大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、メルセデスからウイリアムズに移籍、今年初めてF1チーム代表の座に就いたジェームズ・ボウルズに焦点を当てた。
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【F1チーム代表の現場事情:アルピーヌ】激動の3週間を経て離脱が決まったサフナウアーの最後の仕事
過去12カ月に多くのF1チーム代表が交代したが、彼らのなかで、際立って印象的な仕事をしているのが、ウイリアムズのトップの座についたジェームズ・ボウルズだ。
ウイリアムズがボウルズをチーム代表に起用すると発表した時、その決断を意外なものとして受け止めた人が多かったかもしれない。ボウルズはこれまでメルセデスF1チームで戦略分野のトップのポジションにいた人物だからだ。しかし近年の彼の仕事は、ピットストップのタイミングなど、戦略上の決断をすることだけでなく、さまざまな分野に拡大していた。
ボウルズは若手ドライバーの育成プログラム、リソースや開発に関する投資の方針についての戦略的な決断など、チーム内のさまざまなことに深くかかわっていた。チーム代表トト・ウォルフの指導を受け、将来のチームリーダーに成長するために必要なことを着実に学んできたのだ。
ボウルスはウイリアムズで早速リーダーシップを発揮している。それが顕著に見られたのは、オランダGPでのローガン・サージェントの扱い方だった。
ウイリアムズは、ザントフォールトで強さを発揮できるとは予想しておらず、アレクサンダー・アルボンは、自分たちにとってシーズン全体のワースト5に入るサーキットだろうと事前に述べていた。ウイリアムズのマシンは、低ダウンフォースのサーキットでは非常に効率的で、高ダウンフォースのトラックと相性が良くない傾向がある。
そのため、ふたりとも予選でQ3に進出した時には、チーム全員が驚いていた。金曜日からペースを発揮していたものの、予選までそのポジションを維持することはないと、彼らは予想していたのだ。しかしアルボンは恐ろしいほどの速さを発揮して4番手、新人サージェントは初めて予選トップ10に入った。
ところが残念なことに、サージェントはQ3序盤に大クラッシュを喫して10番手にとどまった。しかしボウルズは、それまでの良い仕事を台無しにしてしまったサージェントに対し、過度に厳しい態度をとることなく、ポジティブな側面に焦点を当てた。サージェントはQ1とQ2の終盤、大きなプレッシャーがかかるなかで、次のセッションに進めるだけの速いラップを刻み、Q3まで進んだ。彼は十分に素晴らしいパフォーマンスを発揮したと、ボウルズは主張したのだ。
だが問題は、その時のクラッシュでサージェントの自信が打ち砕かれてしまったことだった。レース序盤に雨が降った時、彼は慎重になりすぎて後方までポジションを落とし、その後、油圧系のトラブルが発生したことで再びクラッシュ、期待に満ちた週末を失望のうちに終えた。
その時もボウルズは、サージェントを懸命に弁護した。彼がミスをしたことで事故が起きたと人々が考えることがないように、トラブルの兆候が見えたと明言。さらにボウルズは、チームはサージェントを全面的に支援していると強調し、彼にそれを知っていてほしいと述べた。
「私は今も、ポジティブな面に目を向けている。それが我々の仕事なのだ。私は一日に何度もミスをする。それをうまく隠しているだけの話で、誰もがそうだろう」とボウルズは語った。
「我々は彼をサポートしている。彼が受けているサポートは本物だ。私は、彼がパフォーマンスの面でいくつかステップアップしたという事実に注目している。我々が求めていた向上であり、これからはそれをうまくまとめていけばいい」
「我々は、勝つときも一緒、負けるときも一緒だ。彼はつかむべきポイントにまだ届いていない。だがつかみに行く時が近づいている」
モンツァでは、アルボンは予選6番手だったが、サージェントはQ2で敗退した。その時にはボウルズは、マシンの仕様に違いがあり、サージェントは不利だったと指摘した。決勝後半、サージェントは入賞まであと一歩の位置を走っていたが、残り数周でポジションを落とした。
ボウルズの人材管理の仕方は、非常に素晴らしい。彼はサージェントがルーキーとしてうまくやっていくためのすべてのチャンスを与えようとしている。サージェントがチームとの契約延長を勝ち取ることができるかどうかは分からない。だが、もしチームが契約を延長しなかったとしても、それが忍耐力が欠如していたせいにすることはできないだろう。ボウルズは、メルセデス時代に若手ドライバーとの仕事で得た経験を活用し、サージェントがポテンシャルを最大限に発揮するための最良の方法を見つけられるよう、全力でサポートしているのだから。
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