毎年、全日本ロードレース選手権をまわり、シャッターを切り続けるカメラマン「Nob.I」がお届けする『カメラマンから見た全日本ロード』改め、今回は2023年2月24~26日に開催されたスーパーバイク世界選手権(SBK)第1戦オーストラリアラウンドを取材した『カメラマンから見た2023SBKオーストラリア』をお届けします。
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SBK開幕戦に登場したニューマシンの細部を特集。ヤマハ、カワサキ、ホンダ編/第1戦オーストラリア
ロードレースファンの皆様、オフシーズンはいかがお過ごしでしたでしょうか?
編集部から「オフシーズンのネタありませんか?」という問い合わせがあったので、「WorldSBK(以下SBK)のオーストラリアでも行く? 日程的に何もバッティングしないし~」という軽いノリで返答をしたところ……
「いいですよ、行きましょう!」と、まさかの即答で、1カ月後にはオーストラリアの大地に立ち、2023年シーズンの取材が始まったのでした。
いつものごとく、レースそのものは編集部にお任せし、私の視点でお送りいたします。
SBKは日本では開催されないため、世界選手権の鈴鹿8耐やMotoGPと比べて少々馴染みが薄いので、その基本情報からおさらいしましょう。
ざっくり説明すると、全日本ロードレースの世界版です。
市販車を改造したバイクにピレリタイヤのワンメイクで、ウイーク中に2レース開催されます。
日本人では、昨シーズンまでSBKに野左根航汰選手が参戦しており、今シーズンからはSSPに阿部真生騎選手と岡谷雄太選手が参戦します(※)。
※2名ともヨーロッパラウンドのみに参戦する『WorldSSP Challenge』にエントリー
さて、皆さんおなじみ、SBKのスーパースターといえば、やはりこのライダー
2015~2020年シーズンまで、SBK6連覇を果たし、2019年の鈴鹿8耐では26年ぶりの優勝をカワサキにもたらした、ジョナサン・レイ選手。
2022年の鈴鹿8耐にも参戦し、2位となっています。
個人的には、彼を撮りに来たといっても過言ではありません。
今年の8耐への参戦もお待ちしております。
ちなみに、2022年の鈴鹿8耐で優勝した、イケル・レクオーナ選手(Team HRC)もSBKに参戦しています。
他にもワールドクラスのライダーが参戦しており、それだけでワクテカです。
ピットやグリッド撮影にドキドキしました。
SBKの最大の特徴は、『スーパーポール』と『スーパーポール・レース』でしょう。
土曜日の『スーパーポール』と呼ばれる予選でレース1のグリッドが決まり、さらに、日曜日にはレース2のグリッドを決める、『スーパーポール・レース』があります。
しかも、スーパーポール・レースはポイントも付与される、超スプリントレース。
そんなこんなで、ウイーク中は四六時中ずっと走ってるSBKです。
パルクフェルメはSBKクラスだけでも4回使用されるためかでしょうか、パドック内にレッドカーペットとゲート付きで設置されます。
演出はMotoGPより豪華に感じました。
余談ですが、パルクフェルメ前はカメラマンのポジション争いも熾烈。
SBKは初めての取材で表彰の進行が全く不明だったため、スーパーポールで流れを観察し、以降はうまく好ポジションを獲得できました。
ちなみに、この後の表彰式会場でもポジション争いがあります……
鈴鹿8耐に比べればカメラマンは少ない方ですが、このポジション取りは何処に行っても変わりませんね。
もちろん、カメラマンたちもワールドクラス。
さりげなく、表彰式の公式写真に写っていました。
尚、今大会はアルバロ・バウティスタ選手が3連勝で好発進。連覇なるか?
ファンサービスもワールド級。
スーパーポールでポールポジションを獲得したトプラク・ラズガットリオグル選手(PATA YAMAHA PROMETEON WORLDSBK)がパルクフェルメから戻る際、サインを求めに来たファンの少年にポールポジションのキャップをプレゼント。
個人的な好感度が爆上がりです。
さて、SBKが開催されたオーストラリア、フィリップ・アイランド・サーキットについてもご紹介しましょう。
autosport webの読者からすると釈迦に説法かもしれませんが、そのコースはオーストラリア南部のヴィクトリア州ある、文字通り島、フィリップアイランド島にあります。
メルボルン空港から車で約2時間。
南半球の季節は北半球とは真逆で、オーストラリアの2月は夏の終わり。
朝晩の激しいものの、日中は暑いです。
島であるため、場所によっては海が見えます。
写真では表現しにくいですが、風が強く、望遠レンズが煽られます。
また、フィリップアイランドのレイアウトはアップダウンが多く、気象条件が揃えばこのようなダイナミックな写真が撮れます。
観客もかなり入っていました(3日間で4.6万人)。
フェンスは事実上存在しない、といっても過言ではなく、観戦環境は良好です。
バイクで観戦に来る観客も多め。
オーストラリアは、ワイン・ガードナー氏やミック・ドゥーハン氏、ケーシー・ストーナー氏といった世界チャンピオンを輩出していますので、モータースポーツが盛んなのでしょう。この文化が羨ましいです。
昨年までMotoGPに参戦していた、レミー・ガードナー選手も今年はSBKに挑戦しています。
ちなみに……オーストラリアでもオフィシャルの仕事は変わりません。
アジア系が珍しいのか、頻繁に話しかけられました。
「Do you have some water? I'll give you.」
とペットボトルをくれたり、
「Where are you from? Japan? I have traveled to Yokohama. It’s a small world! HAHAHA!」
とオージーは気さくに話しかけてくれ、
「異国の地で何か粗相をしたらどうしよう?」という小さな心配は吹き飛びました。
いかがでしたでしょうか?
初めてのコースということで、下見も含めて3日間歩きっぱなし。
ピット、グリッド、コース、パルクフェルメと常に歩き回り、1日平均25000歩でした。
真冬の日本から真夏のオーストラリアに飛び、「スギ花粉がなくて快適ッ!」と思ったのも束の間。
食事は小麦中心で、また気温の変化に慣れず、かなり体力を消耗しました。
カメラマンは文字通り体力勝負です。
当たり前ですが、言語は英語で、メディアへの案内文も全て英語。
カタコトで「英語は得意でない」と伝えても容赦なく話され、何言ってるか全然分かりません。
しかしながら、「カッコイイ写真が撮りたいッ!」というモチベーションを原動力として乗り切っています。
フィリップアイランドでは10月にMotoGPが開催されます。
オーストラリアはフライト時間が長いものの、時差も少なく、渡航しやすい国です。
この春にも、日本での新型コロナウイルスは落ち着くでしょう。
今秋はオーストラリアでMotoGP観戦はいかがでしょうか?
このブログが公開される頃には、全日本ロードレースが開幕を迎える時期でしょう。
今年も皆さんに向けて配信できるようで、今から頭を悩ませています。
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