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30馬力でも半端ないスピード感 ジャンニーニ500 TV アバルト695 SS 凝縮された楽しさ 後編

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30馬力でも半端ないスピード感 ジャンニーニ500 TV アバルト695 SS 凝縮された楽しさ 後編

見た目の違いは限定的なジャンニーニ

小さなイタリアン・ハッチバックが、ロンドン北部のハートフォードシャー州を突っ走る。活気に溢れた2台を所有するのは、アンディ・ヘイウッド氏。根っからのイタリア車ファンだという。

【画像】楽しさが凝縮 ジャンニーニ500 TV アバルト695 SS EVの500と最新アバルトも 全91枚

ジャンニーニ500 TVの容姿は、ノーマルの後期型フィアット・ヌォーヴァ500 Fと一見すると違わない。ボディサイドのエンブレムとホイールキャップを除いて、わかりやすい変化は与えられていない。

インテリアは、120km/hではなく130km/hまで振られたスピードメーターと、ステアリングホイール・ボスが異なる。だが、その程度。

それでも500 TVは、1966年にジャンニーニ・モデルとして登録されている。チューニングされたヌォーヴァ500 Fではなく、1つのメーカー・モデルという位置付けだった。

アバルト695 SSも同様。フィアットのシャシー番号と一緒に、アバルト独自のシャシー番号が振られている。今回ご登場願ったクルマの場合、1964年12月に登録されている。

ベースとなったのは500 Dで、両サイドのドアはリアヒンジのスーイサイド。ルーフは本来フロント側がカンバストップだったが、アバルトの手により金属製のハードカバーが載っている。

それ以上の容姿の違いといえば、ワイドなフェンダーラインと、やんちゃな角度のリア・キャンバー。サスペンションの構成はフィアットと変わらないが、アグレッシブにローダウンされ、トレッドも広い。前後にアンチロールバーが追加されている。

ファンファーレ・サウンドが体験の中心

ヘイウッドのクルマは、当初はアバルト595だったが、どこかの時点で695 SSへアップグレードされたという。空冷の直列2気筒エンジンの見た目は、オイルサンプとエグゾースト系しか違わない。だが、その内側にはアバルトの魔法が掛けられている。

サウンドもノーマルのヌォーヴァ500 Dより勇ましい。スターターとチョークのレバーは、シフトレバーのすぐ後ろ。これもベースのフィアットと同じだ。

アクセルペダルを軽くあおると、怒り狂ったように轟音を放つ。ノーマルではないことは、誰が聞いても理解できるだろう。690ccしかないことを、ボリュームでは感じさせない。

運転席まわりの操作系は、殆どオリジナルのヌォーヴァ500のまま。ステアリングホイールは軽く回せ、適度にダイレクトでキックバックは伴わない。クラッチペダルは想像以上に重い。

前後のブレーキはフィアットと同じドラム。ペダルの感触には剛性がなく褒めにくい。ドライバーズシートは、見た目よりは身体を支えてくれる。ステアリングホイールとの距離が近く、腕で抱えるような姿勢になる。

リアから放たれるファンファーレのようなサウンドが、695 SSのドライビング体験の中心にある。カリカリにチューニングされた2気筒の音響は、ぜひ一度、機会があれば生で味わって欲しい。

普段の小さなハッチバックとして運転できる

スピード感は申し分ない。1速が横に飛び出たドッグレッグ・パターンのマニュアル・シフトレバーは、ゲート間を導きやすい。ギアをいたわるために、ダブルクラッチは必須。シフトアップ時もダウン時も、ニュートラルで一拍を開けたいところだ。

アバルトの乗り心地には、触れない方がいいだろう。ギリギリまで下げられた最低地上高だから、アスファルトの小さな凹凸まで逐一ドライバーへ伝えてくる。

乗り比べると、ジャンニーニ500 TVはサルーンのようにしなやか。アバルトほどハードコアではなく、ノーマル・サスペンションが維持されていることへ感謝したくなる。

アバルトは間違いなくサーキットマシン。対するジャンニーニは、普段乗りの小さなイタリアン・ハッチバックとして運転できそうだ。

冷間時に始動性の悪い499ccユニットが奏でるサウンドも、ヌォーヴァ500に近い。一度目覚めると、すぐに安定したアイドリングを始める。車内は695 SSと同じくタイトだが、煮詰められたパッケージングのおかげで大人を許容する。

500 TVの加速も意欲的。静止状態から20km/h前後までは活気に欠けるものの、そのまま我慢すれば勢いが高まっていく。25psしかなくても、オリジナルの500 Fと比較すれば間違いなく威勢はイイ。

小さなボディに楽しさが凝縮

操作系は基本的に695 SSと一致する。ギア比は遥かに低いようだ。シンクロメッシュも備わるため、過去にフィアット126用のトランスミッションへ載せ替えられているのだろう。トルクが細くても、変速で忙しいわけではない。

前後がドラムのブレーキもフィアットと変わらないが、ペダルの踏み心地は明らかにハード。一般道での運転のしやすさでいえば、500 TVへ軍配が上がる。サーキットでは、695 SSが逆転すると思うけれど。

この2台に操縦性の洗練度は求められないが、500 TVは迫るコーナーをいとも容易くこなす。ノーマルのヌォーヴァ500では、路面が濡れているとやや気を使うものだが、これなら安心して突っ込める。

とても小さなボディに、この上ない喜びが凝縮されている。アバルトとジャンニーニによって馬力が高められたヌォーヴァ500は、オリジナルが宿している楽しさも見事に高めている。

チューニングの好例が、導き出されているようだった。こう書いている今でも、つい頬が緩んでしまう。

協力:アンディ・ヘイウッド氏

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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