現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ホンダ「ホークIII CB400N」 バイクブームと共にやって来た中型ヨーロピアンスポーツ

ここから本文です

ホンダ「ホークIII CB400N」 バイクブームと共にやって来た中型ヨーロピアンスポーツ

掲載 12
ホンダ「ホークIII CB400N」 バイクブームと共にやって来た中型ヨーロピアンスポーツ

名車「CB750F」と同じスタイルで走りに徹した中型バイク

 1975年にバイクの免許制度が変わり、排気量400ccまでが中型限定自動二輪(現在で言う普通自動二輪)、それ以上が自動二輪(当時で言う限定解除)という区分けとなりました。中型までは自動車教習所で取得できたので、巷では400ccや250ccクラスのバイクが市場の中心となり、ブームが盛り上がっていきます。

【画像】ホンダ「HAWK III CB400N」(1978年型)の詳細を画像でもっと見る(10枚)

 ホンダは1977年に、この中型モデル市場へ空冷並列2気筒OHC3バルブエンジン搭載の「HAWK(ホーク)」シリーズを発売します(ちなみに、当時はホンダ「GL400/500」以外はほぼ空冷エンジン)。DOHCを採用しなかった事でコスト優先なエンジンと思われがちですが、今ではそのコストの面で見送られることが多い二軸バランサーも装備し、振動やメカノイズの少ない、静かなエンジンとなっています。

 シリンダーはビッグボア(70.5mm)、ショートストローク(50.6mm)で、1気筒あたり吸気バルブが2本、大きな排気バルブが1本の3バルブ方式を採用し、リッター100馬力となる40PSを発揮しました。

 また、キャブレターはその後のバイクでは常識となるエア流量が自動調節される可変ベンチュリータイプを採用。同様にCDI点火システム採用も自慢のポイントでした。

 エンジン下部にエキゾーストパイプを連結したパワーチャンバーを装備し、中低速域のトルクアップに寄与しています。

 この並列2気筒OHC3バルブエンジンは、まず1977年に「ホークII CB400T」に採用されて初登場となります。旅をダイナミックに楽しめるバイクとして、広告ビジュアルではロードバイクなのに土埃を立ててラフロードを走っていました。

 翌年1978年に、今回紹介する「ホークIII CB400N」が発売されます。同じエンジンをもとに6速ミッションを装備し、また「ホンダマチック変速機」(オートマチックミッション)を装備した「ホーク CB400T(ホンダマチック付)」も追加します。

 さらに1979年には同じエンジンでアメリカンスタイルの兄弟車である「CM400T」がデビュー。1980年に入ると「CB400N」をベースに足まわりを充実させた「スーパーホークIII」が登場。それぞれのモデルに排気量250ccクラスの兄弟車がありました。

 振り返ってみると、ホンダはバイクブームの立ち上がりとも言える1980年前後は、この空冷並列2気筒OHC3バルブエンジンでバリエーションを増やし、「ホーク」シリーズで勝負をしていたとも言えます。

 他社の中型モデルがDOHCや4気筒エンジンを採用していく中で、ホンダも1981年からは順次「CBX400F」や「VT250F」を投入。「ホーク」シリーズはやがてその役目を終えて、次世代モデルに席を譲ります。

「ホークIII CB400N」の車体は、低いセミフラットハンドルバーにバックステップなど、前傾したライディングポジションを形成する「ヨーロピアン・スポーツ」として打ち出され、スポーツ走行を得意としています。

 タンクからシートカウルまで流れるインテグレート・ストリームラインは、上級車である「CB750F/900F」と同じデザインコンセプトを感じさせます。

 フロントのダブルディスクブレーキは、当時このクラスではまだ珍しい装備でした。ホンダ独自のアルミ合金を使ったコムスターホイールやFVQダンパーのリアサスペンションを装備し、高性能な走りを主張しています。

 ちなみに、250ccクラスの各モデルは、「CB250T」も「CB250N」も「スーパーホーク」も、そのサブネームは「ホーク」で後ろに「III(スリー)」などの数字は付きません。400ccモデルは、それぞれ「ホークII」、「ホークIII」、「スーパーホークIII」と呼ばれています。

 そしてそのネーミングは2022年、「CRF1100Lアフリカツイン」に搭載される排気量1082ccの水冷並列2気筒OHCエンジンを採用した「ホーク11(イレブン)」の発売によって復活しています。

 ホンダ「ホークIII CB400N」(1978年)の当時の販売価格は、34万9000円です。

■ホンダ「HAWK III CB400N」(1978年型)主要諸元エンジン種類:水冷4ストローク並列2気筒OHC3バルブ総排気量:395cc最高出力:40PS/9500rpm最大トルク:3.2kg-m/8000rpm全長×全幅×全高:2115×740×1105mm車両重量:184kg燃料タンク容量:14Lフレーム形式:ダイヤモンド式

【取材協力】ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)

こんな記事も読まれています

トヨタ新型「“タフ”ミニバン」発表! 斬新“大口顔”が超カッコイイ! MT&アンダー320万円設定ありの「プロエース“シティ”」墨に登場
トヨタ新型「“タフ”ミニバン」発表! 斬新“大口顔”が超カッコイイ! MT&アンダー320万円設定ありの「プロエース“シティ”」墨に登場
くるまのニュース
「南海フェリー」がトラック乗りの強い味方に! 始発便の「早乗り」がドライバーに優しいサービスだった
「南海フェリー」がトラック乗りの強い味方に! 始発便の「早乗り」がドライバーに優しいサービスだった
WEB CARTOP
愛車の履歴書──Vol41. 大黒摩季さん(後編)
愛車の履歴書──Vol41. 大黒摩季さん(後編)
GQ JAPAN
テインから『ギャランフォルテス』用車高調「ストリートアドバンスZ」が発売
テインから『ギャランフォルテス』用車高調「ストリートアドバンスZ」が発売
レスポンス
わがままを叶えてくれるプレミアムSUV──新型レクサスNX350“F SPORT”試乗記
わがままを叶えてくれるプレミアムSUV──新型レクサスNX350“F SPORT”試乗記
GQ JAPAN
なぜ「ペダル踏み間違え」起きる? 原因はどこにある? 相次ぐ「重大事故」は“高齢者”特有の問題ではない! 有効な「対策法」はあるのか
なぜ「ペダル踏み間違え」起きる? 原因はどこにある? 相次ぐ「重大事故」は“高齢者”特有の問題ではない! 有効な「対策法」はあるのか
くるまのニュース
カーメイト、新型ワイドリアビューミラー発売…ホンダ WR-V などに対応
カーメイト、新型ワイドリアビューミラー発売…ホンダ WR-V などに対応
レスポンス
ミック・シューマッハー、来季F1復帰の可能性はあるのか?「それが僕の目標だけど……僕がコントロールできることじゃない」
ミック・シューマッハー、来季F1復帰の可能性はあるのか?「それが僕の目標だけど……僕がコントロールできることじゃない」
motorsport.com 日本版
神奈中の赤い「連節バス」ついに横浜へ登場 箱根駅伝ルート経由で駅 団地結ぶ
神奈中の赤い「連節バス」ついに横浜へ登場 箱根駅伝ルート経由で駅 団地結ぶ
乗りものニュース
エンジン車が生き残れる夢の燃料【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】
エンジン車が生き残れる夢の燃料【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】
グーネット
便利な「ベンリイ号」に見るホンダのチャレンジ精神! 1955年にアールズフォーク採用!?
便利な「ベンリイ号」に見るホンダのチャレンジ精神! 1955年にアールズフォーク採用!?
バイクのニュース
雨のル・マンを制したポルシェのリエツ「前にも似たような状況を戦った」自身5度目のGTクラス勝利
雨のル・マンを制したポルシェのリエツ「前にも似たような状況を戦った」自身5度目のGTクラス勝利
AUTOSPORT web
【ホンダ CB650R/CBR650R E-Clutch 試乗】“小さなおじさん”が入ってる!? ガツンと来ない「電光石火の変速」に驚いた…西村直人
【ホンダ CB650R/CBR650R E-Clutch 試乗】“小さなおじさん”が入ってる!? ガツンと来ない「電光石火の変速」に驚いた…西村直人
レスポンス
ロレンソ VS ペドロサのボクシング対決、ガチで実施! 6月20日に激烈ライバル同士の”再戦”が実現
ロレンソ VS ペドロサのボクシング対決、ガチで実施! 6月20日に激烈ライバル同士の”再戦”が実現
motorsport.com 日本版
フィアット『パンダ』がファミリー拡大、『グランデパンダ』発表…新型コンパクトSUV
フィアット『パンダ』がファミリー拡大、『グランデパンダ』発表…新型コンパクトSUV
レスポンス
タフな仕立てのメルセデス・ベンツ「Eクラス」はマルチな才能が魅力的! 街乗りからアウトドアまで活躍!! 新型「オールテレイン」の真価とは
タフな仕立てのメルセデス・ベンツ「Eクラス」はマルチな才能が魅力的! 街乗りからアウトドアまで活躍!! 新型「オールテレイン」の真価とは
VAGUE
エンジンは「トヨタ」製!? マツダ新型「“斬新”SUV」発表へ! めちゃカッコイイ「CX-50 HV」米中登場に「日本でも欲しい」の声も
エンジンは「トヨタ」製!? マツダ新型「“斬新”SUV」発表へ! めちゃカッコイイ「CX-50 HV」米中登場に「日本でも欲しい」の声も
くるまのニュース
ロールス・ロイスのマスコットを最初に車両に掲げた「モンタグ」とはどんな人物?「スピリット・オブ・エクスタシー」のモデルとの公言できない関係とは
ロールス・ロイスのマスコットを最初に車両に掲げた「モンタグ」とはどんな人物?「スピリット・オブ・エクスタシー」のモデルとの公言できない関係とは
Auto Messe Web

みんなのコメント

12件
  • 81MASTER
    『フロントのダブルディスクブレーキは、当時このクラスではまだ珍しい装備でした…』は誤り…正しくは、国産中型『初』です。このホークⅢ以降(FXはシングルでしたが…)XJ・GSX等みんなフロント『ダブルディスク』になっていきました。
  • son********
    私の世代では「不人気車」「教習車」のイメージですね。
    ヨンフォアの後継でしたがFXほか他社が4気筒を投入し、デザインやカラーリングを変えても太刀打ち出来ずCBX発売に至る。
    「400は2気筒で充分」の宗一郎氏の理念を実現出来なかった車両と記憶してます。
    今見てもカッコ悪いなと思います。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村