全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦するKONDO RACINGは3月2日、2022年の参戦体制発表会をユニークな形式で行い、近藤真彦チーム代表兼監督とともに盟友“よっちゃん”こと野村義男氏も参加するなか、近藤監督が2022年シーズンの体制や展望について語った。
発表会は、東京都江東区のライブハウス『豊洲PIT』で行われた。この日は近藤監督とギタリストの野村義男氏による『MasahikoとYoshio Live Tour 2021-2022』の最終東京公演2デイズの初日となっており、その会場である『豊洲PIT』のエントランス部分を用いて、ライブ前にスーパーフォーミュラ参戦マシンのお披露目が行われたかたちだ。
近藤真彦監督率いるKONDO RACING、2022年スーパーフォーミュラ参戦体制を発表。マシンカラーリングを一新
発表会の冒頭、スーパーGTでもパートナーを務めるリアライズコーポレーションが、2022年シーズンはスーパーフォーミュラでもKONDO RACINGのパートナーとなることが明かされた。その後、近藤監督とリアライズコーポレーションの今福洋介社長の手によって、ブルーとホワイトが新鮮な『REALIZE Corporation KONDO SF19』がアンベイルされた。
カーナンバー3、山下健太が駆ることになるこのマシンはメディア向けの発表会後も『豊洲PIT』のエントランス部に置かれ、この日のライブに訪れた観客は、入場時にSF19を間近に見ることができるという計らいだ。
だが3月5~6日に鈴鹿サーキットで開催される『鈴鹿サーキット60周年ファン感謝デー』とそれに続く合同テストのため、「僕はこれからコンサートをやるんですけど、マシンはその最中には鈴鹿に向かわなければいけないんです」と近藤監督。監督たっての希望で、御殿場のファクトリーから鈴鹿に向かう前に、マシンを東京へ運んだのだという。
2022年のドライバーについてはすでに昨年12月、トヨタGAZOO Racingから発表されているが、今回は近藤監督の口から担当エンジニアの名も明かされた。山下を担当するのは阿部和也エンジニア、サッシャ・フェネストラズを担当するのは村田卓児エンジニア。いずれも昨年から変更はない。
近藤監督は、「最強なエンジニアと最強なドライバーをそろえましたので、間違いなく、チャンピオンに向けて走り続けていけると思います」と胸を張る。
しかしながら、2021年はKODNO RACINGにとっては厳しい一年だった。コロナ禍においてフェネストラズの入国がなかなかかなわず、山下の成績も振るわなかった。
「とにかく、スーパーフォーミュラの難しさを感じた1年でした」と近藤監督は2021年を振り返る。
「サッシャの入国がかなわなかったこともひとつの要因だと思いますが、スーパーフォーミュラというカテゴリーは、ほんの僅かなセッティングの違いで、1位から15位、20位にもなってしまう。その、ほんの僅かな合わせ込みができなかった」
「両エンジニアが落ち込んでいる姿を見るのが、ドライバーが落ち込んでいるのを見るよりもつらかった。とにかくエンジニアを励まして……。彼らも『監督、本当に申し訳ない』と言ってくれる。やっぱり、レースはドライバーひとりが頑張ったり苦労したりすればいいというものではなくて、チーム全体で喜んだり、反省したりしなければいけないものだというのを、去年はつくづく思いました」
それでもフェネストラズがようやく参戦にこぎつけた終盤2戦は、「いいレースをしてくれた」と近藤監督。
「山下が頑張るとサッシャがコンマ数秒、上げてくる。そうすると山下は『サッシャのデータを見せて』と言ってきて、見せると刺激になってまたタイムが上がる。その相乗効果で絶対にチャンピオンを取り返しにいきますので、ぜひ期待してください」
スーパーフォーミュラには今季、1ウイーク2レース開催となる週末が3イベントある。
これについて近藤監督は、「チームとしては非常に負担がかかり、メカニックとしてもドライバーとしても2倍のエネルギーが必要なので、大変なことは大変です」とチームの立場を説明する。
一方で「でも、それによってファンの方が喜んでもらえるのであれば、僕は2レース(制)は絶対にやるべきだと思っています」と、観る側の視点にも触れた。
「1レース目を落としてしまうと、2レース目に這い上がるのはなかなか難しい。ただその逆もあり、1レース目を取ったチームは2レース目も全然いけるので、2レース制が良いものになるか悪いものになるかは、本当に勝負。とにかく2レースあるところは、集中していかないと難しいと思います」
なお、発表会には近藤監督の親友でもある野村氏も登壇。「こんなに近くで(マシンを)見るのは初めて。素晴らしい」と興奮した様子で、近藤監督、REALIZE Corporation KONDO SF19とともに、“自撮り”する一幕もあった。
新たなカラーリングとともに、今年はシーズン冒頭から体制面の不足なく戦えるであろうKONDO RACING。「テストからガンガン飛ばしていく」という近藤監督のもと、まずはチームのスタートダッシュに注目したい。
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