2020年シーズンのF1には、オランダGPが35年ぶりに復活する。開催地であるザントフールトでは、オーバーテイクの機会を増やすために最終コーナーがバンクに改修された。バンク角は18度で、これはインディアナポリスの倍という急勾配だ。
ザントフールトにバンクを設けるというアイデアは、F1の車両パフォーマンス責任者であるクレイグ・ウイルソンが行なったコンピューターシミュレーションによって生まれたものだ。
■18度バンクを空から激写! ザントフールト、F1オランダGP開催に向け改修進む
「我々はシミュレーションを終えて『よし、それ(オーバーテイク)を可能にするには少なくともこのレベルのバンクが必要だな』と話した」とウイルソンは語った。
「マシンの安定性とエアロダイナミクスの損失というふたつの観点からそれらを評価したが、うまくいくという結論に至った」
「そして『それじゃあ、これ(バンク新設)は物理的にできるのか?』という話になった。我々はザントフールトの人たちが去ってから、数人でこう話したんだ。『うん、これはできそうだ。とても面白いことになりそうだ』」
F1のマネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、ザントフールトでオランダGPを開催するという案が最初に出た時、コースレイアウトがF1レースに適しているかどうか懐疑的だったという。
しかしながら、最終コーナーをバンク化する、つまり全開区間を伸ばすというユニークな解決策が、彼の懸念の度合いを小さくしたという。
「それまでは、どうすれば(オランダGPが)良いレースにできるだろうかと心配だった」とブラウンは語った。
「しかし今では十分な長さの“ストレート”があり、最終コーナーから1コーナーにかけてはかなりエキサイティングなものになるだろう」
バンクと言えば、2005年のアメリカGPが思い起こされる。インディアナポリスの最終コーナーのバンクにミシュランタイヤが耐えられないことが発覚し、ミシュランタイヤユーザーの全14台が全て決勝レースから撤退しなければならなかったという前代未聞のレースだ。
このような事態がオランダGPでも起きるのではないかと懸念する声もあるが、ブラウン曰く、F1とピレリが詳細なシミュレーションを行なったことで、全てがコントロールされているという。
「バンクはレースを非常にエキサイティングなものにするだろう」とブラウンは続けた。
「インディアナポリスで起きたことを引き合いに出す声をいくつか聞いた。確かにあの一件はバンクが関係しているが、問題はもっと根本的なところにあった。ザントフールトのバンクでは何の問題も起きないと予想している」
「ピレリはあらゆるシミュレーションを行なってきた。我々は現在ワンメイクタイヤを使用しており、必要に応じて異なるタイヤの空気圧にする余地がある」
「(シミュレーションでの)あらゆる数値が問題が起きないことを示しているし、とてもエキサイティングなトラックになるだろう」
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