より自由で無邪気だった時代のクルマ
秋は少しノスタルジック。不可逆的な時間の流れに対し、感傷的な気持ちを抱きやすくなる。最近は、そんな傾向が強いように思う。世界的に、ひと昔前へ回帰したようなファッションや音楽が流行している。日本でも、何かと「昭和」が話題に登る。
【画像】新旧の甘辛ミックス トールマン205 GTiとタルボ・サンビーム i20 Nと最新308/208も 全143枚
特にクルマ好きは、そんな感情が強いのではないだろうか。気候変動へ対応するべく、バッテリーEVへのシフトは急進的に進んでいる。多くのドライバーが、より自由で無邪気だった時代のクルマを懐かしんでいるようだ。
ガソリンを燃やすことが現代ほど問題視されなかった頃、道路はもっとおおらかで、未来は明るく感じられた。そんな1980年代や1990年代のモダンクラシックは、日に日に価値を高めている。
レストモッドで、現代的な性能を与えようと考える人も少なくない。美しくレストアしつつ、望ましい水準へチューニングし、レトロな魅力を残しながらモダンな走りへ浸るために。
実際のところ、今から30年も昔のクルマの走りが、期待を上回ることは少ない。ノスタルジックな気持ちが、イメージを大きく膨らませている。当時の技術で多くの顧客をターゲットに量産された、という事実からは逃れられない。
大金を投じ、相当に大胆なレストモッドを手掛けるガレージもあるが、古いものと新しいものをバランス良く調和させるのが得意なところもある。その1社が、グレートブリテン島の中部、ウォリックシャー州に拠点を置くトールマン・エンジニアリングだ。
手を加える必要性を感じない205のデザイン
彼らは、クラシック・ホットハッチの個性的な見た目や特徴、感覚を残しつつ、現代的な雰囲気や上質さを融合させることを、レストモッドのコンセプトに掲げている。日常的な利用にも対応する、特別なクルマを仕上げている。
今回ご紹介するトールマン・エディション205 GTiも、その1台。果たして、21世紀のホットハッチに並ぶ楽しさや親しみやすさは備わるのだろうか。それを確かめるべく、このクラスの精鋭、FFのヒョンデi20 Nをウォリックシャー州へ持ち込んでみた。
レストモッドの結果、プジョー205 GTiの最高出力は高められ、2台とも約200馬力で並ぶ。0-100km/h加速も7.0秒を切る。最高速度は220km/hを超える。動力性能は不思議なほど拮抗している。
いつもの比較テストと趣向は違う。それでも、成り立ちの異なる新旧のホットハッチを比べることは、間違いなく興味深い。トールマン社の実力も、掘り下げられるはず。
まずは見た目から。トールマン205 GTiは、当時のままの容姿を見事に保っている。野暮な追加パーツは一切ない。レストアとして、完璧な内容といえる。
誕生から40年を経ても、205のデザインは素晴らしい。ピニンファリーナが描き出したボディラインは、手を加える必要性を感じさせない。
実際、現役時代の10年間、殆ど姿は変わらなかった。途中のフェイスリフトで、テールライトへ少し手が加えられた程度だった。
1.9Lエンジンは202psへ増強 製作に700時間以上
最近のクルマはダウンサイジングの傾向にあるものの、コンパクトクラスではボディサイズの大型化が続いている。小さなi20 Nも、205の横ではだいぶ大きく見える。
あからさまにアグレッシブなラインと、随所に追加されたボディキットによって、i20 Nは高性能であることを自ら主張する。だが、ホットハッチにレッドの差し色が施されるのは、今も昔も変わらないようだ。
トールマン205 GTiの内側は、その見た目と裏腹に、オリジナルと大きく異なる。実は数年前にも同モデルのレストモッドを仕上げていたが、それは同社を創業したクリス・トールマン氏個人による、昔を懐かしんだ非公式のプロジェクトだった。
1.6Lエンジンへライトチューンを加え、ブレーキとサスペンションをアップグレード。甘い記憶のとおりに運転できる、ホットハッチが完成していた。
今回のクルマは、よりシリアス。販売を前提としたモデルで、先述の同社のコンセプトを体現した、究極の205 GTiといえる。
クリスの話では、トールマン205 GTiの製作には、1台当たり700時間以上を要するという。ボディは地金へ戻され、補修の後に再塗装される。インテリアも、完全にリフレッシュされる。
131psを発揮する1.9Lエンジンは、306 GTi-6用のツインカム16バルブヘッドが載せられ、モーテックECUで制御され、202psまで増強。伝説のグループBマシン、プジョー205 T16の1.8Lターボエンジンを模した、カムカバーも与えられる。
クラシックとモダンの甘辛ミックス
足まわりは、ビルシュタインのスプリングとダンパーが組まれ、リアは独自開発のアンチロールバーで強化。フロントのロワアームも、調整式の独自アイテムだ。
フロントアクスルには、クアイフ社製LSDを装備。タイヤは、パイロット・エグザルト2の復刻版、15インチのミシュラン・ヤングタイマーを履く。ホイールは、お決まりのスピードラインが組まれる。
APレーシング社のブレーキが、丸い穴からチラ見えする。エグゾーストも、オリジナルの見た目を保ちつつ、排気効率を高めたステンレス製。クラシックとモダンの、甘辛ミックスといったところ。
インテリアも、一見すると1990年のプジョー・ディーラーからタイムワープしてきたかのよう。しかし、ステアリングホイールは現代的なアルカンターラで巻かれ、ブラウプンクト社製のステレオユニットは、ブルートゥースとデジタルラジオに対応する。
シートやカーペットは真新しい。集中ドアロックと、盗難防止システムも実装される。サブウーファーも、隠されているという。
車内のハイライトが、メーターパネル。オリジナルのヴェリア社製アナログメーターの見た目を忠実にグラフィックで再現した、モーテック社製液晶モニターが、ドライバーの正面に据えられている。
トリコロールカラーのボタンを押すと、グループBマシン、プジョー205 T16のメーターを模したグラフィックへ切り替わる。i20 Nのメーターパネルもモニター式で高精細だが、ここまで気持ちを刺激することはないだろう。
この続きは、トールマン205 GTi ヒョンデi20 N 期待通りのホットハッチか?(2)にて。
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みんなのコメント
日本ではヒュンダイは在日自体がそっぽ向いてどうしょうもない。
おもうに白人にたちむかってる唯一の日本のように、
ヒュンダイのル・マン制覇、f1勝利くらまでしない限り日本では無理と正解なアドバイスをしておく。