環境対応によるEV化が急速に進んでいることもあり、海外メーカーでは「ブランド戦略の再構築」、「EVにすれば燃費規制を気にしなくいい」、「EV化がそのクルマの性格に有利」といった理由で、EVとすることで過去の名車を復活させる例が出てきている。
当記事ではそんなクルマたちをピックアップしてみた。
実は空前の大豊作年 2020年の新型車9台「魅力」と「気になるトコロ」全調査
文/永田恵一
写真/RENAULT、GMC、VW
【画像ギャラリー】EV化でもっと自由に!? 復活した名車たちを見る!
■ルノー『5(サンク)』→ ルノー『5 プロトタイプ』
●往年のルノー 5はどんなクルマだった?
フランス本国では1970年代から1980年代にかけて二世代に渡って生産された『5』は、ヨーロッパでいうBセグメント、現在の日本車でいえばトヨタヤリスに相当するド真ん中のコンパクトカーだった。
1972年に登場した初代モデルは1990年代後半に日本で放送されたドラマ「ビーチボーイズ」に使われた『4(キャトル)』をベースにしたコンパクトカーで、駆動方式はFFながら前からトランスミッション&デファレンシャル、エンジンの順に配置されるというRRの構造をそのままフロントに移動したような珍しいレイアウトだった。
『ルノー・5(サンク)』。RRだった『4CV』の駆動系が源流にあるため、現在では見ない特殊な駆動系レイアウトになった
標準モデルに関してはレイアウト以外ボクシーなスタイルなど、オーソドックスなコンパクトカーだったが、ヨーロッパでは長らくベストセラーカーの座に君臨。また初代5はスポーツモデルの『アルピーヌ』や『アルピーヌターボ』、当時のWRCのトップカテゴリーだったグループ4参戦のためのホモロゲーションモデルとなる、エンジンをミッドに搭載した5ターボといったバリエーションも豊富だった。
『5』は、1984年にエンジン横置きのFFレイアウトとなった以外はキープコンセプトで2代目モデルに移行。ロールは大きいものの、決してタイヤが路面から離れることなく安心して運転できる点やしなやかな乗り心地など、いかにもフランス車らしいクルマだった。
また2代目『5』も1.7Lエンジンの搭載による余裕ある動力性能に加え、レザーシートなどを持つラグジュアリーな「バカラ」やスポーツモデルの「GTターボ」、ボディ後半を全高の高いボックス型とし積載性を高めた「エクスプレス」など、豊富なバリエーションを設定していた。
5は1990年に、ルノーが車名を数字から単語に変更し始めたためクリオ(日本名ルーテシア)に車名を変え、フランス本国での生産を終了した。
●復活する5はどんなクルマになる?
ルノーは2021年1月14日に「RENAULUTION(ルノリューション)」と呼ぶ、2025年までに7台のEVと7台のハイブリッドカーの投入を中心とした中期経営計画を発表し、その中でEVという形での5の復活が明言された。
ヘッドライト周辺のセクションとCピラー近辺のラインが『5』との繋がりを感じさせるコンセプトカー
この発表では復活する『5』のコンセプトカーも披露され、そのデザインはリアのドアハンドルを隠した5ドアハッチバックと思われる点など「新しいけどかつての『5』を思い出させる」という絶妙なものである。
クルマ自体の詳細はEVということしか明らかにされておらず、FFレイアウトと思われるものの、プラットホームやモーター&バッテリーのサイズなどは不明だ。それだけに想像も膨らませながら、市販車の登場を楽しみに待ちたいところだ。
■GM『ハマー』→ GMC『ハマーEV』
●往年のハマーはどんなクルマだった?
『ハマー』はもともとアメリカのAMゼネラル社が生産していた、かつてのトヨタ『メガクルーザー』が影響を受けたと思われる軍用車である『ハンヴィー』の民生用だった。
写真は『H2』。全高、全幅ともに2mを超え、車両重量2903kgの超大型のクロスカントリー車だ
ハマーのブランドは1999年にGMに譲渡され、ハンヴィーは『H1』に車名を変えた。さらにハマーブランドにはGMのフルサイズピックアップトラックの『タホ』をベースにした『H2』、ミドルピックアップのコロラドベースの『H3』も加わり、H2とH3はH1を小さくしたような軍用車の雰囲気を持つ内外装を大きな理由に、日本を含めまずまずの人気を集めた。
しかし、リーマンショックの影響もあり、ハマーブランドは2009年にGMが経営破綻した際に中国の四川騰中重工機械に譲渡される方向だったのだが、破談となり、ハマーブランドは2010年に消滅した。
●復活するハマーってどんなクルマ?
『ハマーEV』という車名で2021年秋に復活するハマーは、EVのフルサイズピックアップトラックである。ハマーEVはGMが近いうちに市販車を発表する『キャデラック リリック』から採用する新しいEVプラットホームとGMが開発したアルティウムバッテリー(容量は50から200kWh)を使ったモデルで、ポジションとしては登場時期も含めテスラ『サイバートラック』に近い。
計画では1000馬力級という『ハマーEV』。既存機種では最大でも『H1 ALPHA』の300馬力
最初に登場するハマーEVはトップモデルの「エディション1」で、エディション1は3つのモーターを搭載し合計した最高出力は1000馬力! 0-100km/h加速は約3秒とピックアップトラックながらスーパーカー級の加速力を持つという恐ろしい速さを持つモデルだ。なお航続距離は563kmと発表されており、バッテリー容量は200kWhと思われる。
悪路走破性に関しても4WSや車高調整可能なエアサス、オフロードタイヤを履くなど、ハマーの名に相応しい性能を備え、かつてのハマーよりは洗練されながらもハマーらしいワイルドな雰囲気を持つ内外装も魅力だ。
ハマーEVのエディション1はすでに予約段階で完売となっているのだが、今後ハマーEVには「3X」(3モーターで800馬力、航続距離483km)、「2X」(2モーターで625馬力、航続距離483km)、「2」(2モーターで625馬力、航続距離402km)というバリエーションが順次追加される予定だ。
ハマーが復活すること自体はめでたいが、よくて3km台と思われる電費の悪さを考えると、クルマから出る二酸化炭素はゼロにせよ、総合的に見た環境性能には疑問があるのも事実だ。
■VWバス→ VW『I.D.BUZZ』
●往年のVWバスはどんなクルマだった?
ドイツ本国での絶版後のメキシコも含めると、1938年から2003年まで65年間生産されたVWの『空冷ビートル(正式にはタイプI)』は、シャーシにアッパーボディ(家でいう上物)を被せるという構造だったため、空冷ビートルから派生した軍用車の『キューベルワーゲン』、2ドアセダンや2ドアステーションワゴンの『タイプIII』、スペシャリティな『カルマンギア』といったモデルが多数あった。
世界中で愛される『VW・トランスポーター』(写真右)を、未来的雰囲気のEVとして蘇らせた『I.D.BUZZ』。レベル3以上の自動運転機能を搭載するか?
1950年に初代モデルが登場した『VWバス』(正式な車名はトランスポーター、VW社内ではタイプII)も空冷ビートル派生のRRの空冷フラット4エンジンを搭載する1BOXカーで、広さをはじめとした実用性の高さやユーモラスなデザインを大きな理由に世界中で愛された。また、日本ではトランスポーターをモチーフとしたエクステリアを持つ軽1BOXカーのカスタムカーを目にすることもある。
空冷ビートル派生のトランスポーターと言えるのは1967年登場の2代目モデルまでで、トランスポーターの2代目モデルは1979年にドイツ本国での生産を終了した後も空冷ビートルがメキシコで継続生産されたように、ブラジルにて最後はエンジンを水冷の直4に変更しながら2013年まで生産された。
●復活するVWバスってどんなクルマ?
現代版となるトランスポーターは、コンセプトカーが何度かモーターショーに出展されてきたが、2017年に発表された『I.D.BUZZ』(コンセプトカーの車名)の市販車が2022年に登場する予定だ。
I.D.BUZZの市販車は、VWのEV専用車である『I.D.3』などと共通のリアにモーターを積む「MEB」を使ったミニバンとなる見込みで、コンセプトカーのボディサイズは全長4942×全幅1976×全高1963mmと、現在のVWのラインナップでは『シャラン』に近いラージライズだ。
I.D.BUZZのコンセプトカーは、リアモーターということやスタイルこそトランスポーターを思い出させるが、自動運転も想定しているようでハンドルが飛行機の操縦桿に近い形状をしている点、1列目シートの回転対座機能や通常の3列シートミニバンで2列目シートが付くあたりにテーブルを配置できることなど、未来感に溢れている。
ただ、I.D.BUZZの市販車が日本に導入される可能性が低いのは非常に残念だ。
写真より、旅客機の操縦桿めいたハンドルを採用するらしいことが見て取れる。日本で実車を見られる日は来るのだろうか
■まとめ
EV化はクルマが大きく変わるターニングポイントなだけに、日本メーカーに「EVだからできる過去の名車の復活」に加え「EV化による現行車の存続」も構想してもらい、日本で買えるクルマの選択肢がバラエティ豊かになることを望みたい。
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