現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > お調子者営業マンだった私が、Z32専門店を立ち上げるまで

ここから本文です

お調子者営業マンだった私が、Z32専門店を立ち上げるまで

掲載 更新 24
お調子者営業マンだった私が、Z32専門店を立ち上げるまで

運営元:旧車王
著者 :小村英樹

知って乗って感じて歴史を繋ぐ旧車の世界:齊藤優太

■活況だった1990年代後半の中古車業界私が中古車販売店の営業になったのは25年前の1997年、平成9年のことでした。

当時はまだ「旧車、旧車」と騒がれていない時代でした。

新車販売が低迷するなか、中古車業界は活況。

軽自動車、ミニバン、ステーションワゴン、セダン、スポーツカーなど、どのジャンルも飛ぶように売れる時代でした。

1997年といえば、中古車販売もインターネットより雑誌媒体が主流。

関東版カーセンサーやGoo(現グー)は約3cmもの分厚さだったんです。

それだけ、中古車販売店や掲載する台数が多かったということですね。

当時はとにかく若いお客様の勢いがすごかったことを覚えています。

免許取り立ての方も頭金なしで、すぐにローンを組んでクルマに乗っていたような時代です。

100~150万円くらいの価格帯の中古車が売れ筋でした。

新人の私でも月に10台は売れた結果、すぐに天狗になってしまう業種だったのです。

独立も夢ではない、古物商と土地と資金があれば開業できました。

販売車の仕入れのほとんどが業者オークションで、売れ筋を買い集めたもの勝ち!という世界。

今振り返ると、程度を見極めて仕入れしていた販売店があっただろうか・・・。

メーター改ざん車や、修復歴有無の確認が曖昧のままユーザーに流れているケースも多かったように思います。

■勢いのある中古車業界に飛び込んだ結果・・・私が最初に配属になった店舗は、スポーツカー専門店でした。

R32スカイライン、S13シルビア、180SX、ソアラ、スープラ、MR-2、セリカ、RX-7、GTO、ドリ車など人気車がずらり並び、華やかな展示場でした。

土日は朝から来店が絶えず、店頭にならべられた中古車は次々に売れていきました。

ただ、似たようなお店が同じ県内に続々と出店してきた結果、客取り合戦が勃発。

とにかく中古車を売らなきゃいけない時代でしたので、展示車をどこよりも綺麗に見せて、いいことをいって売る営業スタイルになっていたのも事実です。

クルマの知識はそこそこに「どうやったら客を落とせるか?」というしか考えていませんでした。

なにしろ、中身のない「お調子者営業マン」です。

そんな調子だったので、クレームが多かったことも事実。

売れば会社に評価されるけれど、何とも後味が悪い・・・。

気付けば数字に踊らされて、お客様のために売っているという実感がなくなっていったのです。

■他店との差別化で生まれた70スープラ専門店そんな葛藤のなか、悩んでいる暇もなく、ずるずると時は流れてしまいます。

そんなとき、あるきっかけから、車種を絞った専門店に目をつけたのです。

それはつまり、同業他社とは一線を画す「差別化戦略」でした。

1990年代後半当時、スカイラインGT-R専門店は存在していたと思いますが、車種を絞ることでお客様も減るので、当時の社長には大反対されました。

強行突破ではじめたのが70スープラ専門店です。

セリカXXに憧れていた時期があったので、70スープラは自然な流れだったのかもしれません。

なぜこれにしたのか?実ははっきりとは覚えていません。

でも・・・これは当たりました。

特に2.5GTツインターボRは、置けば売れる入れ食い状態でして、全国のオークションで片っ端から仕入れしました。

しかし、スープラが売れまくる一方で、物足りなさもありました。

トヨタ車は壊れないので、ご納車後、次にお客様とお会いするのは車検のタイミングなのです。

久しぶりにお客様へ連絡してみると、いつの間にか別のクルマに乗り換えていたり、他のショップに出入りしていたり・・・。

自分でも、何のためにクルマを売っているのか分からなくなりました。

クルマを集めて、ただ磨いて売るだけなら誰でもできる。

30歳を過ぎて、こんな仕事をしていてはダメだと思うようになっていったのです

■運命的な出会いとZ32専門店の誕生そんななか、たまたま下取りで入ってきたのが真っ赤な元年式のフェアレディZ(Z32)でした。

私が二十歳の頃にデビューしたクルマでしたが、当時は高嶺の花だったので、頭からすっかり消えていたのです。

改めて見たZ32は、華やかで、美しくて、格好良くて・・・。

今まで見てきたスポーツカーとは違う雰囲気とオーラを持っているように感じたのです。

まさに運命的な出会い。

私は直観的に「これがおそらくラストチャンスだ!日本一のZ32専門店を作るぞ!」と迷いなく決めました。

特にトヨタが良いとか、日産が良いとか、メーカーへのこだわりはなく、Z32の格好良さだけで決めたようなものでした。

その頃のZ32はまだ新車も販売している現役モデルでありながら、中古車相場は100~200万円に落ち着いてきていました。

なぜか根拠のない勝算と自信があったのです。

しかし、この決断が自虐行為になるとは思いもよらず・・・。

実は、そこからさらに苦悩の日々に陥っていくのです。

[つづく]

[ライター・撮影/小村英樹(Zone代表)]

 

 

文:旧車王 小村英樹
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

ロシア軍の「悪名高い無人機」の保管庫が破壊される ウクライナが“波状攻撃”の様子を公開
ロシア軍の「悪名高い無人機」の保管庫が破壊される ウクライナが“波状攻撃”の様子を公開
乗りものニュース
ブレイズの電動アシスト自転車「スタイルe-バイク」に今冬だけの特別カラーが登場! 限定10台 国内の職人による塗装を施した完売必至の“希少モデル”とは
ブレイズの電動アシスト自転車「スタイルe-バイク」に今冬だけの特別カラーが登場! 限定10台 国内の職人による塗装を施した完売必至の“希少モデル”とは
VAGUE
125ccバイクおすすめもわかる!小型限定普通二輪で乗れるMT/ATモデルのメリット・デメリット総まとめ
125ccバイクおすすめもわかる!小型限定普通二輪で乗れるMT/ATモデルのメリット・デメリット総まとめ
WEBヤングマシン
トヨタの“新型”「“小さい”四駆SUV」公開され反響多数! 全長4.5m級「カクカクボディ」の“ランクル240”! 「取り回し楽」「人気が出そう」声もある「ランドクルーザーFJ」とは
トヨタの“新型”「“小さい”四駆SUV」公開され反響多数! 全長4.5m級「カクカクボディ」の“ランクル240”! 「取り回し楽」「人気が出そう」声もある「ランドクルーザーFJ」とは
くるまのニュース
「寒さ」が寿命を縮める!?  知らないと後悔する「冬の愛車トラブル防止策」
「寒さ」が寿命を縮める!?  知らないと後悔する「冬の愛車トラブル防止策」
ベストカーWeb
「日本に技術を取り戻したい」 日産CEOの熱きレガシー宣言! AIで加速する開発力、中東を「宝石」と呼ぶグローバル戦略とは
「日本に技術を取り戻したい」 日産CEOの熱きレガシー宣言! AIで加速する開発力、中東を「宝石」と呼ぶグローバル戦略とは
Merkmal
フェアレディZマイナーチェンジ車と新たなNISMOコンセプトに注目! 日産が「東京オートサロン2026」の出展概要を発表
フェアレディZマイナーチェンジ車と新たなNISMOコンセプトに注目! 日産が「東京オートサロン2026」の出展概要を発表
カー・アンド・ドライバー
約400万円! トヨタ新「スライドドア“バン”」がスゴイ! 2列“6人乗り”仕様&1.5リッター「直4」採用! 大口顔の西国「プロ“エース”」とは
約400万円! トヨタ新「スライドドア“バン”」がスゴイ! 2列“6人乗り”仕様&1.5リッター「直4」採用! 大口顔の西国「プロ“エース”」とは
くるまのニュース
ホンダ「NS125R」(1987年)【80年代に登場したホンダのバイク図鑑】
ホンダ「NS125R」(1987年)【80年代に登場したホンダのバイク図鑑】
webオートバイ
新型デリカD:5・発売直前先取り詳報!
新型デリカD:5・発売直前先取り詳報!
グーネット
プロに聞いた「好きなクルマBEST3」あのとき買ってよけば良かった…と言わないために
プロに聞いた「好きなクルマBEST3」あのとき買ってよけば良かった…と言わないために
グーネット
高台から望む絶景と、旅に寄り添う心づかい「堂ヶ島ニュー銀水」【心を満たす温泉宿24選】
高台から望む絶景と、旅に寄り添う心づかい「堂ヶ島ニュー銀水」【心を満たす温泉宿24選】
グーネット
新型「RAV4」ついに発売!トヨタ初採用の技術詰め込んだ新世代SUV
新型「RAV4」ついに発売!トヨタ初採用の技術詰め込んだ新世代SUV
グーネット
日産が放つ新たな一台。NISMO特別コンセプトモデル初公開 東京オートサロン2026
日産が放つ新たな一台。NISMO特別コンセプトモデル初公開 東京オートサロン2026
グーネット
LBXの魅力を格上げ!MORIZO RR専用カスタムパーツをラインアップ AIMGAIN
LBXの魅力を格上げ!MORIZO RR専用カスタムパーツをラインアップ AIMGAIN
グーネット
トヨタ 新型「GR GT/GT3」が走る!デモラン世界初披露へ 東京オートサロン2026
トヨタ 新型「GR GT/GT3」が走る!デモラン世界初披露へ 東京オートサロン2026
グーネット
【25’ 12/15最新】レギュラーガソリンさらに安く、平均価格は4年ぶり150円台に
【25’ 12/15最新】レギュラーガソリンさらに安く、平均価格は4年ぶり150円台に
グーネット
グーネット編集部がモビショーを練り歩き! 発売が待ち遠しい注目モデルに迫る
グーネット編集部がモビショーを練り歩き! 発売が待ち遠しい注目モデルに迫る
グーネット

みんなのコメント

24件
  • Z32はカッコ良い。
  • 平成元年、家の近所のセブンイレブンに買い物に行った時に
    出て間もない真っ赤なZ32が、BBS17インチ履いて車高ぺったりで
    駐車場に入ってきた時には、目が釘付けになった。
    いまだに忘れない。
    時を同じく千葉の内房走ってた時、前に黒のインフィニティQ45の車高下げたのが走ってて
    超カッコ良かった。あれも忘れない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

105 . 8万円 128 . 8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19 . 8万円 75 . 0万円

中古車を検索
ホンダ Zの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

105 . 8万円 128 . 8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19 . 8万円 75 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村