知って得する中古車メンテナンスのキモ【NB6ロードスター編】
グレイスモータースポーツ流の現実的リフレッシュ術
「中古車を買ったらココをメンテナンスせよ!」新車当時のシャッキリ感を取り戻せ
予算の都合というのはもちろん、憧れのクルマに乗りたいなどの理由で中古車を選ぶ人は少なくない。ところが、中古車で注意しなければならないのが、長年蓄積してきた経年変化や前オーナーのメンテ不足による様々な不調だ。
そこで強くお勧めしたいのが、各部のチェックを兼ねたメンテナンス。今回は購入直後にクラッチのすべりが発生し、“グレイスモータースポーツ”に持ち込まれた2002年式のNB6型ロードスター(走行距離約14万5000km)を題材に、本来の調子を取り戻すために必要なメンテナンスのポイントを紹介していこう。
やはりメンテナンスの基本中の基本は、油脂類の交換から。エンジンオイルを抜いて色や量を確認すれば、前オーナーのメンテの様子が伺える。モデル車の場合は、ご覧の通りかなり汚れた状態だった。もちろんオイルと一緒にフィルターも新品へと交換するのが鉄則だ。
抜いたエンジンオイルの状況によっては、エンジンフラッシングや洗浄剤などの投入も効果的。ワコーズのRECSは、エンジン内のカーボンやスラッジを強力に分解してマフラーから排出してくれる。
意外と疎かにされがちなのが、ラジエターのクーラント。基本的には2年毎の交換が推奨されているが、減ってなければOKというタイプの人も多い。しかしこれは間違い。クーラントには防錆剤も含まれているので、劣化した状態では冷却通路を錆で痛めることにもなるのだ。
走行距離が10万kmをオーバーしているなら、クーラントを循環させるための“心臓”でもあるウォーターポンプの交換も考えるべし。そこまでやっておけば水回りのトラブルの心配はほぼ無くなるはずだ。
ラジエターを取り外したら、装着前にコアの清掃もやっておきたい。エアブローで長年蓄積した泥やホコリを吹き飛ばすだけでも、冷却性能はグンと回復するのだ。
なお、NB6ロードスターのB6エンジンの場合、ウォーターポンプの交換はフロント側の補機類を外す必要があるため、同時にタイミングベルトやプーリーベルトも交換すれば工賃もお得だ。その際にはアイドラープーリーも忘れずに。
続いてエンジン本体。ここでの点検で基本となるのは、点火プラグのチェック。モデル車の場合、プラグを取り外してみたら先端の電極部がオイルまみれの状態だった。
調べてみると、その原因がヘッドカバーパッキンの劣化で、ヘッド潤滑用のエンジンオイルがプラグホールに侵入していたのだ。年数が経ったクルマでは、割とありがちなトラブルとのこと。
その他、燃料フィルターも10万kmを目安に交換しておきたい。あまり注目されないパーツだが、ガソリンの不純物などが蓄積して目詰まりを起こすと、燃調不良の原因にもなりかねないのだ。
今回入庫のきっかけとなったクラッチの滑りについては、クラッチディスクとクラッチカバーを純正タイプに交換する事で対応。ターボ車などパワーアップを予定しているなら、このタイミングで強化品にするのもお勧めだ。写真は左が新品で右が装着されていたもの。ディスクの減りやカバー当たり面の劣化に注目。
クラッチ交換の際にはレリーズベアリングも忘れずに。再使用を繰り返すと、ベアリングが劣化して異音などの原因となる。
メンテナンスの延長線上的なメニューとして、グレイスモータースポーツが推奨するのがボルトオンのボディ補強パーツ。
定番となる前後メンバー開口部に装着するバーやサスペンションアッパーサポートの他、NB系ロードスターにはブレーキナックルとパワープラントフレームの補強が特に効果的だという。同社では、マイナー車や外車用のワンオフ補強パーツ製作にも対応しているそうだ。
こうして完調となったロードスターに、オーナーも大満足。「買ったときはこんなものかなと思ってましたが、驚くほど調子よくなって走るのが楽しいです」とのこと。中古車の場合は、ベースとなる能力をしっかり確保するためのメンテナンスが、チューンの第一歩と言えるかもしれない。
●取材協力:グレイスモータースポーツ 群馬県高崎市下小塙町331 TEL:027-368-2521
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みんなのコメント
私は真っ先に下回りの錆予防に手をつける。
融雪剤はタチが悪いからねー。
下回りを真っ黒けに塗ってしまう。
アンダーコートでなくても、普通の油性でもやっておくとモチが違う。