11月26日(日)、静岡県の富士スピードウェイでTOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup第7大会の決勝レースが行われ、プロフェッショナルシリーズは1周目のスタート直後からクラッシュで赤旗中断となる波乱の展開を中山雄一(IBARAKI TOYOPET GR86)が制し、今季初優勝を飾った。2023年のチャンピオンは1周目のクラッシュに巻き込まれてしまった井口卓人(東京スバル BS BRZ)となった。
2023年も各地でプロによる激しい戦いが展開されてきたTGR GR86/BRZ Cup。10月28~29日に行われた第6戦鈴鹿を終えた時点では、井口が71ポイントでランキング首位、堤優威(CABANA BS GR86)が66ポイントで2位、菅波冬悟(OTG TN滋賀 GR86)が3位となっていた。
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11月25日(土)に曇天のもと行われた公式予選では、1秒差以内に25台が入る超激戦のなか、伊東黎明(OTG DL GR86)がポールポジションを獲得。わずか0.005秒差で中山、さらに中山から0.001秒差の3番手に坪井翔(MYCARS/SD-STYLE GR86)が続き、4番手に堤がつけた。一方の井口は17番手から決勝を迎えることになった。
決勝レースは11月26日(日)11時にスタートを迎えたが、直後に波乱が起きた。TGRコーナーに向けたアプローチで伊東のインを中山が差すが、中山はわずかにアウトに膨らんでいく。一方、伊東のインからはさらに堤が進入。2台は接触し、伊東がスピン状態に陥ってしまった。
ここに9番手スタートの松井孝允(NETZ富山RacingGR86)がクラッシュ。さらに2台を避けきれず井口もクラッシュし、3台はTGRコーナー立ち上がりでストップしてしまった。このクラッシュでコース上にはパーツが散乱。オイルも流出したことから、レースはセーフティカーランの後、一時赤旗中断となってしまった。この時点で、井口のタイトルは遠のいたかにも思われた。
その後決勝は11時30分にセーフティカーランが始まり、残り7周でリスタート。混乱のなかトップに浮上した6番手スタートの青木孝行(ケーエムエスフェニックスGR86)がトップに立ち、堤、中山、佐々木雅弘(小倉クラッチREVOBS GR86)と続くオーダーとなった。ただ、堤には1周目の接触により、まさかのドライブスルーペナルティが課されてしまった。
5周目に堤がペナルティを消化したことで、トップ争いは青木と中山の戦いとなっていく。その後方には佐々木、堤、さらに岡本大地(BRMトヨタカローラ高知GR86)が続いた。上位は僅差の戦いが続いていたが、ファイナルラップのコカ・コーラ・コーナー立ち上がりから300Rにかけての攻防で中山が青木をオーバーテイク。優勝を飾った。
2位は青木で、3位争いも混戦のなかで坪井、さらにファイナルラップには佐々木をかわした岡本が入った。そしてチャンピオン争いは菅波が8位でフィニッシュするも及ばず。堤は25位でフィニッシュとなり、クラッシュでレースを終えていた井口が第6戦時点での点差のままチャンピオンを獲得することになった。
「最終戦はせめて走り切りたかったです。スタートでは伊東選手がストップしているところに松井選手が当たり、そこに僕が突っ込んだかたちですが、やはりあの位置になると全然見えなくて。避けきれなかったですね」」とタイトルを決めた井口だったが、複雑な表情を浮かべた。
とはいえ結果的にはチャンピオン獲得。今季は東京スバル/千葉スバル、さらにスバルからもディーラーメカニックを加え、自らの『Team Takuty』を率いて臨んでいたシリーズでの戴冠となった。
「本当に関わってもらった人たちがたくさんいて、その中で運営の勉強など、チームを回していく作業がものすごく難しかったです。でもやり甲斐もありましたし、毎戦チームと結果を出す感覚があり、ドライバーだけやっている以上に良い経験ができました」と井口は振り返った。
「最終戦でそれがうまく回せなかった心残りがありますが、鈴鹿まではそれができていましたし、やり甲斐があるプロジェクトがスタートして、そのやっている意味を感じながら戦えた一年だったと思います」
「いろいろなことが重なりチャンピオンが舞い込んできたので、一年の嬉しさはありますが、すっきりしない感じが強すぎて、なんだか悶々としています(苦笑)。来年も続けたいので、また頑張っていきたいです」
午前に決勝を終えたクラブマンシリーズでは、松井宏太(TEAM SAMURAI GR86)がチャンピオンを獲得。今季のTGR GR86/BRZ Cupはこれでシーズンを終えることになった。
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