新たな特別仕様車 12月3日発売
text:Yasuhiro Ohto(大音安弘)
【画像】マツダ ブラックエディション・シリーズ【4モデルを撮影】 全109枚
photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)
マツダは、2020年12月3日、新たな特別仕様車「ブラックトーン・エディション」を4車種に展開し、投入することを発表した。
これまでも新世代モデルを象徴するデザインテーマ「魂動」を通じ、独自のクルマの美を追求。さらに様々な特別仕様車を展開することで、その世界観を広げてきた。
最近では、マツダ初の乗用車「R360」のカラーリングをモチーフとしたマツダ創業100周年を記念した「100周年特別記念車」が好評だ。
これまでの特別仕様車は、カラーコーデや内装の質感の違いなど、ファッション性を意識したものが多かった。しかし、最新作となる「ブラックトーン・エディション」は、カラーコーデではあるものの、マツダの持つ伝統的価値の1つにスポットを当てているのが大きな特徴だ。
そのテーマは「スポーツ」だ。
マツダは、ロータリーエンジンの量産化を実現し、その小型かつ高性能という特徴を活かし、モータースポーツで活躍。多くのクルマ好きを虜にしてきた。
そのエッセンスを最新モデルに注入することを試みた。そのため、ターゲットは30~40代の既婚男性を中心とした運転好きの人々だ。
今回は、コンパクトの「マツダ2」、上級セダン&ステーションワゴンの「マツダ6」、ミドサイズSUV「CX-5」、3列シートSUV「CX-8」の4車種で展開される。
ブラック内装に、スポーティな赤を
そんなブラックトーン・エディションの特徴は、スポーティさを際立たせる内外装だ。
共通する仕様を挙げると、エクステリアパーツの一部をブラック化。インテリアもブラックを基調としながらも、スポーティな赤をアクセントとして取り入れている。
またベースグレードを、価格と装備のバランスの良さが好評である量販グレード「プロアクティブ」とし、上級グレード向けのアイテムを追加しながらも、価格を抑えることで、買いやすさも意識した。
撮影車両のボディカラーは「ポリメタルグレーメタリック」だが、ボディカラーは車種に設定されるラインナップから自由に選択できる。
またパワートレインについては、各車の設定によりラインナップが決まるが、全車にガソリン仕様かクリーン・ディーゼル仕様が用意されている。
マツダ2ブラックトーン・エディション
最も手頃スポーティさが際立つのがマツダ2だ。
外観上の特徴は、ブラック塗装のドアミラーとグロスブラック仕上げのフロントグリルを装着。またロアバンパーの加飾が、ブラックからメッキへと変更される。
足元は、1インチアップの16インチ仕様となり、アルミホイールがブラックメタリック塗装となる。ディーラーOPのMAZDA SPEEDスタイリングパッケージを加えると、ボーイズレーサー感が高まる。
インテリアでは、グレーとブラックの2色を組み合わせたクロスシートに、アクセントとしてレッドのパイピングとステッチを追加。さらにエアコンルーバーをダークレッド加飾とし、スポーティさを高めている。
ドライバーズエリアでは、ステアリング、シフトノブ、ハンドブレーキの3点が本革巻きとなるほか、AT車ではパドルシフトを特別装備。
先進安全運転支援機能であるACCの「マツダレーザークルーズコントロール」、前走車との車間距離警報およびブレーキ支援を行う「スマートブレーキサポート」、車線逸脱回避を図る「レーンキープアシストシステム」が追加されている。
パワートレインは、1.5Lのガソリン仕様と1.5Lのクリーンディーゼルターボ仕様の選択が可能。トランスミッションは、FF車なら6速MTか6速ATの選択が可能。4WDは6速ATとなる。
CX-5ブラックトーン・エディション
SUVながら、走りの良さに定評のあるCX-5のエクステリアは、足元の2インチアップされた19インチ仕様ブラックメタリック仕上げのアルミホイールが大きなポイント。
もちろん、ドアミラーもブラック化される。
インテリアでは、シート生地を触感の良いグランリュクス+合成皮革に変更。シートだけでなく、ステアリングなど車内のアイテムにアクセントのレッドステッチを加えた。
また、インパネやドアトリムなどもベース車のガンメタリックからハニカムブラックに変更することで、シャープさを演出。
機能・質感の向上として、パワーウインドウ・スイッチなどをサテンクロームメッキ加飾に。7インチのインフォメーションディスプレイの標準化、室内照明のLED化などが行われている。
パワートレインは、ガソリン仕様の組み合わせは、2.0LエンジンがFF車、2.5Lエンジンが4WD車に。クリーンディーゼル仕様は、2.2Lターボエンジン搭載のFF車か4WD車の選択が可能。なおトランスミッションは、全車6速ATだ。
CX-8ブラックトーン・エディション
ゆとりの空間が魅力のCX-8は、フロントグリルをブラックメタリック仕様とすることで精悍さを強調。
アクセントにブラック・ドアミラーとブラックメタリック仕上げのアルミホイールが映える。
シート素材は、CX-5同様にグランリュクス+合成皮革となり、レッドステッチのアクセントが加わる。シートデザインが異なるので、より質感が高まった印象を受ける。
シートをはじめ、ステアリングやアームレストなどのステッチをレッドとし、インパネをハニカムブラック/サテンクロームメッキ仕上げとすることで、スポーティさを強調している。
快適装備としては、自動防眩ミラーがフレームレス仕様に変更。10.25インチ・センターディスプレイ、地上波デジタルTVチューナー、ワイヤレス充電(Qi)、3列目のUSB充端子を追加。
また7人乗り仕様では、セカンドシート・ワンタッチウォークイン機構が装備される。スポーティさだけでなく、快適面でも“あったら嬉しい”が磨かれているのも見過ごせない。
パワートレインは、ガソリン仕様が自然吸気仕様の2.5Lエンジンを。クリーンディーゼル仕様が2.2Lターボエンジンを搭載する。
いずれも駆動方式は、FFと4WDが選択可能で、シートレイアウトも6人乗りと7人乗りの両方が用意されている。トランスミッションは、ベース車同様に、全車6速ATのみとなる。
マツダ6ブラックトーン・エディション
低く流麗なシルエットを持つセダン/ワゴンのマツダ6は、元々のシャープなスタイリングを活かし、エクステリアのアップデートは、ブラックドアミラーとブラックメタリック塗装の19インチ・アルミホイールのみ。
インテリアは、シート表皮をスムースレザーへと変更するが、最大の特徴は、シートカラー自体がレッドとなること。ステッチはグレークロスとし、上品な仕上げとなっている。
インパネやグローブボックスなどの仕様は、最上級グレード25T Sパッケージのものを取り入れている。
快適装備としては、CD/DVDプレーヤーと地上デジタルチューナーを標準化。さらに25T Sパッケージ・ベース車に標準となる360°ビューモニター+フロントパーキングセンサーが追加されている。
パワートレインは、ブラックトーン・エディションの中で唯一の2.5Lガソリンターボ車が設定されるのが大きなトピック。
この他には、自然吸気仕様の2.0Lガソリンと2.2Lクリーンディーゼルターボを設定。駆動方式は、ガソリン仕様はFFのみ。クリーンディーゼル仕様では、4WDの選択も可能。
トランスミッションについては、基本は6速ATだが、クリーンディーゼルのみ6速MTが選択できる。
マツダファンの声で……
スポーティさを前面に打ち出したコーディネートに挑戦した「ブラックトーン・エディション」は、マツダファンやクルマ好きの心を捉えそうだが、スポーツを題材とするなら、もう少し走りに振った仕様を望む声もあるだろう。
マツダも、ブランドにとってスポーツ路線が大切な財産であることは十分と認識している。
それだけに第1弾はスタイルの演出に留まったものの、ここをスタートとして、将来的には、メカニズム/エアロダイナミクスなど、明確な“走りの味の違い”を提案してくれることを期待したい。
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