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【尖っていくブランド】ダッジ電動化戦略発表会で「EV売らない」 マッスルカ―本家はどこ向かう?

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【尖っていくブランド】ダッジ電動化戦略発表会で「EV売らない」 マッスルカ―本家はどこ向かう?

電動化戦略発表会でまさかの「EV売らない」

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】ダッジのマッスルカーといえばあの名車【バイパーを振り返る】 全42枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

ダッジといえば、アメリカンマッスルカーのド真ん中。

そんなダッジが電動化戦略を発表するというのだから、世界のマッスルカーファンは戦々恐々だった……。

すると、話は思わぬ方向から始まった。

ダッジブランドCEO(最高経営責任者)のティム・クニスキーズ氏はこう言ったのだ。

「DODGE will not sell electric cars(ダッジは電気自動車は売らない)」

電動化のプレゼンで、いきなりこう出たのだ。電動化に関する将来ビジョンを示すといういふれこみだったのに、EVを売らないというのだから驚きだ。

ただし……、これに続けて、こうも言った。

「DODGE will sell American eMUSCLE(ダッジはアメリカンeマッスルを売っていく)」

eマッスルという言葉、ユーザーはもちろんこと、ダッジ以外の自動車メーカー関係者にとって初耳だったはずだ。

eマッスルを額面通り解釈すれば、マッスルカーの電動化であるが、仮にダッジの神髄であるエンジンファミリーのHEMIに電動モーターを追加してのマイルドハイブリッドといわれたら、「それはもうマッスルカーなんかじゃないない」と世界中のマッスルカーファンから総スカンを食らうことになりかねない。

そんなリスクを背負ってまで、なぜダッジはいま、「eマッスルを売っていく」という将来戦略の表現を使うのか?

クニスキーズCEOが次に話したのは……。

若い世代に向けた「eマッスル」

「ダッジの顧客は、テクノロジーではなく、エクスペリエンス(体験)を買っている」という言葉だ。

これを真正面から読むと、マッスルカーは電動化や自動運転など近年注目されている次世代技術とはあまり関係がなく、大排気量/高出力/大トルクをモットーとし、刺激的なエキゾーストノートを奏でる旧態依然とした逸品である、という「時代遅れ感」を強調しているように思える。

マッスルカーは、とにかくパワフルで、速くて、ドライバーの心にガンガンと打ち付けるようなパッションが最優先というイメージをあらためて持ってしまう。

そのうえで、クニスキーズCEOのコメントは意外な方向に触れた。

それは、ジェネレーション(世代)だ。

ダッジのターゲットユーザーを「ミレニアルズ」だとした。

ミレニアム(西暦2000年)前後に社会進出する世代を意味し、80年代前半から90年代にかけて生まれた世代で、現在(2021年)は20代後半から30代後半。アメリカの全人口の約4億人のうち約4分の1を占める約1億人を指す。

現在のダッジの顧客でもミレニアルズが多く、彼らはクルマだけではなく購買力が高く、また新しい時代に向けた関心が高いと、ダッジは分析している。

こうした世代を中心に「eマッスルを売っていこう」というのだ。

「尖ったブランド」の強調ねらい?

今回のダッジ電動化の発表は、ステランティスが日本時間2021年7月8日21時からオンラインで開催した「ステランティス EV DAY 2021」の中で、1つのセクションとしておこなわれたものだ。

日本のユーザーにはまだ馴染みが薄いステランティスとは、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)がプジョーやシトロエンのグループPSAを買収するかたちで2021年1月に誕生した、販売台数で世界第4位の自動車連合である。

ステランティスには、フィアット、プジョー、シトロエンのほか、ダッジを含む合計14ものブランドが含まれる。

これまでも、FCAの枠組みの中で、ダッジはラムと同じくクライスラーから分離したブランドという位置付けだったが、今回ステランティスの一員となったことで、FCA時代にも増して「尖ったブランド」であることが重要視されることになったといえるだろう。

だからこそ、冒頭に紹介したように「電気自動車を売らない」とまずは言い切ってしまうような大胆なメッセージを出し方になったのだと思う。

では、eマッスルは今後、どのようなステップを踏んで実現されるだろうか?

まさか、ダッジの真骨頂であるチャレンジャーやチャージャーがいきなりEV化してしまうのだろうか?

マッスルカーの本家 電動化でどこへ向かう?

今回ステランティスの会見で明らかになった、ダッジ関連の将来構想は大きく2つある。

1つは、2024年にピュアEV(完全なEV)のeマッスル量産車が登場することだ。

その母体となるのは、4種類あるEVプラットフォームのうちの1つとなる。

ステランティスのEVプラットフォームは、STLAスモール(満充電の航続距離500km)、STLAミディアム(700km)、STLAラージ(800km)、そしてピックアップトラックなどラダーフレームに対応するSTLAフレーム(800km)に分類されている。

ダッジのeマッスルは、このうちSTLAラージを採用する可能性が高いと考えられる。

もう1つは、「HEMIを拡張をさらに進める」という点だ。内燃機関によるハイパフォーマンス性をさらに追求する姿勢を示した。

そのうえで、2030年時点でアメリカ向け新車販売の40%を電動化するとしており、残りの60%にHEMIを継承するマッスルカーが含まれることになる。

いずれにしても、HEMI系マッスルカーもある時点でeマッスル化することになる。

それは2035年なのか、2040年なのか、それともそれよりまだ先なのか?

グローバルで加速する、実質的なCO2排出量をゼロとするカーボンニュートラル実現にむけて、マッスルカーの本家、ダッジはいま変革に向けた第1歩を歩み出したといえる。

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みんなのコメント

2件
  • EVになってもアメ車のカッコよさは有るのだろうから、欲しいと思えるのかな・・・。
    日本車、トヨタとか特に相変わらず妙な個性的さだからあり得るかなw
  • 結局、電気?
    自分は古でもアメリカンV8が一番なので関係ないですけど。
    ハイブリ、ましてや電気のみ等は論外なのでそうなってしまってら・レンタでいいかな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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