この記事をまとめると
■日本人の平均所得は1990年代をピークに下降していて上がったり戻ったりしていない
部品代の高騰だけが要因じゃない! 日本の「新車価格の上昇」をもたらす複数要因
■現在販売されているクルマの多くは歴代モデルと比較して1.5倍以上値上がりしている
■価格が上がった代わりに安全装備や先進機能などが標準で装備されるようになった
収入は上がらずも新車は値段が上がり続けている
最近はクルマの値上げが著しい。安全装備や快適装備の充実、走行安定性や乗り心地の向上などに加えて、原材料費や輸送費の高騰によって価格を高めている。
値上げがもっとも著しい車種は、新車で購入できるクルマでは日産GT-Rだろう。2007年に発売されたときは777万円だったが、マイナーチェンジなどの改良が入るたびに値上げされ、今ではもっとも安価なピュアエディションでも1444万3000円だ。フルモデルチェンジを受けておらず、衝突被害軽減ブレーキもいまだに採用されていないのに、価格は2倍近くまで跳ね上がった。
ホンダ・シビックは、近年ではフルモデルチェンジを行うたびにボディを拡大して上級移行も強く、価格も高まった。ちなみに平均所得は1990年代をピークに下降しており、現時点でも25~30年前の所得水準に戻っていない。そこを踏まえると、2000年に登場した7代目シビックと現行型であれば、貨幣価値が同じと考えて単純に比較できる。7代目シビックに設定された5ドアハッチバックボディに、1.7リッターのVTECエンジンを搭載するXは、発売時点で164万8000円であった。現行シビックでもっとも安価なLXは、1.5リッターターボエンジンを搭載して324万600円だ。現行型の価格は、7代目の約2倍に達した。
コンパクトなスポーツカーのマツダロードスターは、1998年に2代目が発売された。1.6リッターエンジンを搭載するスペシャルパッケージの価格は、5速MT仕様が196万円であった。それが4代目の現行ロードスターに設定された1.5リッターエンジンを搭載するSスペシャルパッケージは、6速MT仕様が308万7700円だ。現行型の価格は、2代目の1.6倍に相当する。
このロードスターの値上げ率は、20~25年前と現在の価格を比べたときの平均水準となる1.5倍に近い。
たとえば2001年に発売された2代目ステップワゴンの価格は、最上級グレードのKが2リッターエンジンを搭載して229万8000円だった。現行ステップワゴンの価格は、もっとも安価な1.5リッターターボエンジンを搭載するAIRでも316万9100円だから、現行型の価格は23年前に登場した2代目の1.4倍以上だ。
このように、各モデルの値上げ率は大きいが、20~25年前と現在のクルマを比べると、前述のように安全装備や運転支援機能は大幅に充実しているのは事実。20年前のクルマは、ディスチャージヘッドライト(LEDはまだ普及していない)のオプション価格が5万円、サイド&カーテンエアバッグは7万円、横滑り防止装置は8万円という具合だった。そのあとに普及を開始した衝突被害軽減ブレーキは、運転支援機能とのセットで10万円に達している。これらを合計すれば、約30万円になるのだ。
最近のクルマは、そのほかの快適装備も充実しており、ミニバンであればシートアレンジなども多彩だ。走行安定性や乗り心地も向上した。従って、一概に大幅値上げといえない面もあるが、少なくともGT-Rやシビックは、以前に比べて購入しにくくなっている。ステップワゴンに比べてフリードの人気が高いのも、値上げによるところが大きい。
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みんなのコメント
そもそも土地バブルで日本経済が実力以上に評価されていた時代を基準にするのが間違い。女子大生や新卒サラリーマンが高級ブランド品を買い漁れる状況が異常だったといつになったら理解するのか。単純に購買力が70年代〜80年代初期くらいまで戻っただけ。