ヒョンデIONIQ5 抜群のコストパフォーマンス 日産アリアやトヨタbZ4Xのライバルになれるか
2022年春に、日本再上陸を果たしたヒョンデ(ヒュンダイ=Hyundai)。今度はゼロエミッ…
今度の黒船は中国・韓国か? BEVで日本上陸の意図を探る・前編
初見はすこぶる好感触
SF映画に出てくる空飛ぶクルマのようなフォルムを持つヒョンデIONIQ5に乗った。まずは初見からその大胆なフォルムには大いに期待が持てた。次の100年に向けて大変革が始まっている自動車業界だけに、見た目からして大胆に変わることも重要だ。クルマのあらゆる可能性の出発点として、既成概念をぶっ飛ばし、何でも受け入れる柔軟さを感じさせてくれている。
充電口は右リヤにある。写真右が充電口の拡大。急速充電用が後ろ、普通充電用が前側となる。ちなみにリッドは電動で開閉し、充電が完了するとリッドがパタパタと揺れてお知らせしてくれる。室内に目を向けてみてもイマ風の横長の大型ディスプレイと、そこに映し出される映像グラフィックに目が釘づけになる。大型の全面ガラスルーフの採用とホワイト基調のインテリアによって生まれた明るく先進的なムードは、最近の流行でもあるが新鮮さがピカイチだ。
車室内はホワイト基調のインテリアのおかげで明るい。3mのロングホイールベースとフラットフロアを活かした広いスペースには大ぶりなシートを採用し、前後左右の足元スペースもゆとり充分。採光豊かで先進的機能が与えられた室内空間は快適性を極め、クルマというより空港ラウンジでパソコンを開いているかのような感覚すら覚える。オットマンが備わる助手席は、上質なリラックス空間だ(室内長×幅×高:2013mm×1631mm×1209mm)。走るラウンジを演出してくれたのは、もちろんいまが旬のモーター駆動があってこそ、である。フロア下に敷き詰められた電力源はリヤアクスル上に設けられたモーターを駆動させ、ほぼ無音状態でドライブが楽しめる。ドライバーから遠いリヤとはいえ、フロアに近いところに駆動源があることで振動や音の侵入が気がかりだったが、市街地からワインディング、高速に至るまで試乗をしたが、気になることはなかった。
日本の各EVモデルはフロントボンネット内に動力源を持ち、少なからずモーター作動音が耳に届くが、ここは遠くにレイアウトしたリヤ駆動のIONIQ5に分があった。もっともリヤからのノイズの侵入は、モーター音よりもロードノイズのほうが大きいことは日本のEVヨンクモデルで確認済みだから、IONIQ5に関してはボディ剛性感の高さや徹底した遮音性対策が実を結んだとも言える。
そんな快適空間を生み出すリヤ駆動のEVパッケージングもやはり走ってナンボである。
街中ではトヨタのEVでロングホイールベースのbZ4Xよりもさらに150mmも長い3000mmによって最小半径は6.0mに限りなく近い5.99m(これはもはや6.0mと言っていいであろう)、1890mmのワイドボディとあいまって狭い道などではやはり慣れが必要だが、モーター駆動のいいところは、そんなときにもゆっくりと滑らかに動かせることができる。
繊細な操作が得意なところは、さすがモーター駆動、である。しかし、Honda eのようにもっとフロントの切れ角を増やせなかったものだろうか。ここは残念なポイントであった。
スタート時のスムーズさを体感するや「これはいい!」と、瀨在氏。クルマの新たな価値観
高速ドライブではロングホイールベースが効果を発揮して直進安定性は高い。ステアリングはちょっとルーズさを持たせていることで、リヤから押し出してくる加速力の影響を受けづらく、一昔前のアメ車のような大らかな安定感をも生み出してくれている。
乗り心地もカドがなく、リヤに荷重が多く載っているにも関わらず、硬さが伝わってくることはなく、全体にマイルド。ひと言で言えばソフトタッチでロードノイズも抑えられていることで、ラウンジ感覚はしっかりと保たれている。
全長×全幅×全高:4635mm×1890mm×1645mm/ホイールベース:3000mm/最小回転半径:5.99m/トレッド:F|1638mm R|1647mm/最低地上高:160mm/車両重量:1990kg/前軸軸重950kg/後軸軸重1040kg半面、ハンドリングなど運動性能的に見ると、リヤを基点にしてフロントの上下動が大きいことや、高速の突起通過時などの前後のピッチングがなかなか収まらない。突き上げは解消されても揺れ自体が多いのが気になった。
ワインディングではリヤの安定感がしっかりしていることで、EVパワーを活かして滑らかなコーナリングを楽しめる。ステアリングの操作量に対して動きがやや掴みづらいのはリヤに荷重が乗っていることや、旋回中にレーンキープアシストが強めに介入してくることが大きい。もう少しゆったりとした操舵フィールに合せた味つけが必要だろう。
それでも遠慮なく積極的なドライブを楽しめたのは、とにかくモーター駆動のダイレクトな蹴り出し感と、ロングホイールベースによる安定感の高さが大きい。ステアリングの動きに過敏になりすぎず、リヤ駆動によるステア特性への影響も少なく、滑らかなパワーを最大限引き出せるのがいい。
IONIQ5はSF映画に出てくるような外観同様に、乗り味もまた音もなくリヤを沈ませて水面を滑るように移動するヨットのようでじつに新鮮。リヤ駆動EVパッケージングと快適空間の作り込みによって、新たなクルマの価値観を提供してくれた。
次世代モデルを代表する意欲作として妥協のいクルマ作りはライバルメーカーを大いに刺激したに違いない。これからさらに熾烈さを増すEVモデル開発競争に注目すると共に、その走りの性能をしっかりと見極めていきたい。
ヒョンデIONIQ5 Lounge全長×全幅×全高:4635mm×1890mm×1645mm ホイールベース:3000mm 車両重量:1990kg サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rマルチリンク式 タイヤ:235/55R19 リヤモーター EM17型交流同期モーター 最高出力:160kW(217ps)/4400-9000rpm 最大トルク:350Nm/0-4200rpm リチウムイオン電池 総電圧:653V 総電力量:72.6kWh WLTC交流電力量消費率:132Wh/km 一充電走行距離618km
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みんなのコメント
そんな車をヨイショですか
この車はまず世界中で燃えている事実を伝える事がジャーナリストとしての使命ではないのでしょうか?
日本では幸いな事に全く売れてないそうなのでこれ以上関わると日本が不幸になります。
ただの提灯記事ならご自身で慎んで頂きたいものですな