り上げるインテリジェント パワー戦略は、排気ガス・CO2ゼロを目指すために電気駆動技術を開発、展開していくというものだ。すでにこれまでにマイルド・ハイブリッド、FR車/FF車のハイブリッドからノートに新採用されたe-POWER、そしてリーフに代表される純粋な電気自動車へと各種のパワートレーンと車種を展開しており、今後も電動化時代に向けた布石を打ち、電気自動車の比率を高めて行くことを目指している。
また日産は電気自動車の普及により、電気自動車と家庭(V2H)を接続し、クルマと地域が電力網で結合させることで、スマート・グリッドを作り上げ、より効率的な電力利用を行なう可能性を追求し、電気自動車の社会的な価値をさらに高めることができるという視点も重視している。
その一方で、環境対応車という位置付けで語られる電気自動車に、クルマを操る時のドライビングプレジャーはあるか、という点も改めて注目してよいだろう。その電気自動車のドライビングプレジャーにフォーカスを絞ったのが、今回の袖ケ浦フォレスト・レースウェイでメディア向けに開催された「インテリジェントパワー体験会」だ。
ここでは、話題のノートe-POWER、Xトレイル・ハイブリッド、リーフなど既存のクルマと、リーフ・ニスモRC、2013年の東京モーターショーに出展された電動スポーツカーをイメージしたコンセプトカーの「ブレイドグライダー」がラインアップされた。
■ブレイドグライダー
2013年の東京モーターショーに出展されたブレイドグライダーは、電気自動車のスポーツカーというコンセプトで作られ、三角翼型の形状、3人乗りというユニークなデザインを採用していた。
このブレイドグライダーは、日産グローバル・デザインセンターと日産デザイン・ヨーロッパが協力してデザインされ、2台のプロトタイプが製作され、今回のお披露目となった。ハードウェアの開発に関してはウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング社が担当している。
ウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング社は、カーボン製フライホイール蓄電システム、フォーミュラEのシステム開発などを行なう先進技術開発会社で、ジャガーのハイブリッド・スポーツカー開発、ニスモとの業務提携などもを行なっている。
ブレイドグライダーはインテリジェント パワーを象徴するEVスポーツカーとして企画され、EVのドライビングプレジャーを実現したクルマという位置付けだ。
フロントのトレッドが狭く、リヤはワイドというユニークなデザインで、ドライバーはフォーミュラカーのようにフロント中央に位置し、乗員2名はドライバーの後方に乗るというレイアウトの3シーターだ。
そしてリヤの左右輪にはインホイール・モーターを採用。リヤ・アクスル直前に200kWのリチウムイオン電池を搭載している。モーターの合計最大出力は268ps、最大トルク707Nmと強力だ。
車両重量は1300kgで最高速190km/h、0-100km/h加速は5秒以下という、スポーツカーというにふさわしい動力性能を発揮する。一見するとトレッドはフロントが極端に狭く、リヤはワイドというアンバランスな形のため、707Nmという強大なトルクでコーナリングできるのかと思われるが、2個のインホイールモーターを使用することで、トルクベクタリングを行ない、アンダーステア、オーバーステアを抑えてニュートラルなコーナリングを実現している。
試乗は専属ドライバーが担当し、リヤ席に同乗する形で行なわれた。ボディはレーシングカーのような作りの軽量構造で、1300kgの車両重量に対して707Nmのトルクによる加速では強い加速Gが感じられ、それが長い時間続く。
さらにコーナリングではタイヤが軽いスキール音を出しながらもステアリングに忠実に反応する。体には強い横Gがかかるので4点式シートベルトは必須だ。縁石をカットするときはさすがにリヤタイヤはズシンという重いフィーリングでストロークした。インホイール・モーターはバネ下荷重が重いという特徴は体感できた。
強烈な加速でももちろんエンジン音がなく、風切音とタイヤが発生するロードノイズだけが耳に入ってくる。エンジンの爆音がない無音感覚と、モーターならではの強力なトルクベクタリングによる挙動の乱れがない車両安定化技術が、このブレイドグライダーならではのドライビングプレジャーだと感じられた。
■リーフ・ニスモRC
リーフ・ニスモRCには、試乗できハンドルを握ることができた。このニスモRCは、リーフのモーターやバッテリーをフロントではなくリヤに搭載した、ミッドシップの電気自動車だ。ボディの骨格、ボディパネルは純然たるレーシングカーの作りで、これも電気自動車の可能性を示すプロトタイプといえる。
EVのため、ドライバーはギヤチェンジの必要もなく、アクセルを踏んで加速、ブレーキを踏んで減速という2ペダル・ドライブとなる。ただしエンジン車のように吸気負圧を利用したブースターが使用できないため、ブレーキはノーアシストのダイレクト油圧ブレーキとなっている。そのためブレーキは一般的なクルマよりかなり強く踏み込む必要がある。
試乗した時にはスリックタイヤの温度が十分にアップできず、そのためステアリングの操舵感もグリップ感が薄い状態に終始したが、アクセルを踏み込んだ時のダイレクトで瞬時に最大トルクが発生する加速感はやはりエンジン車とは別物だ。市販のリーフと比べてもボディが圧倒的に軽い分だけ、加速感も強い。
ブレイドグライダーのような707Nmといった大トルクではないが、軽量なレーシングカー構造のボディと低重心のパッケージングを活かした無音の加速は、EVレーシングカーというにふさわしい。
■ニューモビリティコンセプト
日産と横浜市が連携したカーシェアリング「チョイモビ ヨコハマ」で使用されている電動・超小型モビリティ「ニューモビリティコンセプト」にも短時間ながら試乗できた。
ルノーが開発したリチウムイオン・バッテリーを搭載した都市型の超小型モビリティ「トゥイッジー」は、2012年にフランスで発売され、日本では日産が「ニューモビリティコンセプト」(NMC)として実証実験が開始されている。
現在では横浜市内でカーシェアリング・サービスを行なっているので、その外観はすでにおなじみだ。
ニューモビリティコンセプトは、あえて乗用車らしさを排除し、まるで四輪バイクのような雰囲気で、シートもドライバーの後方にリヤ席を配置したタンデム・シートになっている。
ドアも密閉型ではなく半分オープンなので、風を巻き込み、走り出すとオートバイかカートのような感覚だ。面白いのは、モーター駆動で加速時のトルクの滑らかさも演出しておらず、加速も減速もダイレクトそのもので。路面の凹凸がダイレクトに伝わるステアリングのフィーリングはレーシングカートのような感覚だ。
だから不用意にアクセルを強めに踏んで加速するとギクシャク感があり、カート的なステアリングと合わせて、乗用車的なイメージとは全く違う価値観を目指しているところが潔い。
排気ガスゼロで、路地のような狭い道も自在にすり抜ける小気味良い走りは、ヨーロッパの、パリやローマで重宝されていることが理解できた。
■ナバラ・エンガード・コンセプト
ピックアップ・トラックのナバラは、日本以外の180ヶ国で販売されているグローバル・モデルだ。今回披露されたのは2016年ハノーバー商用車ショー(ドイツ)に出展された緊急レスキュー用コンセプトカーだ。
レスキュー車のため緊急の災害復旧作業に合わせた特別な救助作業の装備を満載。さらにカメラ搭載のドローンも装備し、現場上空で飛行させ周囲の危険ヶ所予の発見など重要な情報を得ることができる。
大きな特徴は日産が設計・開発した大容量のポータブル・バッテリーパックの試作版をリヤに搭載していることだ。合計2個のカセット式のバッテリーパックにより多数の電動工具などを使用できるようにしている。
コンセプトカーのため、最低地上高も標準モデルより拡大され、左右のフェンダーも拡幅。また、川を渡るためにAピラーが吸気用シュノーケルになっている。バッテリーパックは2kW×2。2.3L・ツインターボ・ディーゼル・エンジン(190ps)による充電もできるシステムになっている。
■NV350キャラバン・キャンピング
NV350キャラバン・キャンピングは、2017年キャンピングカーショーに出展したモデルだで、停止中はエンジンを切って、大容量のリチウムイオンバッテリーから電力を得るのが特徴だ。
キャンピングカーは、キャンプ中には多数の電気製品を使用するが、従来は電気を供給するためにエンジンを掛け続けなければならなかった。このNV350キャラバン・キャンピングは電気自動車リーフで培ったEV技術を活用した大容量・高出力リチウムイオンバッテリーコンポーネントを電力供給装置として搭載しているので、エンジンオフのままで電力を使用できる。
リチウムイオンバッテリーは総電圧360V、定格出力2.0kw、総電力量12kwhと大容量で、単層交流100V(50-60Hz)で電力を供給する。このバッテリーの充電時間は8時間だが、2泊3日程度なら充電をせずにエアコンや電子レンジ、テレビなどの電化製品を自由に使用してキャンプを楽しめる。なおこのリチウムイオン・バッテリーの価格は約100万円と想定されている。
今回のインテリジェントパワー体験会では、改めて電気モーターの加速を活かした新次元のドライビング感覚と、電気自動車が搭載する大容量のバッテリーは様々な活用方法があることが実感できた。
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