いまどきのスポーツカーはどれも速い。しかし、ひと昔前は速そうなのに「あれっ」と思うようなハッタリが利くクルマが数多存在した。愛すべき懐かしの“狼の皮をかぶった羊”的な名車(迷車)たちよ、再びカモ~ン!
文/FK、写真/日産、ホンダ、マツダ、FavCars.com、NetCarShow.com
見た目はイカツイけど中身は穏やか!? 「狼の皮をかぶった羊」クルマ 5選
斬新すぎる見た目とは裏腹に走りは意外とおとなしめだった最終型トヨタ セリカ
1970年の発売以来、トヨタを代表するスペシャルティカーとして高い人気を誇ってきたセリカの最終モデル。2006年4月に販売が終了し、36年の長い歴史に幕を閉じた
“トレンドを切り拓くデザインと際立つ走りにより、クルマの原点にあるエンタテイメント性を堪能できる新しいスポーツスペシャルティ”と銘打って、1999年9月に登場したZZ系と呼ばれる7代目セリカ。
ライトな新感覚GTも謳い文句だった7代目でひと際目を惹いたのは、アグレッシブな面構成とシャープなラインを駆使したエクステリアだった。
ロングホイールベースとショートオーバーハングを組み合わせたワンモーションシルエット、ひと目でそれとわかる縦長のヘッドライト、ボリュームあるフェンダーとダイナミックなサイドラインはいずれも斬新さをアピールするには十分、見る者に軽快な走りを予感させるものだった。
いっぽう、走りも評価は決して低くはなかった。エンジンは高性能1.8リッターDOHC16バルブ(145psと190ps)の2種類展開で5速MT、新6速MT、4速スーパーECTとの組み合わせ、さらには新設計のリアサスペンションや軽量・高剛性ボディとの相乗効果による走安性の高さは魅力だった。
しかし、スポーツ色が強かった従来モデルに比べるとスペシャルティの要素を前面に押し出したことが災いして確固たる人気を獲得することはできなかったが……。
のちに派手なボディカラー、エアロパーツ、メッキホイールや電飾などでアングラ的なカスタムを楽しむスポコンのベース車としてブレイク。
これこそ“見た目はカツカツだけど中身は穏やかな狼の皮をかぶった羊”を物語るエピソードといえるのでは?
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自然吸気エンジン搭載のS14型日産 シルビアに走りを求めるのは酷というもの…
先代のS13型に比べるとファットなイメージが目についたS14型のシルビア。とはいえ、ターボエンジンを搭載したK’sはFRとの相乗効果も相まって走りの楽しさを提供した
大ヒットを記録したS13型の後釜として、1993年10月に登場した6代目シルビアのS14型。
シルビアのスペシャルティカーたるアイデンティティをより強固にするべく“走りの性能”と“スタイルの美しさ”というふたつのテーマにこだわったS14型はスタイリングイメージやグレード構成こそ先代モデルを継承したものの、野暮ったいスタイリングや3ナンバーボディへの移行が災いして失敗作だったと評価されていることは周知の通りだ。
グレード構成は2.0リッター直列4気筒DOHC 16バルブターボのSR20DETを搭載するK'sと、2.0リッター直列4気筒DOHC 16バルブ自然吸気のSR20DEを搭載するQ'sとJ'sの3つだったが、なかでも不人気をきわめたのがQ'sとJ's。
160psの最高出力を発生する自然吸気のSR20DEでは3ナンバーボディへの移行によって1200kg近くまで増えた車両重量をリカバーするだけのパワーや加速力を得ることができず、シルビアを名乗るには到底満足できるものではなかった。
加えて、S14前期型に採用された全体的に丸みを帯びたデザインもまた、先代モデルの軽快かつスタイリッシュなイメージからはほど遠いものであった。
そんなS14型は1996年6月のマイナーチェンジでビジュアルを大きく刷新したものの人気回復の起爆剤にはならず……と踏んだり蹴ったりのイメージが強いS14型のシルビアだが、現在の中古車市場ではQ'sであろうと100万円は下らない平均価格で推移するほど人気は高まっている。
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スポーツカーに憧れた人には救世主的存在となったユーノス・ロードスター
初代ロードスターではあえてターボチャージャーなどの過給を使わず、自然吸気の1.6リッター直列4気筒DOHC4バルブエンジンを採用して人馬一体の楽しさを伝えることを徹底
ユーノス・ロードスター(初代ロードスター)が国内デビューを果たしたのは1989年9月。
発売初年は国内で9307台を販売し、翌年にはグローバルで9万3626台の販売する大ヒットを記録。それもそのはずで、当時は170万円台の車両本体価格設定も大きな話題となり、“人馬一体”を合い言葉に操る楽しさを追求したオープンカーならではの爽快感を誰でも手軽に体感することができたのだ。
とはいえ、ロードスターが搭載していた1.6リッター自然吸気エンジンは最高出力120ps、最大トルクも14.0kg・mと控えめなスペックで悪くいえば非力だった。
1989年といえばハイパワーな1.6リッターのエンジンを搭載した、いわゆる“テンロクスポーツ”が活況を呈していた時代。
トヨタにはAE92型のカローラレビン&スプリンタートレノ、ホンダにはインテグラにグランドシビックにCR-X、三菱にはミラージュサイボーグ、マツダにはファミリア、いすゞにはジェミニ……といったように、非力なロードスターではとても太刀打ちできないようなハイパワーモデルが世に溢れていた。
しかし、あり余るパワー&トルクでコントロールしづらいスポーツカーが多かったこともあって、ロードスターの“軽さは正義”と言わんばかりの軽快で素直な運転感覚は、まさに人馬一体でクルマを操る楽しさを提供。
FRという駆動方式とも相まって“ライトウェイトスポーツカーの持つ本質的な魅力”を世に知らしめた。
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遅くたって見た目が速そうで走りも楽しめるホンダのCR-Zはやっぱり”いいクルマ”!
デザイン、パッケージング、走行性能のすべての領域において、ホンダの先進技術が投入されたCR-Z
1.5リッターi-VTECエンジンと独創のハイブリッドシステムであるIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)を組み合わせた先進的なモデルとして、2010年2月に発売されたCR-Z。
往年の名車であるCR-Xを彷彿させるスタイリングと走りのホンダブランドというふたつの要素を満たした一台なだけに、デビュー当時はスポーツカーファンの期待も大きかった。
しかし、蓋を開けてみれば初期モデルが搭載した最高出力120ps&最大トルク15kg・mにも満たない直列4気筒SOHC 16バルブエンジンの非力さは否めず、“スポーツカーにしては遅い”だけでなく、ハイブリッドにしては燃費が悪いなどという評価があったことも事実。
とはいえ、走行状況やドライビングスタイルに応じてSPORT、NORMAL、ECONの3つの走行モードが選べるホンダ初の3モードドライブシステムを搭載したり、ハイブリッドカーとして世界初の6速MT、CVT車にはパドルシフトを標準装備するなど操る楽しさは存分に味わうことができた一台だった。
また、専用のサスペンション、ボディの軽量化&高剛性化、徹底した空力処理などによって実現した俊敏かつ安定感のあるハンドリングなどが高く評価され、第31回 2010~2011 日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
流麗かつ存在感あるスタイルは今見ても新鮮であり、現在の中古車市場においてはマイナーチェンジ前の2010年~2011年モデルであれば10万円代~100万円と比較的手が出しやすいこともまた事実だ。
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“マツダ RX-8=遅い”は高回転型のNAロータリーエンジンゆえの勘違い!?
1995年のRX-01や1999年のRX-EVOLVといったコンセプトカーやデザインモデルを経て登場したRX-8。そのデビューはRX-7の生産終了から8カ月後の2003年4月だった
REとGENESISを掛け合わせたRENESIS(レネシス)と銘打った新ロータリーエンジンを搭載したRX-8は2003年4月に登場。
従来のペリフェラル排気ポート方式からサイド排気ポート方式に変更して出力、燃費、エミッションの改善を図ったRENESISは、フューエルインジェクターや点火プラグの改良などによって低燃費&高出力でかつクリーンな排出ガスという三拍子揃った654cc×2ローターの新世代エンジンとして注目を集めた。
デビュー当時は最高出力250ps&最大トルク22.4kg・mのハイパワーユニットと、最高出力210ps&最大トルク22.0kg・mのスタンダードユニットの2種類を設定。
スペックだけ見れば必要にして十分にも思える両ユニットだが、回転数を上げなければ美味しい部分を享受できない高回転型エンジンであったがゆえに公道ではそのパフォーマンスを存分に発揮することができず、現役時代の走りの評価はやや低かった。
しかし、スポーツカー然としたクーペフォルムでありながら大人4人がゆったり乗ることができる空間を有する4シーターだったことや観音開きのフリースタイルドアシステムの採用で実用面での配慮がなされていたことなど、印象が薄かった走りを補って余りある魅力を満載した一台であったことは言うに及ばない。
ちなみに、現在の中古車市場における平均価格は100万円前後と比較的リーズナブルだが、マツダ最後のロータリーエンジン搭載車という付加価値からか値上がり傾向にある。
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みんなのコメント
2シーター ミッドシップ オープンで200万円という夢のような車でした♪
でも、MR2に乗っていた人からは1800 のハイメカツインカム 140psは物足りなかったみたいです。