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名門「ブラバム」仕様も! ヴォグゾール・ビバ HAからHC(2) クーペのフィレンザは唯一の現存

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名門「ブラバム」仕様も! ヴォグゾール・ビバ HAからHC(2) クーペのフィレンザは唯一の現存

速さを求めるドライバーへ訴求したブラバム

KXE 154Dのナンバーで登録された、レッドの1966年式ビバ HBは、ブラバム・デラックス。ヴォグゾールの広報車両として当時活躍した個体そのもので、オーナーのエイドリアン・ミラー氏は、ヴォグゾール・ビバ・オーナーズクラブの創設者でもある。

【画像】英国乗用車の「ど直球」 ヴォグゾール・ビバ HAからHCまで 同時期のフォード オペル・マンタも 全146枚

エイドリアンは納屋に放置された状態で発見し、約20年前にレストアを終えて公道へ復帰させたという。ビバ HBでは現存最古の1台と考えられ、ナンバー登録されている唯一のブラバム・デラックスでもある。

オプションだったレブカウンターが備わり、最高速度は149km/hと、50年以上前のモデルとしては優秀。ロータス・コルティナには及ばなかったものの、差別化された容姿も手伝って、速さを求めるドライバーへ効果的に訴求した。

1970年10月に、3代目のビバ HCが登場。コイルスプリングを内蔵したプルマフレックス・シートと、広大な荷室を強みとして販売するよう、ヴォグゾールはディーラーに伝えたらしい。

ボディサイズは、同時期のフォード・エスコートとコルティナ Mk IIIの中間。英国市場だけでなく、カナダへの輸出も強く意識され開発された事実を示している。

ビバ HAとHBは、彼の地ではゼネラルモーターズ(GM)傘下のエボニーというブランドから、エピックの名前で販売されていた。しかしHCは、ヴォグゾールからフィレンザという名前で売られている。

エスコート RS2000と同等の動力性能

1972年、信頼性の低さを理由にフィレンザは生産を一時停止。ヴォグゾールは、同社のビクターに載っていた、1.8Lと2.3Lエンジンへの置換を決める。このエンジンは、英国のビバ HCにも展開された。

1973年にフェイスリフト。イメージ改善のため、隅々まで敷き詰められたカーペットや、7枚並んだメーターなど、豪華装備も強く主張された。このクラスでツインキャブレターの2.3Lエンジンを搭載したモデルは、英国には他に存在しなかった。

今回の4台では、グリーンのビバがHC 2300SL。テリー・ハワード氏が納屋で眠っているのを発見し、走れる状態へ戻している。「当時のビバの広告では、2300SLは運転の楽しさが強調されていました」。と彼は振り返る。

「動力性能としては、フォード・エスコート RS2000と同等ですね。オーバースクエア・ピストンのおかげでトルクが太く、中回転域ではかなりたくましい。自動車イベントでは、実はビバを持っています、が挨拶のようになっています」

そして最後の1台は、カナダ仕様と同じ名を冠したヴォグゾール・フィレンザ。出発が待ち遠しくなるような2ドアクーペとして、1971年半ばに英国でリリースされている。

コスト上の理由から、ボディの下半分はビバ HCの2ドアサルーンと同じ。フォード・カプリの好敵手を求めていたディラーからは、見た目で不満を招いた。オペルのショールームには、スタイリッシュなクーペ、マンタも並んでいた。

今でも一般道を気持ちよく走れるフィレンザ

エンジンのラインナップは、ビバと同じ1159ccや1599cc、1975ccの直列4気筒だったが、1972年に1256cc、1759cc、2279ccという構成へ置き換わっている。

BWK 442Kのナンバーで登録されたフィレンザは後期の1300SLで、現存する唯一の車両だと考えられている。新車時から、イヤービー家が大切にしてきたといい、今は甥のクリストファー・イヤービー氏が面倒を見ている。

フラメンコ・レッドのボディカラーが眩しいが、ルーフラインも印象的。1970年代初頭のヴォグゾールの挑戦が、カタチに表れている。2ドアサルーンのビバ 1300SLより65ポンド高い価格と、カプリ 1300並みの魅力を、納得させることが狙われていた。

丸目4灯のヘッドライトと、フロントグリルは専用設定。ロスタイル・アルミホイールは、35ポンドのオプションだった。横に長いスピードメーターは、この時代の定番だ。

「1256ccなので、路面にブラックマークを付けるような加速はしません。でも、一般道を今でも気持ち良く走れます。高速道路の110km/h前後では、エンジンは頑張っているのを隠しません。95km/hくらいが、最も快適ですね」

「コーナリングはかなりソフトですが、心地良く運転できます。叔父が、毎日乗っていたクルマでした。多くの人は、このモデルが何か知りません。フィレンザという名前を伝えても、理解してもらえない場合が多いですね」。とクリストファーが話す。

抵抗し難いフロントノーズのストライプ

1975年に、ヴォグゾール・シェベットが登場。ビバ HCの生産は1979年7月まで続いたが、HDが登場することはなかった。独自モデルの設計は途絶え、GMの計画通り、ヴォグゾールは英国のオペルというポジショニングが確立されるに至った。

今回の4台には、英国人ならいずれも特別な魅力を感じるはず。アメリカンな雰囲気のビバ HCやフィレンザは、とても1970年代らしい。初代のHA SL90も、当時の住宅前に停まっている様子が自然と思い浮かぶ。

特に筆者が強い共感を感じたのは、2代目のHB。スポーティなブラバム・デラックスが放つ雰囲気は、ページェント・レッドの塗装と相まって、視線を釘付けにする。フロントノーズのストライプへ、抵抗することは難しい。

協力:ルートンホー・ホテル、ヴォグゾール・ビバ・オーナーズクラブ

ヴォグゾール・ビバとフィレンザ 4台のスペック

ヴォグゾール・ビバ HA SL90(1965~1966年/英国仕様)

英国価格:648ポンド(新車時)/8000ポンド(約151万円/現在)以下
生産数:30万9538台(HA合計)
全長:3937mm
全幅:1511mm
全高:1346mm
最高速度:130km/h
0-97km/h加速:18.1秒
燃費:9.8km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:794kg
パワートレイン:直列4気筒1057cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:54ps/5600rpm
最大トルク:8.2kg-m/3200rpm
トランスミッション:4速マニュアル(後輪駆動)

ヴォグゾール・ビバ HB ブラバム(1967~1968年/英国仕様)

英国価格:728ポンド(新車時)/1万ポンド(約189万円/現在)以上
生産数:56万6391台(HB合計)
全長:4102mm
全幅:1600mm
全高:1346mm
最高速度:149km/h
0-97km/h加速:15.1秒
燃費:9.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:788kg
パワートレイン:直列4気筒1159cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:69ps/5800rpm
最大トルク:9.1kg-m/3800rpm
トランスミッション:4速マニュアル(後輪駆動)

ヴォグゾール・ビバ HC 2300SL(1970~1979年/英国仕様)

英国価格:1274ポンド(新車時)/6000ポンド(約113万円/現在)以下
生産数:64万863台(HC合計)
全長:4114mm
全幅:1643mm
全高:1384mm
最高速度:152km/h
0-97km/h加速:12.4秒
燃費:6.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1021kg
パワートレイン:直列4気筒2279cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:111ps/5200rpm
最大トルク:19.3kg-m/3000rpm
トランスミッション:4速マニュアル(後輪駆動)

ヴォグゾール・フィレンザ 1300SL(1971~1973年/英国仕様)

英国価格:1052ポンド(新車時)/8000ポンド(約151万円/現在)以下
生産数:1万8352台
全長:4114mm
全幅:1643mm
全高:1372mm
最高速度:133km/h
0-97km/h加速:17.6秒
燃費:8.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:846kg
パワートレイン:直列4気筒1256c 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:67ps/5400rpm
最大トルク:9.7kg-m/3600rpm
トランスミッション:4速マニュアル(後輪駆動)

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  • fxnhe501
    HCビバには、黒一色のボディにビッグ4を積んだトヨタ・ブレイド的な兄弟車・マグナムが存在した。マグナムの登場に伴ってラインナップが再編され、クーペは一旦フィレンザの名前を外してビバとマグナムに統合された。その後、風洞実験で作られたグリルレスの「ドループ・ノーズ」を持つスポーツクーペとしてフィレンザは復活するが、すぐに消えた。

    歴代のビバには3ドアのワゴンも存在したが、このHCビバ・シリーズのエステートはセダンの保守的なイメージを吹き飛ばす、細いピラーにロングルーフの極めてスタイリッシュなものだった。このエステートはマグナムにも存在し、復活フィレンザのワゴン版と言うべき「ドループ・ノーズ」を備えたモデルも存在した。

    ひとつの車種、限られたボディタイプで可能な限りバリエーションを揃えようとしたHCビバに、最後のいすゞ製ジェミニを重ねてしまうのは、僕だけではないだろう。特に、ロングルーフの3ドアに。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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