WRC世界ラリー選手権を中心にフォードの前線部隊として活動するMスポーツは、7月12~14日開催のラリー・エストニアに向け、先日発表したばかりの第2世代『フォード・フィエスタR5』を投入すると表明。「これが最新モデルにとって初の本格的なテストになる」というイベントで、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに所属する勝田貴元と、Mスポーツのワークスドライバーであるテーム・スニネンにステアリングが託された。
WRCに参戦する4メーカー/チームが最新WRカーを送り込むことでも話題を集めているラリー・エストニアは、2010年創設とまだ歴史の浅いイベントながら年々規模を拡大し、近年は超高速ラリーとして知られるラリー・フィンランドの前哨戦として、ドライビング、セットアップ習熟を進めるテストイベント的な位置づけで活用されている。
7月開催のラリー・エストニアにWRC全ワークスが参戦。地元の英雄タナクとマルコ・マルティンもエントリー
そのラリー・エストニアのR5クラスに参戦する勝田は、これまでにWRC2で2勝を記録し、8月のWRC第10戦ドイツではトヨタ・ヤリスWRCでの最上位クラスデビューも決定している。
そんな勝田にとって契機となった2018年ラリー・フィンランドでのクラス優勝は、このエストニアでの経験が大きかったと言う。
「このラリー・エストニアに出場するのは2度目になります。最初のイベントが僕のラリーに臨む意識を大きく変えるきっかけになったので、そのことをよく覚えています」と、ラリー・エストニアの公式サイトに応えた勝田。
「そのときは2度コースオフしましたが、それまでの自分はとにかく、いついかなるときも全開でプッシュするスタイルでした。でもこのラリー・エストニアを経て、アプローチを変える必要があることを理解したんです」
「このラリーをまた再び走れることを楽しみにしていましたし、ラリー・フィンランドに向けてもいいテストになります。新しいR5カーをドライブするのも初めてですし、このクラスは強豪ぞろいで面白い戦いになると思いますよ」
先月、ベルギーで開催されたイプルー・ラリーにコースクリアのVIPカーとして初登場した新型フィエスタR5だが、その際にはエリック・カミリのドライブでステージ上を走行したものの、本格的な競技に向けたデータを得るほどのドライブには至らず、このエストニアへのエントリーがぶっつけ本番での「初テスト」になるという。
WRCのラリー・イタリア・サルディニアでキャリア最上位の2位に入ったスニネンも、WRカーからR5へのスイッチを含め、テストなしで本番に挑むことになる。
そのチームメイトとなる勝田のマシンはトミ・マキネン・レーシングからのエントリーとなり、本戦に向けたマシンの準備と現地でのオペレーションは地元の英雄、マルコ・マルティンの運営するMMモータースポーツが担当する。
勝田は「エストニアに戻ってくることができて本当に光栄です。この国は僕のキャリアを大いに助けてくれたオット・タナクとマルコ・マルティンの故郷でもあるから、エストニアという国に対しても大いなるリスペクトがあります」とも述べている。
そのマルティンとともにラリー・エストニアの創設に尽力し、現在ラリーディレクターを務める元WRCドライバーのウルモ・アーヴァも「またこのラリーにカツタサンがエントリーしてくれるのはとても光栄」と、歓迎の意を示した。
「彼と(コドライバーの)ダニエル・バリット、そして新型フィエスタR5の組み合わせは非常に興味深いコンビネーションになりそうだ。カツタは彼が初めてここへ来たときと比べても大いなる進化を成し遂げている。その彼の進歩は一貫しているし、近い将来のWRCでさらに多くの成功を目にすることになりそうだね」
すでに現地ではシェイクダウンと予選ステージが始まっており、R5クラスには先日ERCヨーロッパ・ラリー選手権でも史上最年少優勝を記録したオリバー・ソルベルグがフォルクスワーゲン・ポロGTI R5でエントリー。
さらに昨季総合優勝の地元オット・タナクがトヨタ・ヤリスWRCを持ち込み連覇を狙っているほか、エサペッカ・ラッピ(シトロエンC3 WRC)、エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)、そしてアンドレアス・ミケルセンと新加入クレイグ・ブリーンがヒュンダイi20クーペWRCで参戦するなど、WRCワークスのレギュラークラスが勢ぞろいしている。
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