MAZDA 3
マツダ 3
メガーヌR.S.カップを土砂降りのサーキットで試乗! これは手の届くスーパースポーツカーだ【動画レポート】
グローバルカーとして主張するマツダ 3
マツダが新時代の扉を開く第一弾のCセグメントカー「MAZDA 3」。これを栃木県にあるGKNドライブインジャパンで試した。
本来「MAZDA 3」とは、輸出モデルに与えられる名称であり、日本ではこれまで3代に渡り造られてきた「アクセラ」の後継車にあたる。しかしこの4代目モデルからマツダは、国内モデルもMAZDA 3のネーミングで統一し、グローバル展開のイメージを強く打ち出してきた。
だからこそ今回、MAZDA 3をGENROQ Webでレポートをすることなったわけだが、ここではCセグ王者であるVWゴルフはもちろん、欧州列強のライバルたちにこのMAZDA 3が果たして通用するのか? という視点も盛り込んでレポートを行ってみようと思う。
しかし今回は、ちょっと変則的なテストドライブだった。なぜなら既にディーゼルユニットを搭載する「SKYACTIVEーD 1.8」は発売が開始されており、ディーラーでも積極的にエンドユーザーの試乗が行われている。それなのに今頃、しかもテストコースでの試乗が開催された。その理由は、7月発売の2リッターガソリンモデル「SKYACTIVEーG 2.0」が同時に用意されていたからだった。しかも残念なことに、本命のMハイブリッドモデル「SKYACTIVEーX」はその場にはいなかった。
まずは新たに始めた開発テーマ「運転姿勢」から
当日のメニューはバンクを有する外周路と、インフィールドに作られたハンドリングコースを走る2本立て。これをSKYACTIVEーD 1.8の5ドア ファストバックと、SKYACTIVEーG 2.0のセダンで走り比べた。駆動方式は2台ともFF、トランスミッションは6速ATだ。
筆者はこのMAZDA 3をMINEサーキット(SKYACTIVEーX プロトタイプ)と、北海道の剣淵(SKYACTIVEーG 2.0/2.5プロトタイプ)で2度ほど試している。その走りは確かにスッキリとしたハンドリングと足腰の良さが印象的で、今回もテストコースながらその完成版を試せるかと思うと、ちょっとワクワクした。
しかしマツダは、そんな筆者の気持ちを見透かしたかのように、まず“お預け”を命じた。最初にステアリングを握ったのはマツダのエンジニア氏で、筆者は助手席に座らせられたのである。これはもちろん、マツダの嫌がらせではない。むしろ彼らはMAZDA 3から新たに始めた開発テーマを、徹底的に我々に理解させようとした結果だった。
テーマの筆頭に掲げられたのは「骨盤を立てる運転姿勢」。思い通りにクルマを動かせる操作性である。これを実現するためにマツダは、車両側の開発だけでなく、人間側の姿勢に目を付けたのだ。
人間は歩行において、無意識に頭蓋骨が横揺れしないように歩く。その際“骨盤”を滑らかに左右へ動かし、背骨はその逆位相で動かすことによって、頭(即ち視線)をぶらさず歩いているというのである。
そして彼らはこの考えをシート造りに応用した。だからまずは、ゆっくりと走って欲しかったのだ。そうしないと我々はすぐに限界領域を試しがちだからである。
その考えは、確かに面白かった。MAZDA 3のシートはお尻から骨盤にかけてをしなやかながらもシッカリとホールドする。そしてエンジニア氏がステアリングを切ると、筆者のお尻はコーナーに対して反対側の半分が“ジワッ”と面圧を上げたのだ。
右へハンドルを切れば、左の半ケツが“ジワッ”、左へハンドルを切れば、右の半ケツが“ジワッ”・・・。そのとき背骨は逆位相となり、頭は並行を保とうとした。目線をぶらさず座ってられること、即ち快適な着座姿勢だと思えた。
こうしたボディバランス実現するためには、クルマのボディ剛性向上も大切だ。しかし闇雲な剛性向上は、質量増加につながる。材料置換による軽量化はコスト高騰に跳ね返る。そこでMAZDA 3は、従来のボディ構造を多環構造へと改め、ボディの対角線上にある前後サスペンションに、路面からの入力がタイムラグなく伝わるようにした。
またサスペンションの取り付け位置を見直して、これまで突起を乗り越えた際、まず前後方向に動いていたタイヤを最初からストローク方向へ動くようにした。
5ドアハッチバックのディーゼルに試乗!
いよいよ筆者も、そのステアリングを握る時が来た。
ただ運転席は助手席ほどに、お尻の圧力分布を感じられなかった。なぜならドライバーは、ステアリングでシートに身体を押しつけ、フットレストで支えてしまうからだ。だが、その骨盤を立てる運転姿勢は、確かに目線を安定させる。そして、これを意識して運転すると、身体でGを感じるセンサーが増えたように思えた。
そして、これは何かに似ている・・・と感じた。ポルシェ911のシートポジションである。
さて肝心な動力性能だが・・・。一番の売れ線モデルとなるだろうSKYACTIVEーD 1.8(116ps/270Nm)と5ドアハッチバックの組み合わせには、いきなりだが少しばかり疑問が残った。エンジンはいつも通りのトルキーさが際立っていた。別段不満はないが、今時6速のATがパワーユニットのキャラクターを眠たくしているのも相変わらずだ。
違和感をもったのはここから。
まず外周路のストレートでは高速スラロームを試したのだが、このとき切り返しにおけるリアの応答遅れが気になった。腰砕けで滑り出すようなほどではないが、しかしリア周りが少しだけ落ち着かず、それこそ私のお尻が“むずむず”を感じ取った。
重さが目立つディーゼルエンジン
もちろんこうした高負荷時のスラロームなど普段行うものではない。テストコースを常識的に走るだけなら1.8ディーゼル ターボを搭載するMAZDA 3 ファストバックは、確かな身のこなしでバンクも走りきる。今回はテスト項目になかったが、ダブルレーンチェンジでの緊急回避をしたらどうなるだろう?
MAZDA 3は、そのリアサスペンションに敢えてのトーションビームを採用している。マルチリンクを採用せずとも安定性を確保でき、なおかつ部品点数を減らすことでバネ下重量の低減にも役立っていると意欲満々だったが、試乗車がハッチバックだったからかなのか、人間の感性的には少し剛性が足りないと感じた。
また平均速度が低く、しかしカーブの曲率は高くなるハンドリングコースでは、リアのむずむずよりもディーゼルエンジンの重さが目立った。ハッチバックのMAZDA 3だけに、筆者はかなりスポーティなハンドリングを勝手に期待してしまったのだが、18インチタイヤを履く割りにそのレスポンスは予想より少し鈍い。
フロントの操舵感は後述するSKYACTIVEーG 2.0の方が、明らかに“思い通り”だ。ちなみにガソリンモデルとの全体重量差は60kg。そのうちフロント軸重は30kgほどだという。そうなると、同じくらいかそれ以上に車両重量がかさばりそうなSKYACTIVEーXは、開発が難航しているのかもしれない。
見事な走りで魅了するセダン&ガソリンエンジン
一方で、SKYACTIVEーG 2.0(156ps/199Nm)を搭載するセダンの走りは見事だった。同様に試した高速スラロームでも4輪全体の接地感が高く、まさに操舵や切り返しで、骨盤機軸の“腰”でクルマを動かす運転が意識できる。
ハンドリングコースではさらに冴え渡った。フロントタイヤの追従性は高く、舵を切り込んで行くような状況でも接地感が途切れない。タイヤが鳴き始めてもスキール音を一定に保つことができ、アクセルを緩めて行けばノーズはきちんと安定する。
自由自在だ!
そして、アクセルを踏み始めてもトラクションがジワジワと掛かり、さらに踏み込んで行ける。
エンジンは相変わらずその吹け上がりが気持ち良く、欧州ターボ勢とは違う魅力がある。2リッターのSKYACTIVEーGは中庸な実用トルクを持ちながらも、回せば相変わらずその吹け上がりが気持ち良く、欧州ターボ勢とは違う自然吸気エンジンの魅力に溢れている。だからこそマツダには、トランスミッションの個性をもう少し際立たせて欲しいと感じる。
ブレーキタッチにもこだわったマツダ 3
ステアバランスは、模範的な弱アンダーステア。VWゴルフやアウディA3のような重厚感はないが、剛性に不足は感じない。カローラ・スポーツよりもリアの接地性が保たれたキャラクターながら、ステア追従性の良さで気持ち良く曲がって行くタイプである。
ルノーはメガーヌGTがリアステアを有することから直接比較できないが、コンベンショナルなFFモデルながらこれに負けない軽やかさを持ってると思う。
マツダがこだわったブレーキタッチは、ディーゼルよりガソリンモデルの方が自然に感じた。マスターシリンダーの構成部品であるプランジャー(棒ピストン)、その先端形状を丸めることで確かな足応えを実現しようと開発陣は工夫をこらしたが、そもそもディーゼルユニットのブレーキブースターは効きが弱いこともあるせいか、ペダルは重く、タッチも中身が詰まったゴムボールを踏んでいるようだった。これだと女性ドライバーには、操作感が重いと感じるケースもあるだろう。
しかしガソリンエンジンでは踏力もちょうどよくまとまっており、踏力に応じたリニアなペダル操作ができる。
腰で運転できる良質なCセグメントカー!
この他にもマツダは、車体の応力が集中する箇所に減衰接着剤を塗布し、ブレや振動を止める工夫をした。10ヵ所以上に及ぶ減衰節(げんすいぶし:振動部に樹脂を配置し、熱エネルギーに変換してNVHを吸収する)を仕込んで室内空間の静粛性を高める努力をしている。しかし、テストコースの路面は極めてフラットなため、その効果を実感することは難しかった。
さて、結論としてMAZDA 3は、確かに“腰で運転できる”良質なCセグメントカーであった。
残念なのはセダンの操作性が美しく若々しいルックスをもつファストバックで得られなかったことだ。ガソリンモデルのファストバックなら良かったのか、それがただの個体差なのか、はたまたディーゼルエンジンとのミスマッチかは計りかねるので、今後増えて行くだろう試乗の機会でじっくり確認して行きたい。
REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)
PHOTO/池之平昌信(Masanobu IKENOHIRA)
【SPECIFICATION】
マツダ 3 ファストバック XD
ボディサイズ:全長4460 全幅1795 全高1440mm
ホイールベース:2725mm
トレッド:前1570 後1580mm
車両重量:1410kg
エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量:1756cc
圧縮比:14.8
最高出力:85kW(116ps)/4000rpm
最大トルク:270Nm/1600 – 2600rpm
トランスミッション:6速AT
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後トーションビーム
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ(リム幅):前後215/45R18(7J)
燃料消費率(WLTC):19.8km/L
車両本体価格:274万~298万9200円(税込/FFモデル)
マツダ 3 セダン 20 S
ボディサイズ:全長4460 全幅1795 全高1445mm
ホイールベース:2725mm
トレッド:前1570 後1580mm
車両重量:1350kg
エンジン:直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量:1997cc
圧縮比:13.0
最高出力:115kW(156ps)/6000rpm
最大トルク:199Nm/4000rpm
トランスミッション:6速AT
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後トーションビーム
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ(リム幅):前後215/45R18(7J)
燃料消費率(WLTC):15.8km/L
車両本体価格:247万~264万9000円(税込/FFモデル)
【問い合わせ】
マツダコールセンター
TEL 0120-386-919
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